Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

ZEISS の空気88. 小説:小樽の翆104. 小樽気質

2020年05月23日 | Sensual novel

 

 このところ翆は準夜勤続きだ。実は翆もアチキも準夜勤の日が好きだ。たっぷり朝寝坊して普段の生活の夜更かしぐらいだからというのもあるし、夜中に帰るので人のいない真夜中に遊びにゆける。こんな時は人のいない真夜中の方が安心だ。といって出かける先は限られるけど・・・。

 だから午後は翆が出勤の準備を始めるから、その着替えの頃合いを狙ってクロッキーだ。

おっ、とそののまま・・・

翆「こんなポーズでいいかな・・・」

翆は小樽で生まれ育った。

翆は、裸婦を描かせろというと、拒否することがない。もちろんアーティストのパパの子というのもあるからクロッキーのモデルに慣れているというのもあるし、看護師だから裸に抵抗がないというのもあるし、それにクロッキーがデッサンの勉強になると理解しているから、そんな簡単な事だったら、いつでも脱いであげるよ!、という小樽気質だ。

小樽気質、坂道の多い狭い土地に肩を寄せ合って暮らしてきたから、みその貸し借り、一升マスの米の融通や病人の世話などは、向こう三軒両隣りの連帯感の形成を促していったのだろう。

そういえば小樽市内のたくさんの坂道には必ずといってよいほど砂袋や食塩が置いてある。車が坂道を上がれないときには、これを使え!、というわけだ。坂道が多い小樽ならではの光景だし、そのあたりも現代の小樽人気質の発想かな。

だから小樽っ子は、余計なお節介と思うほど他人に共感し、我がことのように思い、損得を離れて他人に奉仕することを無上の喜びとする気質は、翆にもよくあてはまる。ましてセックスで可愛がってあげたら、それ以上の愛情で返してくる。

だから昨日も、翆が夜中に勤務が終わって帰ってきてから、激しいセックスで燃えてしまったわけだ。

アチキが少し気だるい股間を引きずりながら、意識を奮い起こして翆の身体を描いている。

翆「パパがねぇー、人寄せができないって寂しがっているの・・・」

そうだ小樽っ子は、人寄せがすきなんだ。それを、集まるな!、という新型コロナウィルスのおかげで、果たせないのも悲しいものがある。そういえば、ツカモッチャン先生の所は7人の子供がいるから、こんなときでも賑やかだろう。そう裸の翆にいったら、スマホで電話している。うかつにテレビ電話にしたら翆のボディが映るから面白いなと思っていたが、さすがにそんなへまはしないか。アチキは電話している翆のボディを眺めながらクロッキーをしている。

・・・

翆「学校がお休みなので、毎日林間学校に来ているみたいだって。上のお姉ちゃんが毎日のスケジュールをつくって、規則正しい生活をさせて、下の子達に勉強を教えているんだって。暇なのはツカモッチャン先生よ。だって学校がお休みじゃ、することないもんね。それで、パパ十万円はいったら美味しい物をたべにゆこうね、と子供達に誘われているんだって」

給付金一人10万円というと、ツカモッチャン先生の所は9人家族で90万円かよ、すごっ!、一寸ビッグな臨時収入だな。

・・・

翆「さて、今日も修羅場ですぅー、感染者増えたもんね」

そういって、インナーをつけはじめた。

翆「こんなインナーで、どうお?」

おいおい、戦場にゆくのにインナーを選ぶなんざあ、いい度胸だ。いや、何があるかわからないから、インナーぐらいは選びたいのか。

翆「夜中に房チャンのお店ね、こんな時だからお店はやっていなくて、一晩一組だけ予約が来たときだけ、お店をあけることもあるんだって」

そういって、翆は夕方準夜勤で出勤していった。

 

小樽市舟見坂

SONYα6600、SEL3.5-5.6/18-135mm

1)ISO160,焦点距離34mm,露出補正-0.3,f/11,1/60

2)ISO320,焦点距離19mm,露出補正-0.3,f/11,1/30

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