◎メメント(2000年 アメリカ 113分)
原題/Memento
原案・監督/クリストファー・ノーラン 音楽/デヴィッド・ジュリアン
出演/ガイ・ピアース ジョー・パントリアーノ キャリー=アン・モス
◎サミーを忘れるな
前向性健忘症っていう記憶障害がほんとにあるのかどうかは知らないんだけど、なんとも懐かしい雰囲気の映画だった。
大学時代、異常な記憶についてはいろいろと考えたことがあって、時の流れというものについてもなんだかんだと考えてた。
だから、ラストから始まり、時の流れを逆行することで、10分前の記憶を探し求めてゆくうちに、おそらくまちがいないであろう記憶が数珠つなぎに繋がるという構成は、もっと簡単にできるかなとおもいつつも、なんとも心の躍るような愉しさが味わえた。
10分前の記憶が失われてゆく設定と場面構成は極めて面白く、構成を追わねばならないのがいささか鬱陶しいんだけど、ね。ま、事件そのものは簡単なものなので、思わせぶりな演出さえ除けば、もっと万人が疑問を抱えずに済むのにな~ってのが、いつわらざる感想。
でもまあ、自主製作映画を観てるような気分にさせてくれるし、低予算の映画でも脚本が凝ってれば、相当に満足ゆくものができるっていう見本みたいな作品に仕上がるんだっていうことを証明してくれたわけだから、さすが、クリストファー・ノーラン。
でもさ、ノーランの世界に共通してるのは、やっぱり、時の多重構造なんだね。縦の世界っていうのか、時間軸と空間軸が、ノーランの場合は常に縦になってる。こういう感覚が自主製作映画っぽくていいんだよ~。