Kinema DENBEY since January 1. 2007

☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

めぐりあう時間たち

2007年04月15日 15時17分31秒 | 洋画2002年

 △めぐりあう時間たち(2002年 アメリカ 115分)

 原題/The Hours

 監督/スティーヴン・ダルドリー 音楽/フィリップ・グラス

 出演/ニコール・キッドマン ジュリアン・ムーア メリル・ストリープ エド・ハリス

 

 △マイケル・カニンガム『めぐりあう時間たち』より

 3つの時間がある。

 1923年、ロンドン郊外リッチモンド。

 1951年、ロサンジェルス。

 2001年、ニューヨーク。

 これらの時間軸は決して合わさることはない。

 けど、3つを繋いでいるのは、ニコール・キッドマン演じるヴァージニア・ウルフの書いた『ダロウェイ夫人』だ。キッドマンは『ダロウェイ夫人』を書くことでその日を送り、ジュリアン・ムーアは『ダロウェイ夫人』を読むことでその日を送り、『ダロウェイ夫人』とあだ名をつけられているメリル・ストリープは、エイズになっているエド・ハリスを面倒を見、その自殺を迎える。

 まあ、決して楽しい内容ではないし、それどころか、神経がぴりぴりするような重苦しさと緊張感がある。

 キッドマンは綺麗だし、当然、とっても上手なんだけど、どうにもやるせない感情を抱えた設定だから、輝いてはいない。一冊の本を軸に、女性たちの心情が巡りあってゆくというのは好きな設定なんだけど、いやまあ、どうにも辛くなってくる話ではあるよね。

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目撃

2007年04月14日 13時56分59秒 | 洋画1997年

 ◇目撃(1997年 アメリカ 121分)

 原題/Absolute Power

 監督・主演/クリント・イーストウッド 音楽/レニー・ニーハウス

 出演/エド・ハリス ジーン・ハックマン ローラ・リニー スコット・グレン

 

 ◇邦画でリメイクは難しいな

 この作品は、何度観たか数えられないくらい観る機会が多い。

 ふしぎなこともあるもので、一定の期間が経つとかならず再見する。

 だからといってよく憶えているわけではなく、イーストウッドが泥棒に入って、大統領ハックマンがいつものとおり助平かつ荒くれた感じで登場してきたとき、ああこれかとおもいだす。けれどそれだけのことで、この先どうなるんだっけとまた忘れている自分に気がつくんだ。それで弁護士をしている娘ローラ・リニーのところへ刑事エド・ハリスがやってきてようやく、ああそうだそうだとなんとかおもいだす始末だ。

 困ったもんだ。

 けど、そのとき、いつもおもうことがある。

 クリント・イーストウッドって、ほんとに娘が大好きなんだな~ってことだ。イーストウッドの作品は、父と娘の確執の話がよく出てくるもんね。たいがい、娘のことが目に入れても痛くないほど可愛いのに知的な職業に就いている娘からは嫌われてる。

 そういえば、この作品は、次女アリソン・イーストウッドが美術館の場面に出演してる。イーストウッドは5人も娘がいて、長女キンバー・リン・イーストウッドと五女モーガン・イーストウッドとの年の差はなんと36だっていうんだから凄い話だ。

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悪魔の陽の下に

2007年04月13日 18時20分33秒 | 洋画1981~1990年

 ◇悪魔の陽の下に(1987年 フランス 98分)

 原題/Sous le soleil de Satan

 英題/Under the Sun of Satan

 監督/モーリス・ピアラ 音楽/アンリ・デュティユー

 出演/ジェラール・ドパルデュー サンドリーヌ・ボネール モーリス・ピアラ

 

 ◇北フランス、カンパーニュ

 なぜ、悪魔ジャン・クリストフ・ブーヴェが馬商人の恰好をして登場し、さらに男色を迫ってくるのか?

