Creator's Blog,record of the Designer's thinking

毎月、おおよそドローイング&小説(上旬)、フィールド映像(中旬)、エッセイ(下旬)の3部構成で描き、撮り、書いてます。

EOSな日169. 薄暮の街で

2019年03月23日 | Kyoto city

図1.   夕方も早いとまだ民家に明かりがともらない。デジタル画像はラチチュードが狭いので空の描写を出せば民家は黒くつぶれるし、逆なら空が飛んでしまう。そこをphotoshopのトーンカープを逆S字カープにして大いに補正した。

 

図2.   前にも撮影したけど、建築の人間としては空間がドン付きで行き止まりとかL字になっているような錯覚感を感じさせて面白いと思った。通例ならぶれるシャッター速度1/8、手振れ補正機能と重たいボディが、こういうときに役立っている。

 

図3.   このメリハリがないなんとも同じ明るさになっている頃が薄暮の時間である。正面の赤くあかりがついた民家の室内と外とが同じ明るさになる。毎日やってくる数分ぐらいの僅かな時間が、不思議な空気を漂わせてくれる。

 

 図4.   これぐらいの画角で民家が入ると調度よさげなのだ。40mmという焦点距離が、レンズにマーキングをしておこうかなと思わせるぐらい民家をほどよく画面に納めてくれる。それに歪曲収差も小さい焦点距離だ。 

 

図5.   さて人通りの多い花見小路をどのように撮りゃいいんだといつも迷う。しゃあない、クラクションを鳴らして、蹴散らすようにやってくる車を正面に入れて、都踊りのぼんぼりの列でも・・・。全然花見小路が写っとらんじゃないか。ええんちゃう、画像が傾いていて混沌としているような気分もあって・・・。

 

図6.   また正面から舞妓さんがやってくる。バッチリ取れる距離だけど撮らない。すれ違いざまに顔の表情をみると緊張している。10代という歳を考えれば、お座敷とはそういうものなのだろう。撮らなくてよかった。しかしグーンと離しておいて民家をバックに300mmで一気に撮るのが私流。舞妓さんがやってくると、職人さん達が、さあ仕事だと持ち場に散ってゆくようにも思われる。ここでも重たいボディと手振れ補正機能に助けられている。

 

 薄暮というのは、日が暮れて外の明るさが失われてゆく頃、室内の明るさが増して、調度両方の照度が同じになる自然現象だ。曇天だろうが雨が降ろうが、やはり外の方が照度は高いのである。それが外と内とで逆転する数分程度の時間帯なのである。1日2回は体験している。朝は寝ている頃なので関心が薄いが、夕方はハッキリと見て取ることができる。それも天候とは関係なしに。

 その頃に室内の写真で窓から外の風景を加えると、室内も外も綺麗に描写される。だから撮影する側にとっても大変貴重な一瞬なのである。特に春のボンヤリとした天気の頃などは、なんともいえない空気を漂わせてくれる。冬だったら空が紫色に描写されるだろう。

 今の季節だと18時から18時30分の間の僅か数分程度である。夏だったら19時以降だろうか。そんな時間をどうやって過ごしているだろうか。仕事が終わって、さあ飲みに行こうなんてはしゃいでいる間に薄暮が通り過ぎ、お食事を18時に予約しちゃったのよ!、遅れないでね!!、なんていわれて薄暮を見逃したり、つまり私達の行動の節目にあたる時間帯なのだ。

 特に写真に興味のない女達は、この薄暮の頃にいろんな予約を入れてくれるわけだ。「あら、夜景が綺麗ね!」なんていわれても、撮りそびれた薄暮の方がとても綺麗なのだ。女達はそんな自然現象に関心がないわけだ。そういうとき、私は憮然としてバカな女を相手にしちまったぜと後悔する。「毎日みているだろうよ!、そんなことに気がつかないのかよ!!、自然の光の変化に鈍い女なんかに手を出したのが私の間違いだったな!!!」と心の中でつぶやいている。

 写真を職業としない限り、薄暮は女達には全く関心が沸かない時間帯だ。

 

京都市祇園北町、南町 2019年3月19日

EOS1DsMark3,EF28-300mm/F3.5-5.6L IS USM

ISO1600,焦点距離70mm,露出補正-0.33,f/8,1/50

ISO3200,焦点距離40mm,露出補正0,f/5.6,1/8

ISO3200,焦点距離105mm,露出補正-0.33,f/5.6,1/20

ISO3200,焦点距離40mm,露出補正-0.67,f/5.6,1/13

ISO3200,焦点距離135mm,露出補正-0.67,f/5.6,1/200

ISO3200,焦点距離300mm,露出補正-0.33,f/5.6,1/20

 

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