Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

Village Design11.雲南省・路南イ族自治県

2007年10月26日 | field work
 集落という視点から環境美を探訪することが、今回のデザインサーベイの目的だから、ガイドブックで紹介している名勝史跡といった中国の観光地は、日本の観光地同様に私達にとっては退屈である。従って私達は、そうした観光地には、ほとんどゆかなかった。例外的に訪れた李子箸石林は、秋吉台を大規模にした石柱群による地形が特徴である点で、よく知られた観光地だが、私達は、早々にここを退散し、周辺の少数民族が棲んでいる集落を探した。
 上の写真は、比較的平坦な土地に立地している農業を営む数十戸程の集落である。民家の壁は土壁であろう。或いは日干し煉瓦で壁の芯をつくり、その上に土壁を塗っているのかもしれない。民家蔵から収穫したばかりの唐辛子が見えた。広州の四川料理では、かかせない食材だ。集落内の路地は、私の登山靴でようやく歩くことができる程、ぬかるんでいる。各民家は、密に固まり、建築群として大変魅力的な景観を形成している。
 牛を十数頭つれた農民が、私達の前を横切り、畦道に入っていった。畦道の先をみると、比較的新しい電柱が立っていた。石林とはそんなに離れていないこの集落には、近年まで電気がなかったのだろうか。
 この集落の中にに、写真で見られる付随屋が複数建てられている。軒下付近に風抜きを持つ構造は、薫蒸のための小屋と聞いた記憶がある。しかし何を生産してるかは、民家群の美しさに見とれていたので、私は記憶にない。この地域の暮らしは、決して豊とはいえない。厳しい生活のために設えられた全ての民家には、一寸の無駄も許されない。こうした生活の必要のなかで、一切の無駄を排除し形成されてきた民家群は、大変美しい。現代建築のデザインにも通じるこうした民家群の美しさに、私は大いに感動した。
 
1999年8月撮影.
EOS3,F3.5-5.6/EF28-135mm,コダクロームⅡ.
コメント
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