遺伝子組換え技術を用いて開発した世界初の青いバラ「アプローズ」が今月から発売されるという。バラには青い色素がないため青いバラは、「不可能の代名詞」といわれ、バラ愛好家の中では夢とされているが、開発の歴史は古く、57年に「スターリング・シルバー」や「ブルームーン」の品種が発表されている。「喝采」と名付けられた品種は、写真で見ても従来の品種よりも鮮明に青を発色して目にも鮮やかだ。
「ブルームーン」よりも前の56年に「ブルーローズ」を発表したのはエリントンである。とは言っても美しいことは同じだが花ではなく、ロージーことローズマリー・クルーニーに捧げられた曲だ。エリントンは女性に花のかわりに曲を贈ることを習慣にしており、エリザベス女王をはじめ、エラ・フィッツジェラルド、アリス・バブス等、女王からシンガーまで幅広い。作曲の嗜みがある人が女性を口説くために曲を贈る話はよくあるが、紳士のエリントンが贈ったのはその女性を讃える「喝采」であり、その女性だけしか持ち得ない「美」を表現したものだった。捧げられたどの曲もその女性にとって最も似合う装いである。
「ブルーローズ」をタイトルにしたアルバムは、ロージーが妊娠中だったため、エリントン楽団の伴奏テープにあとから歌を吹き込む形で作られたものだが、そんな背景など感じさせないほど楽団と一体になった歌唱だ。アレンジャーのビリー・ストレイホーンが、事前にキーやテンポなどを綿密に打ち合わせた結晶であり、それはエリントンが楽団の専属シンガー以外と初めて作るヴォーカル・アルバムとしてもエリントンの名に恥じない傑作であろう。重厚なハーモニーと強力なスウィングに変わりはない録音テープをバックに、エリントンが丹精込めて書いた曲を丁寧に歌うロージーはバラよりも美しい。
多くのバンドリーダーはどんなに優れたソロイストとアレンジャーを揃えても不可能なのはエリントン・サウンドだという。遺伝子組換え技術により、美味しい食品や美しい花が開発されることに吝かではないが、安全性や倫理性には疑問が残る。バラにしてもより自然に近い色を持つ青いバラも出来るのかもしれないが、どんな技術を駆使しても自然の色には追いつかないだろう。「不可能の代名詞」は不可能のままでいい。
「ブルームーン」よりも前の56年に「ブルーローズ」を発表したのはエリントンである。とは言っても美しいことは同じだが花ではなく、ロージーことローズマリー・クルーニーに捧げられた曲だ。エリントンは女性に花のかわりに曲を贈ることを習慣にしており、エリザベス女王をはじめ、エラ・フィッツジェラルド、アリス・バブス等、女王からシンガーまで幅広い。作曲の嗜みがある人が女性を口説くために曲を贈る話はよくあるが、紳士のエリントンが贈ったのはその女性を讃える「喝采」であり、その女性だけしか持ち得ない「美」を表現したものだった。捧げられたどの曲もその女性にとって最も似合う装いである。
「ブルーローズ」をタイトルにしたアルバムは、ロージーが妊娠中だったため、エリントン楽団の伴奏テープにあとから歌を吹き込む形で作られたものだが、そんな背景など感じさせないほど楽団と一体になった歌唱だ。アレンジャーのビリー・ストレイホーンが、事前にキーやテンポなどを綿密に打ち合わせた結晶であり、それはエリントンが楽団の専属シンガー以外と初めて作るヴォーカル・アルバムとしてもエリントンの名に恥じない傑作であろう。重厚なハーモニーと強力なスウィングに変わりはない録音テープをバックに、エリントンが丹精込めて書いた曲を丁寧に歌うロージーはバラよりも美しい。
多くのバンドリーダーはどんなに優れたソロイストとアレンジャーを揃えても不可能なのはエリントン・サウンドだという。遺伝子組換え技術により、美味しい食品や美しい花が開発されることに吝かではないが、安全性や倫理性には疑問が残る。バラにしてもより自然に近い色を持つ青いバラも出来るのかもしれないが、どんな技術を駆使しても自然の色には追いつかないだろう。「不可能の代名詞」は不可能のままでいい。
エリントンは多くの曲を残しており、多くのプレイヤーが取り上げております。今週はエリントンを歌ったお好みのアルバムをお寄せください。プレイズ・エリントンは機を改めて話題にします。
管理人 Sings Duke Ellington Best 3
Tribute To Duke (Concord Jazz)
Rosemary Clooney / Blue Rose (Columbia)
Nina Simone Sings Duke Ellington (Colpix)
エリントンと共演作品やトリビュート・アルバムが数多くありますので、何が挙げられるのか楽しみです。
今週もたくさんのコメントをお待ちしております。
