突然、電話が鳴った。
会社から「至急、社長に電話するように」と。
こんなこと滅多にないので、やばい予感がする。
知らぬ間にいけないことをしていて、怒られるのだろうか。
面倒臭いことにならねば良いが。
恐る恐る、社長に電話。
声がゴキゲンだ。悪い話ではなかったようだとホッとする。
「アゼルバイジャンの国営放送の方がお前の番組を見て
取材をしたいと申し込んできた」とのこと。
悪い話ではないようだが、ちょっと待て。
あの国は、この前までソ連だった国だ。
ロケ中も、ことあるごとに公安に足止めを食らった。
安心するのはまだ早い。
国営放送の記者に連絡してみると
「アゼルバイジャン大使館まで来て欲しい」という。
治外法権。大使館に足を踏み入れたら最後、
気がついたら北朝鮮にいた、ということにもなりかねない。
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ついた。
ここから先は治外法権の地。
昔、ロシアでロケをしていたチームが
橋のかかった川を撮影していると、
突然公安にドバドバ囲まれて拘束された。
理由を問えば「軍事施設を撮っただろう」と詰問されたという。
橋は軍事上重要な施設なのだ。
そう考えると、私の作った番組にはたくさん橋が写っていた。
さらに考えると、鉄塔も写っていたし、山の上から街全体を撮影した時に
写してはいけないものが写っていた可能性も否定できない。
使った楽曲がイランとかトルコの曲も多かったので、
そこを突いてくるかもしれない。
こんな私を笑ってはいけない。
ちゃんと撮影許可を取ってロケをしても、突然公安に囲まれるのが
旧社会主義国なのだ。
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玄関のピンポンを押すと、静かな男がぬっと現れ、
何も言わずに私を招き入れた。
絨毯の敷かれたホールには、数名のアゼルバイジャン人とおぼしき方々が
私を待っていた。
目の前にはデカいマイク。
「アゼルTV」のロゴが書かれている。
コワモテの男が一人、私に近づき、
そのデカいマイクのそばに録音マイクを置いた。
デカいマイクはハリボテだった。
ここでようやく、私の緊張はほぐれた。
飾りマイクを置くということは、テレビ業界の古い手だからだ。
政治家の会見で机に大量のマイクが置いてあるが、
実はあれは飾り物で、その方が人気政治家に見えるのだという。
そのセコイ手を使っているのだ。
バレバレのセコイ手を使うということこそ、安心して良いことを意味している。
…………
インタビューは1時間に及んだ。
結果を申し上げると、彼らはまことに純粋な人たちだった。
アゼルバイジャンでの体験や印象を話すと、
ウンウンうなずいたり、ちょっとしたギャグで大笑いしてくれたり、
感動した話をした時には、私よりも感動して
その場にいる全員で泣いてくれた。
というわけで、私のインタビューは
そのうちアゼルバイジャン国営テレビで流れるそうです。
もし見た人がいたら、ぜひ感想をください。
どんな風に編集したのかを知りたいので。
そんな報告、絶対に誰からも来ないと思うけど……★
会社から「至急、社長に電話するように」と。
こんなこと滅多にないので、やばい予感がする。
知らぬ間にいけないことをしていて、怒られるのだろうか。
面倒臭いことにならねば良いが。
恐る恐る、社長に電話。
声がゴキゲンだ。悪い話ではなかったようだとホッとする。
「アゼルバイジャンの国営放送の方がお前の番組を見て
取材をしたいと申し込んできた」とのこと。
悪い話ではないようだが、ちょっと待て。
あの国は、この前までソ連だった国だ。
ロケ中も、ことあるごとに公安に足止めを食らった。
安心するのはまだ早い。
国営放送の記者に連絡してみると
「アゼルバイジャン大使館まで来て欲しい」という。
治外法権。大使館に足を踏み入れたら最後、
気がついたら北朝鮮にいた、ということにもなりかねない。

ついた。
ここから先は治外法権の地。
昔、ロシアでロケをしていたチームが
橋のかかった川を撮影していると、
突然公安にドバドバ囲まれて拘束された。
理由を問えば「軍事施設を撮っただろう」と詰問されたという。
橋は軍事上重要な施設なのだ。
そう考えると、私の作った番組にはたくさん橋が写っていた。
さらに考えると、鉄塔も写っていたし、山の上から街全体を撮影した時に
写してはいけないものが写っていた可能性も否定できない。
使った楽曲がイランとかトルコの曲も多かったので、
そこを突いてくるかもしれない。
こんな私を笑ってはいけない。
ちゃんと撮影許可を取ってロケをしても、突然公安に囲まれるのが
旧社会主義国なのだ。
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玄関のピンポンを押すと、静かな男がぬっと現れ、
何も言わずに私を招き入れた。
絨毯の敷かれたホールには、数名のアゼルバイジャン人とおぼしき方々が
私を待っていた。
目の前にはデカいマイク。
「アゼルTV」のロゴが書かれている。
コワモテの男が一人、私に近づき、
そのデカいマイクのそばに録音マイクを置いた。
デカいマイクはハリボテだった。
ここでようやく、私の緊張はほぐれた。
飾りマイクを置くということは、テレビ業界の古い手だからだ。
政治家の会見で机に大量のマイクが置いてあるが、
実はあれは飾り物で、その方が人気政治家に見えるのだという。
そのセコイ手を使っているのだ。
バレバレのセコイ手を使うということこそ、安心して良いことを意味している。
…………
インタビューは1時間に及んだ。
結果を申し上げると、彼らはまことに純粋な人たちだった。
アゼルバイジャンでの体験や印象を話すと、
ウンウンうなずいたり、ちょっとしたギャグで大笑いしてくれたり、
感動した話をした時には、私よりも感動して
その場にいる全員で泣いてくれた。
というわけで、私のインタビューは
そのうちアゼルバイジャン国営テレビで流れるそうです。
もし見た人がいたら、ぜひ感想をください。
どんな風に編集したのかを知りたいので。
そんな報告、絶対に誰からも来ないと思うけど……★
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いつか必ず、一緒に走りましょうね。
のんびりと★
多く話さなくても分かる。そんな感じ。
いいなぁ〜、ボーダレスで日本とかそういう世界じゃないところに、魂があるというか。
一杯吸収して、尊敬できるDになってください。
応援してますよ〜!!