◎雲霧仁左衛門(1978年 日本 160分)
監督/五社英雄 音楽/菅野光亮
主演/仲代達矢 岩下志麻 夏八木勲 市川染五郎 松本幸四郎 丹波哲郎 松坂慶子
◎享保7年(1722)、江戸深川
雲霧仁左衛門っていう盗賊がほんとにいたかどうかはわからない。
天保時代に創作されて、歌舞伎の『竜三升高根雲霧(りょうとみますたかねのくもきり)』とかが上演され、手下には小頭の木鼠吉五郎のほか、おさらば伝次、山猫三次、因果小僧六之助、洲走熊五郎とかがいたっていうんだけど、まあ、このあたりもほとんどが創作の域を出ない。
で、この映画だ。
よくもまあこれだけ役者を揃えたもんだってくらい、松竹の気合が入ってる。
くわえて、音楽がいい。菅野光亮は『砂の器』の『宿命』も作曲してるけど、こっちもいいんだわ。なんていうんだろ、劇画調っていうのか、とにかく心が躍ってくる。
それと、まあなんとも舞台のような長台詞。仲代、染五郎、幸四郎の三人はここぞとばかりの踏ん張りで、これがまた妙に音楽と相俟って格好いい。
ただ、外連味が先に立ち、ていうか、外連を除いたら何にもなくなってしまいそうな、いってみれば恰好つけただけの顔見せ映画な上に、首や樽とかが吹っ飛ぶのは、ありゃ~こりゃだめだ~っていうくらいちゃっちい。でもまあ、ご愛嬌かな。顔見せだし、丹波さんとかおもいきり楽しんでるから。
ちなみに、大学のとき、この映画が大好きで、池波正太郎っていう作家がいるんだ~とおもったのは、このときからかもしれない。
けど、なんとも恥ずかしい話ながら、ぼくは、ほんと、活字が苦手で、実は「定本池波正太郎全集」もなんだか見栄だけ張って全巻買ったんだけど、一度も開いたことがない。
『雲霧仁左衛門』くらいは読めばいいのにね。