Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

ドローイング571. 小説:小樽の翆499.建築家榊原さんが再びやってきた

2022年02月06日 | Sensual novel

 

 ベーヤンから、フィリピンでは著名、そして日本では無名の建築家榊原守さんが来ているから、また飲もうとお誘いがアチキのスマホに来ていた。だから、いつものオーセントホテルにあるバーラウンジのカウンターで男三人の飲み会だ。

「あら、フィリピンに帰ったのでは・・・」

榊原「札幌に仕事があるから、しばらくこちらですごしています」

ベーヤン「また、男と女の話がいい!」

榊原「フィリピーナならいくらでもありますよ。例えば女は、綺麗になってから男と出会うのか、それても男と出会ってから綺麗になろのか?、という命題みたいなものがある」

ベーヤン「日本じゃ、年頃になると男捜しのために、親が綺麗にさせるもんね。見合いなんていったら、あの手この手で着飾って・・、どうです!、うちの娘は!!、てな調子で高く売りつけようとするけどさ・・・」

榊原「フィリピン、それもマニラみたいな都会ではなく、田舎だったら、少し違うと思う」

「ほう、それで・・・・」

榊原「地のままで男と見合いする。だからよく言えば素朴、別の言い方をすれじ原始的。原始人と見合いするようなものですよ」

「地のままでも、よければOKというわけだ。そこから磨けば綺麗になるのは当たり前じゃん、というわけだ」

榊原「だって私の嫁が、男探してっていってきたから友達のフィリピーナの写真を送ってきたんですよ。それがこれ!」

「見合い写真というわけだ。これ全然普段の姿じゃん。なんか南の島の加工工場の叔母さん、いや姉ちゃんみたいだ」

榊原「それでもアピールしているんですよ。だってブラの姿ですから・・・。この格好で歩いていたりするし」

「開放的なの?」

榊原「実は、田舎だから保守的ですよ。だってこんな写真しかないなら男なんかこないよ。いっそヌードにしちゃえと冗談で上さんにいったわけ。そしたら上さんが『だって、結婚したら旦那は彼女の裸を見るでしょう。それが二人の楽しみよ。セミヌードで十分アピールしたいるのよ』だって」

ベーヤン「日本じゃ、見合いの写真にセミヌードはないけどなぁー・・」

「つまり見合いが基本なのかい?」

榊原「それは、男次第。やはり仕事ができてお金のある男なら紹介してよ・・・、なのよ。地元だとまともな仕事についている男って少ないのよ。だから彼女たちも、仕事ができる日本の男性ならば目一杯アピールするわけ。だって恋愛じゃ良い男は地元ではみつからないし、場合によっては妊娠させられて、渋々地元の男と結婚するのが一般的かなぁー。それが恋愛結婚の結末。だからやはり見合い願望でお金のある男狙いね」

「それでセミヌードですかぁー」

榊原「彼女たちの目一杯のアピールね。それに出会い系サイトがインチキだというのは、フィリピンの田舎の女の子達でも知っているしさ」

「情報が世界的に拡散するということは、アクティブな情報もネガティブな情報も同時に世界中へ拡散するわけだから、当然免疫体質も世界的にできるわけだよね」

ベーヤン「そうなると恋愛とか見合いといった概念なんかもともと存在していなくて、つまり出会い方があるだけだよな。出会わないと恋も始まらない」

「でしょう。だって出会い方を第三者がサポートしてくれるか、自分で見つけるかの違いだけ。第三者がサポートしてくれると、そこに紹介者の主観が入る事もある。例えば家の家風に合うとか、合わないからやめておこうとか・・・、まあいろいろと日本の過去にはあった」

榊原「そうですね。出会いがあることに意味がある。見合いも出会い系の信頼できる親族バージョンかな。((*^▽^*))」

そうしていると榊原さんのスマホに奥さんから電話があった。

ものすごく大きな声で「寂しいよぉー」と回りに聞こえていた。榊原さんは「ハイハイ、仕事が終わったらすぐに帰りますから・・・」と恐縮していた。

・・・

雪の覆われた小樽の山の端に陽が沈んでゆく。

コメント
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