◇隠し剣 鬼の爪(2004年 日本 131分)
監督・脚本/山田洋次 音楽/冨田勲
出演/永瀬正敏 松たか子 高島礼子 緒形拳 光本幸子 倍賞千恵子 田中邦衛
◇梅庵が仕掛けられた!?
藤沢文学の映像化に対してなんという感想をいうのかと叱られそうな気もするけど、ぼくにとって緒方拳はどうしても藤枝梅庵で、針で仕掛けることもあったけど、後のシリーズでは、懐に剃刀という名の隠し剣を仕舞い、まるで鬼の爪のように悪人を仕留めたりもしてた。
だから、なんだか妙な感覚になっちゃうんだけど、いや、時の経過というのは、こういうもんなんだろね。
『たそがれ清兵衛』に続いて制作されたこの映画は、ちょっとばかりエンターテイメントが匂う分、しんしんと降る雪のような静かさは失せているものの、どうしようもなくせつない藤沢世界はちゃんとそこにあった。
ことに、松たか子がきわめて好かった。
「ご命令だば仕方ありましね」
という台詞に代表されるように、標準語しかよくわからない観客にもわかりやすい海坂藩の訛りだった。
この頃、方言は見直されているらしいけど、実をいうと、東京の人達はけっこう東北弁を使ってたりする。
んだべ?