ある大一番に向けての撮影が始まりました。
その大一番は、自転車の番組を始めて以来
長年の夢だったので、かなり気合が入っています。
このために、自転車の番組を続けてきたのだ。
5年もかかってしまったが、チャンスをもらえた。
これから夏の放送に向けてスパルタンな日を送ることになりそうです。
さて、本日の撮影。
気合が入りすぎて、予定の2時間も前に着いちゃったので、
選手たちが来る前に、とりあえず峠にアタックしておくことにした。
大垂水峠。
噂には聞いていたが、走るのは初めて。
国道20号の東京・神奈川を隔てる峠で、標高は392m。
ここを選手たちは5本全力でアタックするという。
私も1本は登って、どんな峠なのかを知っておかねばなるまい。
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高尾山のインターからスタート。
ここから峠までは4.1キロほど。
(あとで知ったのだが、どうやら皆さんは500m先からスタートするらしい…)
最初は平坦。ラブホ街を突っ走る。
ホテルから、トラックが出てくる。
シーツなどのクリーニング業者っぽい。
商売繁盛してるのかな、と思いながら通過。
去年、ほかで走った時に
11分300Wだったから、
300Wキープで。
徐々に勾配がきつくなる。
2kmを通過。
320W。まだ踏める。
4%…5%…7%…
このゆっくりと勾配がキツくなっていく感じは
他にはあまり見ないプロフィールの峠だ。
3kmを通過。
いかん、300W出てないやんけ。
頑張るけど、出ないもんは出ない。
上体が揺れ始める。
おっと、これは悪循環。
冷静にフォームを整えて、体重をしっかりペダルにかける。
フトモモちゃんが千切れるように熱い。
そしてゴール。
10分37秒・平均290W。
もうちょっと行けると思ったけど、最後はヘタレて
260Wが精一杯。
ラスト500mが果てしなく思えた。
苦しくて、口がぬぐえない。
峠の端っこで、うつ伏せになってゼーゼー言ってると、
選手からメールが届いた。
おおっ! もう来るのかよ!?
慌ててカメラのところへ走り、選手たちを待ち受ける。
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悪い癖で、三脚にカメラを乗せて撮る時、
ついパーン(カメラを縦横に振ること)をしたくなる。
したくなるのに、ヨダレが拭えないほど苦しいから
手が震える。
心の中でのいろんな葛藤を経たが、なんとか一発で良い画が撮れた。
その後はMOTOに乗って撮影、インタビュー。
天気が良くてよかった。
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撮影が終わると、プロがこんな一言。
「あれ? Dさん走らないんすか?」
お言葉に甘えて、引きずり回していただくことにした。
「行けるところまでついていきます。そのうちフェードアウトしますけど、ほっといて下さい」と。
私を気遣ってか、だいぶ緩く走ってくれたようだ。
平地200W、坂道で300Wぐらい。
プロたちはずっと談笑しているし、
まったく水分をとらない。
つまり汗をかいていない。
私は水を飲みまくり。
レースは出ないのか、と聞かれ、
5月のあざみラインに出ます、1時間切りたいのです、と言ったら
「速いじゃないですか! 僕たちだって全力で43分ですよ」と。
うーん。褒められた気がしません。
30キロ走って、お別れした。
プロたちを見て思ったのは、そこにあるのは
「日常生活」だった。
自転車の上が生活空間。
おしゃべりをし、食べ、飲み、遊び、時に追い込む。
眼福でした。
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運動会以後、すっかりファンになったので、もしあっていたら嬉しいなぁ。
調子が上がると、すさまじく美しいペダリングをするらしいです。
敵に回したくない選手ナンバーワンですな☆