芦屋の詩人、山下徹さんからお贈りいただきました。
『芦屋芸術』二十一号です。
山下さんの個人誌ですが、200ページ近くもの重厚感のある本です。
今年、これが第三集目とのこと。精力的です。
主に詩が載っていますが、山下さんお一人の作品ではなく、寄稿者が何人かおられます。
今号は、山中従子、津田文子、牧田榮子、野間明子、鍋谷未久美、スミレ、榎本三知子の各位。
それで半分以上のページを割いてます。
山中さんは詩と散文でした。「ある古民家で」は散文。想像を加えた話ですが、リアルでした。
津田さん、庶民的な詩を書いて下さいます。特に「玉子焼き」は良かったです。
詩を6編寄稿しておられる牧田榮子さんに驚きました。
この人のこと、以前このブログに書いたことが何度かあります。
その最初。「牧田榮子さんという詩人」。
奇遇でした。「ア・テンポ」という同人誌でも読ませて頂いてますが、ここでお会い出来るとは。
わたしでも理解できる詩を書いて下さいます。
「投函」という詩の中にこんなことが、《出した筈の茶封筒が夕刊や広告紙に混じっている/「住所に見当たりません」/これ見よがし斜めに特大ハンコ/あらあら 宛名番地の数字がひとつ足りない》
これ、わたしも経験があります。広島の友人に出した年賀状の宛名番地が一番違いで戻ってきたことが。
野間さんの「夢の踵」の冒頭。《血の踵はどこまでもつづく//どういう意味だろう/遠いたれかから預かった言葉なのだが/ここだけ残して/滲んでしまった》
なにが始まるのか興味津々とさせられます。
鍋谷さんの「ぼた姫」が面白かったです。大阪弁の使い方が上手いもんです。田辺聖子さんを彷彿とさせました。
楽しい物語でした。
スミレさんの詩「もう一度 母に」の亡くなったお母さんに寄り添った詩、感動的でした。
榎本さんの散文「メイント・モリ」はお父さんへの想い。その臨終への立ち合い。よく描き切られました。
山下さんの「アルファさん 三十一夜」 「第二夜」《結局、誰にもわかってもらえないことがあるのだと思う。そして、それでいいのだと思う。自分ひとりだけのこと。》もの書く者の覚悟ですね。
「第二十六夜」《自分がエライと思って書いている文章なんて糞くらえ、》印象的!
山下さん、いつもありがとうございます。
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