◇シシリーの黒い霧(Salvatore Giuliano)
原題にあるとおり、サルバトーレ・ジュリアーノの半生とその死について考察していく映画なんだけど、いやまあ、戦時中の過去と当時の現時点とが交互に語られて、シシリー独立のために政府軍と独立義勇軍が衝突するありさまの中で、のちに義賊とされたジュリアーノの姿が描かれてはいるんだけど、わかるようなわからないようなどうにも難しい。
難しいのは要するに画面をひいているからで、シシリーのひとびとに出演してもらっているだけでなく、いやというほどの群衆場面の連続で、まじな話、誰が誰だかよくわからない。フランチェスコ・ロージの演出力は買うものの、これを観ながら頭の中で整理するのはなかなか至難の業だ。
なぜって、結局、殺害された理由も犯人もわからないままだからだね。