 簡単な話で、悪魔はどのような姿にも変わり、相手を安心させ、さらに相手が抱えている本当の欲望を満たすことのできる誘いをかけてくるからだ。してみると、ジェラール・ドパルデューがおのれをどこまでも律し、同時に夜中にトイレに起きることができないくらい徹底的にみずからを拷問するというのもうなずける。

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西部開拓史

2007年04月12日 23時58分56秒 | 洋画1961~1970年

 ◇西部開拓史(1962年 アメリカ 165分)

 原題/How the West Was Won

 監督/ヘンリー・ハサウェイ、ジョン・フォード、ジョージ・マーシャル、リチャード・ソープ

 音楽/アルフレッド・ニューマン

 出演/ジェームズ・スチュアート グレゴリー・ペック ジョン・ウェイン ヘンリー・フォンダ

 

 ◇『牧場の我が家』Home in the Meadow=Greensleeves

 撮らなければならない西部劇だったんだろうね、きっと。

 物語としては、キャロル・ベイカーとデビー・レイノルズの開拓民の姉妹が、ジェームズ・スチュアートとグレゴリー・ペックに恋をし、姉夫婦の息子ジョージ・ペパードの出征と妹夫婦の金鉱への旅を通じて、やがて姉妹の遺したものは土地しかなかったがそれをたったひとりの後継ぎである息子が守っていくという、きわめて明瞭な家族劇がそのまま西部の歴史劇になっているという非常にわかりやすくかつ上手に作られたっていう印象しかない。

 迫力はさておき、Greensleevesがいいね。

 実をいうと、ぼくがこの曲を知ったのはこの映画のおかげで、それも中学生のときにテレビで観た予告編からだった。そのときの予告編はなぜかとても鮮烈なもので、いま観直すとどうってことはないんだけど、でもそれ以来、Greensleevesは耳に残ってる。本編は後に観直すまですっかり忘れてしまってたのにどういうことなんだろね。

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弾丸を噛め

2007年04月11日 00時02分31秒 | 洋画1971~1980年

 ◇弾丸を噛め(1975年 アメリカ 131分)

 原題/Bite the bullet

 監督・脚本・製作/リチャード・ブルックス 音楽/アレックス・ノース

 出演/ジーン・ハックマン ジェームズ・コバーン ジャン=マイケル・ヴィンセント ベン・ジョンソン

 

 ◇1906年、西部横断レース

 まあ要するに西部を舞台にした超酷烈な耐久競馬で、純粋に賞金を稼ごうという連中だけのレースではなくて、恋人の囚人を脱獄させるためにレースに参加するキャンデス・バーゲンみたいなね~ちゃんもいたり、いろいろな思惑の中で進行していき、塩まみれの馬がばたばたと倒れ、やがて喝采の中、奇妙な友情の果てに手をつないでゴールしていくっていう、ありきたりといえばありきたりな展開になっていくんだけど、それについてはいい。

 この映画は、実は僕は封切りで観てる。

 高校1年のときだったか、まあ映画に興味を持ち始めた頃で、ひとりでうらぶれた劇場の片隅でじっと見てた。当時はジーン・ハックマンの出演した作品が次から次へと封切られ、特に印象深かったのは『フレンチ・コネクション』で、そういう中にこの『弾丸を噛め』があった。実をいえば、あんまりおもしろくなかった。ぼんやりと遠い国の西部劇を眺めてるだけだった。

 だからタイトルの意味もまるでわからなかった。

 弾丸を噛むってのは、その昔、西部では麻酔もなしに手術のような荒々しい治療をしなければならなくなったとき弾丸を噛んで歯を食いしばり強烈な痛みを耐えたことから、どんなに苦しくたってやり遂げるんだっていう意味になる。

 なるほどね~っていうような話だけど、だからといってそんな意味の邦題をつけてもおもしろみはないわけで、ここはやっぱりわけのわからん『弾丸を噛め』で好かったんじゃないかっておもうんだよね。

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血槍富士

2007年04月10日 19時58分14秒 | 邦画1951~1960年

 ◎血槍富士(1955年 日本 94分)

 監督/内田吐夢 音楽/小杉太一郎

 出演/片岡千恵蔵、月形龍之介、加藤大介、植木基晴、植木千恵、喜多川千鶴、赤木春恵、進藤英太郎

 

 ◎『道中悲記』のリメイク

 いやまあ東映が戦後おもいっきりちからをこめて撮り上げた作品のひとつなんだけど、とにかく当時、内田吐夢の復員第一作をどうするかっていうのはもう大変な悩み事だったんじゃなかろうか。

 そうしたことからいえば、マキノ満男、伊藤大輔、小津安二郎、清水宏らの尽力による映像化といっていいし、千恵蔵御大としても一肌脱がなくちゃいけないってことで植木家も総動員で協力したって感じがひしひしと伝わってくる。

