◇聖なる証(The Wonder)
横たわるキーラ・ロード・キャシディと山並みがぴったりと重なる。よく撮ったな~。床板の木目が浮き上がるくらい見事なセット。セットといえば、導入が現代のイギリスのスタジオだった。その一角に移動していって過去の時代の物語の始まりをワンカットで見せるんだけど、はたしてこのショットが必要だったのかどうか、わからない。
けど、なんだ、食べてんじゃん。母親がキスして口移しで。あまりにも拍子抜けする信仰の正体。衰弱しても元気だわね。ま、だから、これが『ミッド・サマー』をひきずるっていうのかしらね。両方とも、フローレンス・ピューが主役だってことはまるで気づかなかったけど。
子供の靴下を一緒に燃やす。フローレンス・ピューは、かつての夫との間に出来た子を失っていて、それにひきずられてきてるから、なおさら、少女キーラ・ロード・キャシディが気に掛かり、彼女が死んでしまったことにし、しかも失火によって亡骸も発見されなくなってしまったという過失にして済ませ、自分と出会った地元の新聞記者トム・バークに託し、やがて三人して村を出、あらたな天地をめざして船出していく。でも、これはつまり、うがった見方をすれば、神さまが子供を失ったフローレンス・ピューの純粋なおもいに対して、子を恵んでくれたのかもしれない。いや、そういうことか。