◇ジェーンの秘密(Red Joan)
脚本があきらかに間違ってる。ていうか、戦時中から1972年までソ連共産党のスパイとして情報を流しつづけたメリタ・ノーウッドが1999年まで謎のままで、人生のぎりぎりになって暴落されるまでイギリスの諜報部は知らなかったというすごい話が、なんでこんなにありきたりな物語になっちゃったのか、わからない。せっかくジュディ・デンチとソフィー・クックソンを起用しながら、なんでも現在と過去をかったるく並行させてるだけなのか、撮り手を疑うわ。
イギリスの原爆開発計画チューブ・アロイズをソ連に密告するくだりも、アメリカが広島と長崎に原爆を投下したことの悲劇をくりかえしてはならないとかっていう理由をつけてるんだけど、そんなことは欺瞞だって誰でもわかる。要は、上司との不倫よりもかつての恋人の囁きの方が強かったってことになってるわけで。
ただなあ、どうせだったら、上司のマックス・デイヴィス教授はスティーヴン・キャンベル・ムーアよりも冷酷な印象の知識の塊のような役者にしてほしかったし、恋人の共産党員レオ・ガーリチもトム・ヒューズより甘ったるい理想主義者にしてほしかった。