 ただ、実際にこの作品はおもしろんだよね。

 酒乱のあるじのために決して強くもない鑓持ちが腕っこきの武士たちを相手になりふりかまわぬ仇討を挑むっていう、そこへ行くまでに紆余曲折あるものの単純にいってしまえばそういう物語なんだけど、いやまじ、千恵蔵御大、凄いわ。

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プレイス・イン・ザ・ハート

2007年04月09日 18時31分11秒 | 洋画1981~1990年

 ☆プレイス・イン・ザ・ハート(1984年 アメリカ 112分)

 原題/Places in the Heart

 監督・脚本/ロバート・ベントン 音楽/ジョン・カンダー

 出演/サリー・フィールド エド・ハリス ジョン・マルコヴィッチ ダニー・グローヴァー

 

 ☆If the mothers ruled the world, there would be no goddamn wars in the first place!

 ジョン・マルコビッチ、デビュー。盲人の役を見事にこなしてるわ。

 流れ者ダニー・グローバーが銀のフォークとスプーンを盗んで捕まるのが綿花栽培に雇われる切っ掛けになるんだけど、レ・ミゼラブルかよ。それにしても若いな、グローバー。

 驚くべきはエイミー・マディガンで、同じ年に封切られた『ストリート・オブ・ファイヤー』とは打って変わってとっても真面目で貞淑そうなのに抜き差しならない不倫をする美人の奥さん教師役を演じて、結果、実生活では不倫相手を演じたエド・ハリスと結婚するんだから、人生は数奇だね。

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壬生義士伝

2007年04月08日 12時06分35秒 | 邦画2002年

 ◇壬生義士伝(2002年 日本 137分)

 監督/滝田洋二郎 音楽/久石譲

 出演/中井貴一 佐藤浩市 夏川結衣 中谷美紀 堺雅人 加瀬亮 伊藤英明 伊藤淳史

 

 ◇文久3年(1863年)8月、新撰組結成

 ぼくは、小学生のときから新撰組が好きだった。

 中学くらいまでは、かなり憧れてた。熱病のようなもので、結局、函館まで行き、五稜郭で土方におもいをいたし、最後の地まで足をのばした。

 当時はまだそれほど新撰組も一般的ではなくて、どちらかといえば、土方よりも近藤の方がドラマの主役になってた。なもので、板橋の処刑場址とか、聖地みたいなものになってて、ノートとかが置かれてた。なんで知ってるかといえば、ときおり、ぼくも行ってたからさ。

 そんなだから、おもわず感情移入しちゃったわ。

 とはいえ、ぼくがこんなことをいっては不遜なんだけど、いや、滝田さん、上手になりましたね。明治期のセットは少し首をかしげたくなるけど、ロケセットは見事。撮影がなかなか好いわ。絵作りをしっかり心得てるのが好印象。

 ただ、泣かせるための展開みたいな感じはちょっとね。

 ま、素朴な感想はそんなとこで。

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アメリ

2007年04月07日 12時03分16秒 | 洋画2001年

 ◎アメリ(2001年 フランス 121分)

 原題/Le Fabuleux destin d'Amelie Poulain

 監督/ジャン=ピエール・ジュネ 音楽/ヤン・ティルセン

 出演/オドレイ・トトゥ マチュー・カソヴィッツ ドミニク・ピノン ヨランド・モロー

 

 ◎今この瞬間、何人がオーガズムに達しているのかしら?

 なんてことを、モンマルトルの丘に佇みながら真剣に空想しているのは、もしかしたらアメリと僕くらいしかいないんじゃないかっておもうのは、あきらかに間違ってる。でなければ、この映画が配給会社初の大ヒットになるはずもないし、以後の配給の流れの中に芸術作品という分類が生まれるはずもない。

 だから、世の中というのは、意外に信じられないようなくだらないことを、大のおとながくそまじめに空想してるもんなんだよね~ってことを、ぼくたちは本気で信じるべきなんじゃないだろうか。

 だから、おそらくは、こんな雑文を書いている今このときも、日本では数え切れないくらいのカップルがオーガズムに達してるんだね、きっと。

 で、だ。

 アメリのように、母親がノートルダム寺院で落ちてきた観光客と接触して他界するとか、家族との触れ合いもなく、厳格な父親が心臓の検査のために自分の胸を触れたことに興奮し、それで、父親が心臓に欠陥があると信じてしまったために、自分の部屋に閉じ籠もらざるを得なくなるような人間は少ないかもしれないし、いたずら半分に犯罪すれすれのことをして小さな幸せを与えてあげようという、いびつなロマンチックさをそのまま展開しつつも恋にはきわめてうぶというのは、おとなのおとぎ話としては成立するものの、現実ではこんなに可憐にはいかない。

