Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

ドローイング179. お寒い国家

2019年03月07日 | drawing

 このブログでフェイクニュース、すなわち風評のことを取り上げたので、この話題を少し続けよう。

 

1.フェイクニュースを制するためには、先ず情報伝播の速度が必要だ。

 フェイクニュースが出そうだという予測はSNSをみているとわかりそうなものだ。最初に事実があり、次いで曖昧な情報が流れ、そこにユーザーの論拠なき憶測による意味づけ行為が加わるとフェイクになる。そして拡散すれば、誤情報でユーザが動きだすことにつながる。こうした時間は、ものすごく短い。

 だから最初に事実なり事件が起きたときの情報の発信速度が重要なのだ。単に「空港は浸水のために閉鎖します」、という情報だけではアカンのである。閉鎖したら予約した国際線はどうなるのか、どうやって家に帰るのか、そのための足はどうなるのかということにユーザの関心が行くことはわかりきった話だし、これを継続情報と呼んでおこう。そうした継続情報がすぐにSNSで発信されないというのが、なんでも遅い日本の体質だ。

 

2.フェイクニュースに勝てる情報量と論拠が必要なのだ。

 フェイクニュースは一気に大量に拡散する。それに勝てる情報量を提供することである。フェイクニュースには大方は論拠がないのが特徴だ。そこを論拠ある情報を論述的に発信させることが必要になる。論拠があることによってフェイクニュースを駆逐できるだろう。

 

3.情報発信者のアイデンティティを表示すること。

 アメリカ大統領がツイッターに投稿すれば世界は聞き耳を立てるが、それは彼が世界一の著名人だからだ。1国の行政や公共機関の事務職員が情報発信をしたところで、誰が発信した情報なのかということの信憑性がない。だからロゴマーク等の視覚的要素をともなった情報発信をすべきなのである。ユーザーは視覚的認知によって物事を判断するというのがコンピュータ時代の特徴なのである。公共施設や企業には、ロゴマークがあるでしょうがぁー。それをSNSを通じて発信すべき情報につけておくべきなのである。それも通じないのであれば、日本国のシンボルをお借りするのだろうか・・・。

 

 情報の基本的なことを書いたけど、はたして日本でできるだろうか。

 1については、なんでも遅い体質の日本だから無理でしょう。正確な情報収集をしているので時間がかかりますなどと平然という人間もいたりして、こちらはあきれる話なのだが、それって、つまり自分達の組織や現場を普段から把握していないということじゃないですか。つまりメディアがうるさいから逃げようという役人体質だよね。私がいうのは、メディアより早い速度で情報を発信しろといっているわけである。

 2については、論拠を示すというのは当事者しか持ち得ない情報だから説得力がある。しかし組織というのは秘密主義が横行しているわけね。都合の悪いことは隠そうというわけだ。それに継続情報になると、各企業や組織との協議が必要になるので時間がかかりますという話に当然なる。協議なんなていうのは平和時の話であって緊急時に行う意味はない。

 もう一つ書き加えると論拠に対する認識が薄すぎる。大学の卒業論文をちゃんと書いてきたのだろうかと思いたくなる場面に私はよく遭遇する。そういうのは定量的な論拠を数式で扱わなかった文科系出身者に多いのだけど。いま私達が経験するのは論拠ではなく、現場の人間達の思いつきばかりだ。接遇は、そうしたユーザのかわし方だと勘違いしている場面によく遭遇する。それじゃSNSのフェイクニュースに先手をうつことはできない。

 だから結論としては、これからもフェイクニュースは暗躍するし、それによって不利益を被る人、殺される人もでてくるでしょうね。そう、我が国は、お寒い国家なんですよ。

 

クロッキー帳No42.

コメント (1)
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