前回のブログ(5月2日)で、感染が納まらない原因を私なりにあきらかにしたので、この問題は2年後ぐらいの終息を目指すほかなすすべがないし、これ以上ブログで書く話題もないが、感染拡大の過程で私が感じた違和感や幾つかの知見をまとめつつ、国内感染状況を付した。
私の結論は前回のブログ(5月2日)であきらかにしたように、新型コロナウィルスは潜伏期感染をしている可能性があること。現在の検査・隔離は、発症期からの対応である。だから潜伏期からの感染が漏れ広がっているのではないか。そのことを韓国の事例があきらかにした。つまり韓国のシステムは、潜伏期感染に呼応しつつ発症期の感染をも抑えつつ感染初期を制した。だから今日から学校も再開し普段の日常生活に戻っている。今後に多くの示唆を与えてくれる。
振り返れば昨年末私は、FaceBookで中国武漢の市場から新型ウィルスによる感染者7名が発生したとする記事を読んだ。その後武漢市内に感染が拡散し、着々とウィルス感染は速いスピードで世界中に広がっていった。そのとき潜伏期感染とする中国からの情報がWEBサイトにアップされていたし、そうした認識が私の頭にあった。
1)潜伏期感染ではないのか?
感染が拡大してくると、政府が帰国者センターを設け、 発症後37.5°以上の熱が4日間続いたら連絡をとりPCR検査を受けよとする施策を聞いたとき第1の違和感を感じた。あらっ!、潜伏期感染ではなく発症期感染なのかい?。さらには検査まで4日以上待たされる、もっと悪いことに発症者は自宅待機という大変危険なことを発令した。そんな国の制度や社会が、私の潜伏期感染とする認識とは、真逆の方向へ動き出した。
2)拠点は分散してこそ意味があるのではないか?
第2の違和感は、帰国者センターのように情報拠点を1本化したことである。インターネット社会では、情報拠点が分散されているからこそ大量のデータを同時並行処理ができ、こちらの方が結果として早く、情報共有はインターネットで密に結ばれているから、1つに拠点化する意味を失っているのが現在の一般認識だ。拠点を1つに集約すると、例えば大量の人々の問い合わせが同時期に集中し、電話がつながらないという事態を引き起こすなど、拠点が機能不全に陥ってしまう。その間にも感染者、発症者は感染をひろげつつあるわけだから、急ぐときに拠点化する意味は全くない。
3)当初検査体制はあまりにも貧弱だった。
第3の違和感は、当初PCR検査は国立感染症研究所でのみ検査ができ、検査可能な数量は大変少なかったと記憶している。横浜港クルーズ船のように結果が出るまで2〜4日位の日数がかかったのである。検査は急ぐべきなのに、随分と時間がかかるなと思われた。
4)診療所こそが最大の防衛線だったのではないか?
第4の違和感は、私達の身近な医者の大元である日本医師会が感染の講習も設備もなく及び腰であったことだ。つまり感染に対する研修も受けておらず設備もないというお粗末さだった。実はこうした町の診療所が感染防止の多数の拠点になり得るのではないか。
5)布製マスクに効果があるのか?
