冬枯れのつなぎで始めた、小説:小樽の翆も、新型肺炎のため沖縄ダイビングへ出かけることができないなどで、当初の目論見とは異なり、ついに100回のシリーズになってしまった。
このシリーズを書き始めた頃、小樽を二度訪れた。この頃は全国的に新型肺炎が蔓延しておらず、北海道にクラスター感染者が発生した位で小樽にはまだ感染者がいなかった。北海道の感染状況をみながら出かけるとすれば今しかないと判断し、バリエールのマスクをつけて小樽へ出かけたのは正解だった。そして2回目の小樽を発った最終日、ついに小樽に初感染者が発生しきわどかった。今は出かけるどころではない。
当時考えたのが運河沿いの観光地は避けて普段の小樽の生活の風景を撮影したい。それで住宅街のなかの宿を探していたら、大正時代の洋館をリニューアルしたゲストハウス:リトルバレルが目にとまった。それは住宅街の丘の上にある瀟洒なゲストハウスだがシャワーだけしかない。実は近所に神佛湯という家族風呂付銭湯がある。だから宿のタオルを持って神佛湯に日参し、歩いてほどない花園銀座で夕飯を食べるという至福の時間が過ごせた。普段暮らしがある小樽の雪の街が、これほど魅力的だとは想像だにしなかった。
そんなわけで近年雪の街に来ることがなかった私の生活のなかで、小説のイメージを大いに補強してくれた。もしよくある高層ホテルに泊まっていたら、そんな経験は先ず不可能だっただろう。
小樽では、小説のアチキや翆の気分になって生活の風景を追いかけた。ここが翆の木賃アパートで、コンビニはここで、ランドリーはここ、それにちゃんと家族風呂付銭湯もあり、なんと大きな生協や飲み屋などの繁華街があり、そして感染症指定の総合病院もあるではないか。道東の山々が見えているアップダウンがある変化の多い小樽の街の景観も小説のイメージを大いに増幅させてくれた。実は、こんなにうまく架空の話の舞台に出会えるとはおもっていなかったし、まだ小説のモチーフにするような少し古い時代の空気が残っていたのだ。
もう一つメモすれば小説は、様々な断片的な情報や、聞きかじった情報、出先で経験した情報、医療関係者の裏話、それに官能小説の濡れ場の場面、私のクロッキーもなど駆使して、1つのストーリーに集約できるところが面白い。もちろん架空の話だから信憑性や裏付けは不用だ。
そんな小説を最初から読もうとすれば、このブログのカテゴリーのなかにSensuai novelでまとめている。初期の頃と読み比べると、現地取材もしたから、少しは小樽の翆の空気に近づいたと思われる。
さらに雪国の冷たさを表現するために撮影画像は、Photoshopでトーン、彩度、カラー補正をおこない、青みを強調し、goo用に1024dpiに縮小して、ブログにアップしている。それは時にツァィス・プラナー風の色かと感心することもある。
今は緊急事態宣言発令下だから、旅に出て新しい発見を仕込む事は不可能だ。だが小説のようにクリエイションとなると、イメージだけ最初に集めてさえおけば、後は発想すればよいわけだから、ステイホームの格好の時間つぶしだと解釈している(笑)。
小樽市花園、相生町
NIKON Df、AF-S NIKKOR28-300mm3.5-5.6G
1)ISO400、焦点距離90mm、露出補正0、f/11、1/640
2)ISO400、焦点距離28mm、露出補正0、f/11、1/400
3)ISO400、焦点距離122mm、露出補正+0.33、f/11、1/250
4)ISO400、焦点距離90mm、露出補正+0.67、f/11、1/320
5)ISO400、焦点距離116mm、露出補正-0.33、f/11、1/500