少し前になるが豊中に住む次弟がやってきた。
その時に、こんなものを託して行った。
父の遺品である。
父は昭和36年に死んだからもう52年の昔。
この弟がまだ12歳の時だ。そしてわたしは17歳。
これらの遺品にわたしも微かに覚えがある。
12歳の子どもが、わたしの知らぬ間にこれらを自分の中の父の思い出として所持していたのだ。
そして結婚してからも大切に所蔵していたのだ。
いかにも子どもが興味を持ちそうなもの。
しかも邪魔にならない大きさだ。
途方に暮れた当時を思い出すと、なんか胸が熱くなります。
煙管はよく覚えている。藁すべで掃除をしていたことなど。煙草入れはサクラの木の皮で作られている。そして戦時色を表す小物。
弟の子は女ばかり二人だったが、二人とも結婚して家を出ている。
ということはこれらの遺品を継ぐ者がいないというわけだ。
父の仏壇にでも入れておこう。
大事にしてください。二度と手に入りませんよ。