第5の違和感は、政府が布製マスクを全国民に配布したことだ(私の手元には届いていない)。ウィルスが相手ならば、粒子の小さな布製マスクは体内侵入をゆるしてしまうだろう。それ以外のマスク、例えば防塵用マスクも塵の粒子がウィルスより大きいので効果はない。つまりサージカルマスクでなければ対ウィルス効果はないというのが私の認識だ。というのも感染発症者が普段からマスクを着用していたとする記述を自治体の感染者情報のサイトでよくみかけたからだ。多分抗ウィルスマスクではなかったのだろう。
じゃあどうすればよかったのか。
1)診療所こそが検査の拠点
先ず最初に政府がやることは、日本医師会と連携し、かかりつけ医の感染症研修と診療所設備の模様替えであり、そのための費用を補助することだ。次いで検査期間の短い検査キットを全国の医師達に配布することだった。その準備に2週間程度の時間がかかろうとも、その時点ではまだ感染者数は韓国以下の値だったのである(値が逆転するのは4月20日)。急げば十分実現できた。そうした検査態勢を整え、かかりつけ医のもとで、感染の疑いのある人間を次々と検査して抽出してゆけばよい。厚生労働省の医療施設動態調査(2018年)では、全国の診療所数101,505件(歯科を除く)と記載されている。この10万件の診療所が同時に検査にあたれば、1診療所で5件/日と想定しても、50万件/日のPCR検査が実施できたのである。それは現在の検査能力をはるかにしのぐことになる。診療所こそが感染期からの対応拠点なのだ。
実際韓国では、診療所で500人/日の感染者を毎日発掘していったのである。感染の疑いを申しでれば有料で検査すればよいだけの話である。これを日本が2月末迄頃から実施していれば、韓国より早い時期に感染の終息をみたことはデータから理解できるし、十分時間があったわけである。日本は事前の準備がなく、大いに出遅れたのだ。
2)政府・自治体は文科系の方法ではなく数理モデルで予測し対応する
現象が起きてから問題点をみつけ、それから協議して対策をこうずる過程を順々にふんでゆく文科系の方法は時間がかかりすぎ、速度感ある対応が不可欠な感染症対策では何の役にも立たない。やはり近未来の現象を数理モデルで予測し、準備する時間を算出し行動すべきだ。今はそんな文科系国家のおかげて全てが後手に回っていたので、ようやく数理モデルで緊急事態宣言を出す頃には、最後の手段という性格が濃厚だった。
いくら医療従事者達にエールを贈ろうと、防護服は洗濯して使い回しで、N95もないという医療現場は、既に相当疲弊しているにもかかわらず、それでも頑張れというのは、武器はないが竹槍で頑張れと、いうのと一緒であり、第二次世界大戦中の町にあふれた標語(欲しがりません勝つまでは)のようでもあり、背筋が寒くなる思いがする。
3)抗ウィルスマスクは効果があるだろうけど・・・
第5の違和感のマスクによるウィルス防御だが、鳥取県のモチガセが製造販売しているバリエールのマスクが有効。バリエールには医療従事者が着用するN95があるが、これは呼吸がしにくいので私達が日常使うのには難がある。そこで同社から少しグレードは落ちるが抗ウィルス用バリエールというサージカルマスクが発売されている。政府が国民全員に配布するなら、これでしよう。
だが効果があることはわかるが、町のなかでは、通常のマスクすら手に入らない現象が起きている。家電メーカーが量産しているにもかかわらず、絶対量が足りないのか、買いしめているのか、手に入らない原因は不明である。そんな面倒な社会ならば、こちらは手作りでいいんじゃない!、という意見に1票いれる。祗園でもご贔屓筋に配布する手ぬぐいでマスクを手作りしている。既製品マスク離れである。実にお寒い流通機構だ。そのうち余って大量に出てくるのだろうけど、そのときは国民の意識が変化しているのだから遅いぜ。
4)重大局面で政府・官僚機構がいつも後手になるのは歴史の必然
振り返れば、福島原発の事故でも、全てが後手に回り遅れに遅れ甚大な被害をだした。阪神大震災では、大災害を官邸が認識したのは12時間後であった。第二次世界大戦では米国に送った宣戦布告の翻訳が遅れ、真珠湾攻撃後にそれが米国に伝わったのである。大きな出来事が起きれば、常に遅れに遅れて予想外の結果となったのが日本政府や官僚達の歴史なのである。重要な場面で何故日本政府や官僚機構は、遅れるのか、それをいつも繰り返すのか、それは日本政府と官僚達の悪しき伝統的気質とさえ思われる。だからトップが交代しても何も変わらない。
