喫茶 輪

コーヒーカップの耳

別冊・コーヒーカップの耳4,5

2019-01-16 08:39:37 | 別冊・コーヒーカップの耳
別冊・コーヒーカップの耳
~塀のうちそと~
4「チャカ」

うちの親父の名が売れたんは 奈良少年刑務所で知り合いになった人の誘いで 会を結成してた 昭和30年代のことです。勿論そのころわしはまだ 十一二のガキやから 親父や親父の舎弟から聞いた話です。ある時 商店街の利権をめぐって 町の愚連隊とケンカになったと。その時 負けた相手方が腹いせに商店街に火ィ点けようとしたと。昔 進駐軍のジープが積んでた予備のガソリンタンク二つ持ってきて 商店街に撒いて回ってる ゆう情報が事務所に入ったんです。親父ら飛んで行ったんです。行ったら 今にも火ィ点けようとしてたから チャカをパンパン撃ったんやて。遠くから走りながらやから 当たらんかったらしいけど 飛んで逃げたゆうことです。その時 親父 両手にチャカ持ってたゆうて それから「二丁拳銃の○○」てマンガみたいなあだ名で売れたらしいです。

5「殺意」

前の話の続きですけど。ケンカの後始末に相手方へ乗り込んだんです。つまり 傘下に入るか 解散するか ゆうことですわ。ところが相手方 素直に「ウン」言わん。それでまたケンカですわ。当時は今と違うて 時間と場所決めてやったんです。場所は 昔 大阪城落城の時 豊臣方について孤軍奮闘した六文銭の旗印の人が陣を構えた茶臼山公園です。チャカ持ってるもんはチャカ 脇差あるもんは脇差持って 無いもんは竹竿の先に出刃包丁巻き付けて槍にして持って行ったゆうことです。相手が見えたとたんに うちの親父 チャカ弾いて ポテンポテンと二人ほど倒れたらしいです。親父も まさかそんな簡単に当たる思うてなかったんでびっくりした言うことです。その時の裁判での教訓を教えてもらいました。裁判長が「被告は拳銃の練習はしていたのか?」と問うので 心証悪せんように「いいえ」て返事したらしいです。そしたら裁判官が「それなら結果は別として 相手を殺してもいいと思ってやったのだな」と云われて返事に困ったと。そやから「お前ら そんな時は 練習してました。足狙いましたけど 手元狂って頭に当たってしまいました 言うんやど」て。

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