自転車ひとり旅★

自転車大好きなTVディレクター日記。

恐怖の大使館訪問。

2017年04月07日 15時59分11秒 | おしごと日記
突然、電話が鳴った。
会社から「至急、社長に電話するように」と。
こんなこと滅多にないので、やばい予感がする。
知らぬ間にいけないことをしていて、怒られるのだろうか。
面倒臭いことにならねば良いが。


恐る恐る、社長に電話。
声がゴキゲンだ。悪い話ではなかったようだとホッとする。

「アゼルバイジャンの国営放送の方がお前の番組を見て
 取材をしたいと申し込んできた」とのこと。

悪い話ではないようだが、ちょっと待て。
あの国は、この前までソ連だった国だ。
ロケ中も、ことあるごとに公安に足止めを食らった。
安心するのはまだ早い。


国営放送の記者に連絡してみると
「アゼルバイジャン大使館まで来て欲しい」という。
治外法権。大使館に足を踏み入れたら最後、
気がついたら北朝鮮にいた、ということにもなりかねない。





ついた。
ここから先は治外法権の地。
昔、ロシアでロケをしていたチームが
橋のかかった川を撮影していると、
突然公安にドバドバ囲まれて拘束された。
理由を問えば「軍事施設を撮っただろう」と詰問されたという。
橋は軍事上重要な施設なのだ。

そう考えると、私の作った番組にはたくさん橋が写っていた。
さらに考えると、鉄塔も写っていたし、山の上から街全体を撮影した時に
写してはいけないものが写っていた可能性も否定できない。
使った楽曲がイランとかトルコの曲も多かったので、
そこを突いてくるかもしれない。


こんな私を笑ってはいけない。
ちゃんと撮影許可を取ってロケをしても、突然公安に囲まれるのが
旧社会主義国なのだ。





玄関のピンポンを押すと、静かな男がぬっと現れ、
何も言わずに私を招き入れた。
絨毯の敷かれたホールには、数名のアゼルバイジャン人とおぼしき方々が
私を待っていた。
目の前にはデカいマイク。
「アゼルTV」のロゴが書かれている。
コワモテの男が一人、私に近づき、
そのデカいマイクのそばに録音マイクを置いた。


デカいマイクはハリボテだった。


ここでようやく、私の緊張はほぐれた。
飾りマイクを置くということは、テレビ業界の古い手だからだ。
政治家の会見で机に大量のマイクが置いてあるが、
実はあれは飾り物で、その方が人気政治家に見えるのだという。
そのセコイ手を使っているのだ。

バレバレのセコイ手を使うということこそ、安心して良いことを意味している。


…………


インタビューは1時間に及んだ。
結果を申し上げると、彼らはまことに純粋な人たちだった。
アゼルバイジャンでの体験や印象を話すと、
ウンウンうなずいたり、ちょっとしたギャグで大笑いしてくれたり、
感動した話をした時には、私よりも感動して
その場にいる全員で泣いてくれた。


というわけで、私のインタビューは
そのうちアゼルバイジャン国営テレビで流れるそうです。
もし見た人がいたら、ぜひ感想をください。
どんな風に編集したのかを知りたいので。

そんな報告、絶対に誰からも来ないと思うけど……★



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
魅力ある人には (ハマショウ)
2017-04-18 16:40:11
魅力的な人が集まると思います。
多く話さなくても分かる。そんな感じ。
いいなぁ〜、ボーダレスで日本とかそういう世界じゃないところに、魂があるというか。
一杯吸収して、尊敬できるDになってください。

応援してますよ〜!!
返信する
ハマショウさま。 (D★)
2017-04-18 21:09:41
ありがとうございます、ハマショウさん。
いつか必ず、一緒に走りましょうね。
のんびりと★
返信する

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