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ともしび

2022年01月28日 00時15分17秒 | 洋画2017年

 ◇ともしび

 原題が『HANNAH』だから、たったひとりの老女の物語で、シャーロット・ランプリングのためにあるような映画だってことはもう観る前から予測は立つ。それにしても、よくわからない。結局、アンドレ・ウィルムが収監された理由はなんだったんだ?

 どうしようもなく退屈でつまらない始まりから、ほんのちょっとずつおもしろくなってくるのがやけに堂々としてる

 ま、旦那が淡々と収監されていく乾いた出だしからなんか異常なことがあったなとはおもうんだけど、いきなりひとりで暮らし始めた部屋に強烈なノックがあって、出てきなさいよ、あんなことして許されるとおもってんの的ななじりがなされたあたりから、あ~なんかやっちゃったんだ~とわかるし、ふと見つけちゃった封筒の中身が旦那の容疑を裏づける物菜のかもしれないんだけどそれを彼女は始末しながらも、ゆりのおしべをひきちぎるとこはなんかすごい。花粉はたしかに花の命を短くするから要らないものなんだけど、おしころしてる感情の発露にも見える。おしべをもぎとるってのも象徴的だしね。

 で、内孫の誕生日に、息子が好きだったケーキを焼いていくんだけど、来るといったろ、そっとしといてくれと追い返された後、トイレでおもいきり泣くわけだけど、そのあと満開のゆりを捨てるんだよね。旦那のせいで孫にも会えなくなちゃうわけだし、とんだおしべだよね。けど、それでも、面会に行くとおもわず会えたことで微笑んじゃう性っていうのか、なのに旦那の側からすればその微笑みが癇に障るんだよね、なるほどな~ておもうし、場面が変わると家政婦に通ってる先の子供の面倒を見ると、いや、よく考えてるね、脚本。

 それにしてもシャーロット・ランプリング、すごいプロポーションだな。肩甲骨は剥がれてるし、立ってる。おっぱいもきれいだし、お尻はたしかにたるんだけど、惜し気もなくシャワー場面を撮らせるのはすごいね。

 いたるところで現実ばなれした舞台のような脇役がたくさん出てくるのは、やっぱり彼女が劇の練習に通ったり、役者の知り合いが来て本読みしたりしてるのと、なんとなく絡ませてるんだろうか。しかしラスト近く、早退けした彼女はなんで浜へ出るのか、それもどうしていきなり鯨が打ち上げられて死んでいるのか、フェリーニみたいだな~ておもうんだけど、こちらの場合は鯨はシャーロット・ランプリングの見立てってことになるんだろうね。つらいな。

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