ドラマのとびら

即興の劇や身体表現で学ぶ、教える、浮き沈みの日々とその後

ドラマセラピーとドラマ教育と「学びの即興劇」

2008-01-11 09:05:28 | お知らせ

Photo 本の紹介2

『ドラマセラピーのプロセス・技法・上演』R.エムナー著・尾上明代訳(2007年)北大路書房

「学びの即興劇」http://www.drama-ee.net/の始まりは心理劇との出会いでした。それで、日本心理劇学会や西日本心理劇学会に属しているのですが、どうも私のやっていることは心理劇ではないと気づき始め、なんとなく居心地の悪い思いをしていました。

ドラマ教育に出会って、「学びの即興劇」はドラマ教育の一隅らしいと分かってきました。でも日本ではドラマ教育に関して研究や実践を積み重ねていくのは、まだまだこれからのようです。

この本は、ドラマセラピーについて書かれたものですが、とても視野が広く、ドラマセラピーの分野がどのような世界から成り立っているのかがまず示されています。また、ドラマとセラピーの過程との関わりが記述され、ドラマがそれぞれの過程でどのように使えるのか、よく分かります。ドラマについては様々なジャンルがあり、それが必要に応じてセラピーに取り入れられているを知ることができます。

訳者の尾上さんhttp://www13.plala.or.jp/dt/とは不思議なご縁で、最初は日本心理劇学会大会で、インプロのワークショップで参加者同士として出会い、次は私が受講したLプロ(プレイバック・シアター実践リーダーの養成プロジェクトhttp://playbacktheatre.jp/index.html)のドラマセラピー体験講座の講師としてお目にかかりました。

尾上さんが、「ドラマセラピーというのは、サイコドラマを含めてドラマのあらゆる分野を含んでいるのですよ」といわれた意味が、この本で良く分かりました。

セラピーという視点から書かれているので、自分の意志とかかわりなくクラスに配属された生徒たちには、用いることができないこともたくさん書かれています。でも、ドラマが個人の心理にどこまで影響を与えるかが分かるので、逆に「クラスではこれをやってはだめだ」ということを知る参考にもなるでしょう。

この本を読んで、「学びの即興劇」の手順というのもひとつの技術にすぎず、教育か心理治療かということで割り切れるものではなく、使い方だと思いました。

言葉を変えれば、教育と治療の線引きが曖昧な領域があり、であるからこそ、両方の分野の人がともにドラマについて語ることは、必要なことかもしれません。そういう意味では、私が心理劇の学会に属している事も意味があるのかも。

このような、ドラマ教育の本が欲しいと思いました。ドラマ教育にかかわる世界を広く見渡しながら、その人のドラマ教育実践全体が見えてくるような本。日本しか視野にない私が知らないだけで、探せば世界にはあるのでしょうか?だれか、教えて?

日本でも、ドラマ教育を長年実践している方はおられると思うのです。誰かが書いてくれることを期待しています。

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