今週の記事は、以前拙稿に寄せられた三具保夫さんのコメントを参考にしております。
「Sophisticated Lady / Carol Sloane」ですね、
すぐ思いつくのは。
キャロルはもう一枚、「Romantic Ellington」という
エリントン集を出していますが、「Sophisticated~」のほうが、いいです。
それにしても、エリントン・ソングブックを2枚も
出すというのは、よほど思い入れが強いのでしょうね。
エリントンとの共演がないのが残念です。
ヴォーカルではありませんが、
「モンク・プレイズ・エリントン」も、捨てがたいですね。
あと、ベースの藤原清登さんの
「Duke & Mingus」での
African Flower, Mood Indigo, Money Jungle
のエリントン・ナンバー3曲はインパクトが
強かったです。
いきなり、番外編から入ったみたいで、すいません。
ありそうでいて、思いつかない。あまり聴いていないのかもしれませんが。
唯一、エラの「Sings the Duke Ellington Song Book」だけです。
しかし、これはお気に入りです。
Mood Indigo、スローテンポのIn A Mellow Toneがいいなあ。
これは私には難問だ!
プレイズ・エリントンだったら・・・と思っております。
今、浮かぶのはduke様が挙げられた、ローズマリー・クルーニーの「ブルーローズ」だけです。(泣)
今週は皆様のコメントで勉強する週のようです。
やはりキャロルが挙がりましたね。「Sophisticated Lady」は私も好きなアルバムでして、今回も悩んだ1枚です。タイトル曲に相応しい女性です。
「Romantic Ellington」は、タイトル通りの選曲でして、エリントン・ナンバーでもロマンと夢に溢れる曲ばかりです。ゴルソン参加が嬉しい作品ですね。
エリントン・ソングブックを2枚も出すのは珍しいケースですが、それぞれ違う味わいがありますし、キャロルもエリントン・ナンバーが好きだったのでしょう。キャロルはベン・ウェブスターとの共演がありますが、おっしゃるように御大との共演がないのは残念なことです。
プレイズ・エリントンも数多くありますので、話題にしたいネタです。25-25 さんのトップはモンクと心得ておきましょう。
藤原清登さんの「Duke & Mingus」は、聴いていないのが残念です。先日お会いした鈴木良雄さんが共演したことがあり、いいベースだよ、と仰ってました。聴きたいアルバムです。
それほど多くはありませんが、エリントン・ソングブックは優れた内容が多いですね。
エラもその1枚です。In A Mellow Tone はメローな曲想を上手くつかんでおります。そういえばこの曲は、「ローズ・ルーム」のコード進行に基づいております。バラにつながりましたね。
シングス・エリントンは難問でしたか。プレイズ・エリントンは数多くありますので、私には難問です。(笑)
「ブルーローズ」は、ローズマリー・クルーニーにとってもエリントンにとっても記念すべき作品と思います。選曲はベストですね。
キャロル・スローンは、近年「Dearest Duke」というアルバムも出していますので、
3枚ですね。
ヴォーカル盤のエリントン集、うーん、なかなか出てこない。
最近聴いた中では、Teresa Brewerのエリントン集がよかったな。
エリントン・ソングブックが複数存在するのはそういった理由からです。
さらに、キャロルはどんなアルバムにもエリントンを1曲入れることにしているといっていました。それほど好きなのですが、例外もありましたね。
>キャロル・スローンは、近年「Dearest Duke」というアルバムも出していますので、
3枚ですね。
そうですか、それは知りませんでした。
>最近聴いた中では、Teresa Brewerのエリントン集がよかったな。
テレサは、ベスト盤1枚持ってるだけなんですが、
どうもあの甲高い声質は、苦手だなあ・・・。
>三具さん。
>キャロルはどんなアルバムにもエリントンを1曲入れることにしているといっていました。
そういえば、エリントンもの以外にソングブックはないですね。
>それほど好きなのですが、例外もありましたね。
ラリー・エルガートproduce による、50年代の
初リーダー作「Early Hours」(最近紙ジャケで
再発されました)には、収録なかったですね。
記憶ベースなので、違ってたらすみません。
しかし、まああれは、それ以降のアルバムと違って、
明確に自身がモチベーションを持って造ったアルバム
というわけではないから、カウントすべきじゃないかも。