 せいぜいできることといえば、テディベアかなんかを連れて世界中を旅し、あるいは知り合いに頼んでベア入れ込みの写真を撮ってもらうくらいなことだろう。

 にしても、ひとつの映画でこれだけつらつらと考えさせてくれるのは、それだけこの映画の印象がつよく、好感度が高かったからにほかならない。もっというと、いかにもフランス的な音楽も良くって、ひさしぶりに「サントラを買いたいわ~」とかおもってしまったくらいだ。

 心理的に均衡を失いつつある主人公の心の鍵になる玉手箱を見つけるお話ってやつは、ほんと、観てて心臓が楽になるわ。

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アザーズ

2007年04月06日 12時00分46秒 | 洋画2001年

 ◎アザーズ(2001年 アメリカ、スペイン、フランス 104分)

 英題/The Others

 西題/Los Otros

 監督・脚本・音楽/アレハンドロ・アメナーバル

 出演/ニコール・キッドマン フィオヌラ・フラナガン クリストファー・エクルストン

 

 ◎1945年、チャネル諸島ジャージー島

 出征した夫を待つ日光過敏症の夫人とその子供という設定は良好。

 だけど、落ちは途中からありありと見えてくる。とはいえ、そこに到るまでけっこう楽しめる。なんていうふうに書いてると、自分でも内容を忘れちゃいそうだ。

 ぼくは、ネタバレという言葉が嫌いだ。

 下品だからというのではなく、いかにも業界用語っぽい雰囲気を漂わせ、それを使うことがなんだかカッコいいようにおもってる風潮が、嫌いなのかもしれない。なんでそんなことをいうかというと、『シックスセンス』と同じように、ネタバレをいやがる映画の構成だからなんだけどね。

 ゴシック調の雰囲気はとってもよく、神経過敏なキッドマンの演技はいつもどおりとはいえ嫌いじゃない。

 ただ、映画の中の時の流れが気になって仕方がない。作品中の時は、アザーズ(つまりは、ほんとに棲んでる人達ね)の時間と同じはずだ。キッドマンたち家族とその使用人はまったく時代が異なるから、家族たちの時と、使用人たちの時は、どちらも過ぎ去った時でしかない。

 であれば、自分たちが死んだ前後については忘れていたとしても、死んでから現在に至るまでの時は厳然として存在しているはずで、そうした時が経つ内に、自分たちが死んでいることは承知していないんだろうか?

 引越してきた現実の生者(アザーズ)が去ってから、キッドマンたちはどんな気分で過ごすんだろう。またふたたび自分たちが死んでしまっていることを忘れ、あたらしく引っ越してきた生者(アザーズ)たちを、キッドマンから観たアザーズ(幽霊)だとおもいこみ、やっぱり絶叫しながら正体をたしかめようとするんだろうか?

 となると、キッドマンたちは永遠に同じことを繰り返す地縛霊になっちゃわない?

 映画上の時の流れからすれば、キッドマンたちの現在の時も同じであることが望ましいし、そうでないと物語にならないのはわかるんだけど、どうも、納得のゆかない世界観になってるような気がして仕方がないんだよな~。

 だからといって決してつまらなくはない。どっちかといったらおもしろい映画だとおもうし、ぼくはこういう映画の愛好家だ。

 でもな~時の流れがな~。

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ダークネス

2007年04月05日 11時58分40秒 | 洋画2002年

 ▽ダークネス(2002年 スペイン、アメリカ 102分)

 原題/Darkness

 監督/ジャウマ・バラゲロ 音楽/カルレス・カセス

 出演/アンナ・パキン レナ・オリン ジャンカルロ・ジャンニーニ フェレ・マルティネス

 

 ▽40年という周期

 どうやら、映画には向き不向きというものがあるらしい。

 ジャウマ・バラゲロはおそろしく才能のあるヨーロッパの監督として、アメリカあたりで絶賛されたらしい。この映画でってわけじゃないけど、それは事実としてある。

 で、この作品だ。そんな才能あるバラゲロが、豪勢なキャスティングをしてる。父親ジャンカルロ・ジャンニーニの故郷スペインのとある村で、40年前の日食の日に、7人の子供が行方不明になった。1人、当時の父親だけが帰ってきたけど、残りの6人は行方不明だ。そんな父の旧宅に引っ越してきた家族が恐怖に見舞われるって話だ。

 皆既日食の日に子供たちに何かが起きる!

