国立人類学博物館には12万点超の文化財があるのだそうです。
その中から、ほんの数点だけをご紹介したいと思います。
上の写真はチャックモールという、生贄の心臓を献上するための、人間と同じ大きさの銅像。
このおなかの丸い穴に心臓を入れたのだそうです。
切れ味の良い黒曜石のナイフで生身の身体から切り取られた心臓は
取り出されても暫くはピクピク動いていたのですって。
アステカの人々は太陽に永遠に光り輝いて貰う事を祈って、太陽のエネルギーの元だと信じられていた、人の心臓や血液を捧げたのだそうです。
生贄にされるのは、戦争捕虜や奴隷だけではなく、一般の人民も。
その儀式は、戦勝記念や神殿の落成式、王の戴冠式などのお祝い、月に一回以上あるお祭り、或いは天変地異の時など、事ある毎に施行されたのだと。
テノチティトラン最大のピラミッドが完成した時には4日間生贄の儀式が続き、
生贄になる人々の長い列ができていたのですって。
シウテクートリ(火の神)の祭りでは、まず何人かを火の中に放り込み、
かなり焼いた後、火から引っ張り出し、息絶える寸前に動く心臓を取り出したと。
テスカトリポリの祭りでは、眉目秀麗、完璧な体の若者を一年前に選び出し、
一年間着飾らせ、食事、教育など最高の贅沢をさせ、何人もの美女を与え、
そしてその日を迎えさせたのだと(その女性バージョンもあり)。
いやもう、身の毛がよだつようなことばかり。
この壺の中の小さな骸骨は幼い子供のもののよう。
説明はスペイン語だけなのでさっぱり分かりませんでしたが、これも生贄だったのか。
これは7世紀のパカル王の翡翠の仮面。
その頃、翡翠は黄金より貴重なものであり、顔全面を翡翠に覆われ、何重もの首飾りをかけ、手には翡翠の玉を握り、全ての指に翡翠の指輪を。
この豪華な仮面が、実は1985年12月24日のクリスマスイブの夜に、通気孔から進入した泥棒に盗まれたのだそうです。
しかし4年後、犯人は呆気なく捕まった。
警察官が何気なく尋問した挙動不審者の自宅から、盗まれた秘宝が発見されたのですって。
宝石類数点は海外で売られたらしいが、さすがに有名な秘宝は持ち出すことが
できなかったとみえ、無事だったのだと。
こんなルパンのような窃盗事件が本当に起きたことも、そしてマヌケな結末を迎えたことも、あまりにもメキシコらしいと言ったら怒られるかな。
参考文献 古代マヤ・アステカ不可思議大全 芝崎みゆき
マヤ・アステカ遺跡へっぺり紀行 柴崎みゆき
アステカ文明の謎 高山智博
アステカ文明の謎 高山智博
古代マヤ文明不思議物語 村上達也