1.政令指定都市を有する県別感染者数の推移
図1で感染者数累計値の推移をみれば、前回と大きな傾向の相違はみられない。つまり感染が蔓延している構造に変化はないが各自治体によって少しバラツキがみられる。さらに今後に期待できるのは、ウィルスは気温28°以上で活動が低減する。だから7月〜9月が唯一の外出期間なのか。それが終わればワクチンが国民に浸透するまでは、再び感染蔓延状況下に戻るのだろうか。
図1は、16の都道府県の感染者数累積値の推移をみたが、二桁代が北海道、東京、神奈川、大阪であり、今後も緊急事態宣言が継続される自治体だろう。
それにしても東京の感染拡大が収まらない。朝日新聞5月6日朝刊でみると、感染者数累積値が最大値順に、世田谷区415人、新宿区336人、港区289人、杉並区215人、大田区197人と続く。都心の千代田区は31人と低い。風俗街がある新宿区が多いのはわかるが、住宅の多い世田谷区が何故最大値なのか。地元情報を聞くと、広域商店街は他所から来たビジターも含め人出があるようだ。戸越銀座、三軒茶屋、玉川、神楽坂・・・。つまり広域商店街には、品揃えが充実した広域集客食品スーパーがある。そうなると広域商店街等が今の感染源になっている可能性も考えられるのだが、はたして実態はどうなのだろうか。さらには新宿区のメディカルセンターで30人の院内感染発生したとする情報もある。難儀な東京である。
他方で1週間前から0値または低値推移が続くのが、宮城、新潟、静岡、岡山、熊本であり、緊急事態宣言を解除してもよい自治体である。実際には、基本再生数が1以下であれば宣言解除になるだろう。その他の自治体は、今後2週間以上新規患者数が低値で推移し、基本再生産数が1以下になれば、これらも宣言対象外になってくる可能性はあるのだろう。それが愛知、京都、広島である。その他はこれまでの実績からするとしばらくは宣言下が予想される。もちろん実際には、専門家達がそのあたりを数理モデルで試算し判断するでしょう。その感染症流行の抑止条件は・・・
(1-p)R0<1→p<1-1/R0 R0:基本再生産数、p:予防接種率
予防接種率は0だが、抗体のある人間の数をpとして算入するのか・・、だがそんな情報があるのか。だからexcelで組むのは放置したままになっている。
2.退院数と発生数の比
16都道府県別に直近2週間の、1日退院数と1日発生数を比較してみた。値が1以上であれば退院数≧発生数であり緑で示した。また#DIV/0!は、分母の発生数が0値のためのexcel固有表記であり、これも退院数>発生数の関係をみたしている。そこでこの2つを合算した値を安全日と称し合計値を右欄に示した。また1未満であれば退院数<発生数となり黒字で示し非安全日の自治体である。尚赤字は元データの欠損値である。
合計値をみると安全日2日以下と5日以上とに二分されている。安全日2日以下は、北海道、埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫が該当し、それ以外は安全日5日以上である。
さらに直近2週間の1/2の7日以上安全日がある自治体は、宮城、新潟、京都、広島、岡山、熊本の6自治体である。14日頃に政府の緊急事態宣言の見直しがあるので、このような推移を続けてゆけば宣言解除の自治体となる。東京などとともに特別宣言指定をうけている京都は、14日時で制限を解除される可能性があるのではなかろうか。
3.その他
最近ニュース報道をみたら武漢型ウィルスから今はヨーロッパ型ウィルスが蔓延しているとする報道を聞いた。はてそんなタイプ分けをするほどウイルスの特性がわかってきたのだろうか。もちろんそれらの型の定義は報道されていないから、メディアの報道は、そんな風説ばかりだ。だから公開された情報を自分で集計し考察し、幸いにも結論をえた。そしてこの程度の単純構造(都市計画の立場からみればだが)だと、今後新しい構造なり知見が生まれるとは考えられない。
だから8回続けた新型コロナウィルスに関する記述も、これ以上私が語る必要がないので終わりとする。しばらくは、荒唐無稽な官能小説の執筆で、ステイ・ホームしていようと思う。
バリエール抗ウイルスマスク 左側が医療関係者の使用しているN95、私は通常右側を使用している。
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