 みたいな惹句だったんだけど、たしかにそうだ。

 でも、それだけだ。

 影や声や重苦しい雰囲気で恐怖を増幅させようとはしているものの、悪魔信仰に身も心もゆだねてしまった祖父がいて、40年前に仲間達が自分の子供を生贄にしたにもかかわらず、父だけが生還してしまったために、ふたたび巡ってきた皆既日食の日にかつての生贄である父をまたもや生贄にして悪魔の儀式を完成させようとする祖父の魔の手から、姉と弟が恐怖にうちふるえながらも父を守ろうとする話という解釈は、もしかしたら間違っているかもしれない。

 ほんと、一所懸命に観たんだけど、物語が破綻してるのか、ぼくの脳がなにか得体の知れないものに対して拒否反応を起こしているのか、どうもよくわからない。

 過去と現在の事件が、ぼくの中で、上手に繋がらないんだよ~。

 象徴になってるのが皆既日食、つまりウロボロスの蛇なんだから、過去と現在は円を描くように繋がっているはずで、だからこそ、祖父は自分の家を「円」にして儀式の聖なる場にしてるはずなんだけど、そういう理屈は頭ではわかるんだけど、映像と物語が、なんでこんなに頭に入ってこないんだろう。

 ふしぎだ。

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パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち

2007年04月04日 11時56分05秒 | 洋画2003年

 ◎パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち(2003年 アメリカ 143分)

 原題/Pirates of the Caribbean : The Curse of the Black Pearl

 監督/ゴア・ヴァービンスキー 音楽/クラウス・バデルト ハンス・ジマー

 出演/ジョニー・デップ オーランド・ブルーム キーラ・ナイトレイ ジェフリー・ラッシュ

 

 ◎カリブ海、ポートロイヤル

 海賊物は、たいていあたらない。なんでかわからないけど、海ってのはなじみがあるようで意外にないものだ。

 ぼくが生まれたのも田舎の港町だったけど、あんまり海には興味がなかった。とくに海賊っていうのはあんまり聞こえのいいものじゃなく、とくに日本の場合、水軍の別な呼び方だとわかっていても、興味を持つにはあまりに情報が少なすぎる。

 それはいいとして、そんなあたらないといわれてた海賊映画が、おおあたりした。これまでのディズニー映画とはちょっと違って、なんていうんだろう、ともかく、一皮むけた感じがあった。くわえて、メイクもさる事ながら、何度観ても音楽は最高だ。クラウス・バデルトとハンス・長靴・ジマーには脱帽するしかない。

 ジョニー・デップも、得体の知れない男って感じが濃厚で、それぞれが的を得たキャスティングだったんじゃないかしら。

 CGもたいしたものだったし、やっぱり映画はキャラクターだよな~ってことをつくづくおもいしられたわ。

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デスノート the Last name

2007年04月03日 11時53分10秒 | 邦画2006年

 ◇デスノート the Last name(2006年 日本 126分)

 監督/金子修介 音楽/川井憲次

 出演/藤原竜也 松山ケンイチ 瀬戸朝香 香椎由宇 満島ひかり 戸田恵梨香

 

 ◇大場つぐみ・小畑健『DEATH NOTE』

 いくらなんでも、監禁を警察が肯定し、しかも、男は拘禁服で女は引き裂かれたキャミという差はありなんだろかと。

 色調が日活ぽいから余計にそう感じるのかもしれないんだけど、いよいよ漫画チックになってしまってる分、リアルさが薄れてるような気がするんだけど…と書いたとき、リアルっていう言葉自体がそもそもおかしいか?とおもった。でもまあ、ここでいうリアルは、この映画の世界においての話なんで。

 原作についてはまるでわからないのでなんともいえないんだけど、

「もしかしたら、前篇だけにしといた方が良かったんじゃないか?」

 とおもっちゃうのは、ぼくだけなんだろうか?

 もともと制作が決定したときから前後篇の扱いだったらしいんだけど、なんでそんなことを決めたのかよくわからない。

 ただ、制作委員会の要になるテレビ局によって、漫画原作への比重については差があるみたいだけど、ぼくは、漫画を実写化することにはちょっと抵抗がある。どうしたところで漫画とは異なる世界が出来てしまうし、まあ、タレントのファンにしてみればそれでもいいかもしれないけど、アニメにしておいて声優としてタレントを使うってだけじゃダメなんだろか?

 漫画は読者っていうか、部数が、小説とかと違って圧倒的だ。その分、読者には思い入れが強いだろうし、原作の世界観とまではいかないにせよ、すこしでも内容を変えてしまうことにかなりの抵抗感があるだろう。そういうことをおもえば、アニメの方が無難な気がしないでもない。

 あ、いかん。

 こんなことを書いてると、

「文句いうくらいなら観るんじゃねーよ」

 っていわれそうだけど、文句じゃないんだよな~。

 心配しとるんです、ぼくなりに。

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DEATH NOTE デスノート

2007年04月02日 11時49分49秒 | 邦画2006年

 ◎DEATH NOTE デスノート(2006年 日本 126分)

 監督/金子修介 音楽/川井憲次

 出演/藤原竜也 松山ケンイチ 瀬戸朝香 香椎由宇 満島ひかり 戸田恵梨香

 

 ◎大場つぐみ・小畑健『DEATH NOTE』

 期待してなかった分、意外に面白かったってのが偽らざるところだ。

 漫画を原作にしたら、金子修介の右に出るものはいないんじゃね?というくらい上手な展開だったんじゃないかしら。けど、たぶん、そういうふうに感じた観客は少なかったんじゃないだろか。

 成功の要因のひとつは、CGにあるとおもうんだけど、金子さんの映画は特殊撮影が妙に嵌まる。役者も皆いい感じに嵌ってたって気がするけど、これもちがうのかな?

 なんで、こんなに消極的な意見をいうかというと、原作を読んでいないからだ。いや、単行本は開いた。開いてみたといった方が正しい。でも、昭和時代の漫画しか受け付けないぼくには、よくわからない。

 このところ、映画やテレビの漫画の原作はみんなそうで、たぶん、シーラカンスみたいな昭和の男には入り辛いものがあるんだろう。だから、原作をよく読んでたり、原作が大好きだとかいう観客は、たぶん、いろんな不満があるんだろうけど、ぼくには、そういう不満はいっさいない。

 ない分、まっさらの状態で映画を観ることができる。これは他の漫画原作の映画には共通したものなんだろうね、たぶん。

 でも、漫画がヒットしてるから映画にしようと映画会社が考えるのはいいけど、ほんとのところをいえば、ヒットしてるしてないは別にして、制作する側が「おれは、売れてるとか売れてないとか、どうでもいいんだ。この漫画を、おれの手で映画にしたいだけなんだ」という純粋な心で作ってほしいんだよな~。

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隠し砦の三悪人

2007年04月01日 11時46分08秒 | 邦画1951~1960年

 ☆隠し砦の三悪人(1957年 日本 139分)

 英題 The Hidden Fortress

 監督/黒澤明 音楽/佐藤勝

 出演/三船敏郎 上原美佐 藤田進 千秋実 藤原釜足 中丸忠雄 加藤武 土屋嘉男

 

 ☆敵中突破三百里・戦国版

 実は、長短のバージョンがあるのだ。

 劇場では短い方が主に公開されてきたんだけど、いくつかカットされて短くなってる場面がある。

 まあ、あんまり違いはないものの、秋月領から山名領へ入るというところを砂の上に丁寧に書いて説明してくれるところとか、雪姫が謡を口ずさむところとか、間壁六郎太と田所兵衛が鑓の決闘をしたりするときとか、ちょっとずつ、劇場公開のときにつまんだところをもとに戻してる部分がそれだ。

 ま、実をいえば、短い方がおもしろい。

 この映画を初めて観たのは、大学1年のときだ。銀座の並木座で、満員の観客で観た。三船さんが、馬上、両足をふんばって刀を八双に構え、敵を追う場面。

「いや――っ」

 っていう三船さんの叫びがそのまま、劇場の中で「うおっ」という叫びになった。

 いや、ほんと。あのときほど、劇場の中で声が上がったことはなかった。すげーおもしろい映画があるもんだとおもった。以来、何度、名画座に足を運んだことだろう。今回も、久しぶりに銀幕で見ると、馬上の三船さんはやっぱり感動的ですらある。雪姫の上原美佐も、相変わらず甲高い声だ。でも、最後に敷居を踏むのだけはいかんね。

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