これまでムーミンを読んで、良かったとか感動したとか思ったことがない。
まりこさんにムーミンランドに行こうと誘われたとき、正直言って気乗りがしなかった。
それでムーミンを読んでみることにした。
トーベ・ヤンソン原案という絵本が多くて、実は私はトーベが書いたものを読んでいなかったと気づいた。ムーミンを借りて、誰か違う人が書いたものらしい、と。
ここまでは、全回書いた。
それでムーミン全集を1から読んでみることにした。以下、ムーミン全集(講談社)より。
ムーミン全集1 ムーミン谷の彗星
スニフがとても面白い。怖がりで、自慢したがりで、キーキーと自分の存在を主張したがり、宝欲張りで、文句を垂れるし、良い子ではないけれど、愛すべき存在。
スナフキンは自由に生きている。誰にも束縛されず、誰も束縛しない。
じゃこうねずみが「地球が滅びる」などと子ども(ムーミン)の前で言うので、ムーミンママがムーミンパパに「じゃこうねずみさんが、子どもたちをいっそうこわがらせるのよ。あの人に楽しい話をするか、そうでなければ、なにもいわないように、おねがいしてくださいません?」とたのんだとき、言ったムーミンパパのことば。
「うん、そうしてみよう」「あの人は、ひとりぐらしが長かったから、いいたいことをそのまま口に出してしまうんじゃないかな」
ママに同意しつつも、じゃこうねずみへの思いやり。
ガーネットの谷間で、スニフがかかえきれないほどガーネットを採るが、オオトカゲに追われて結局すべて失くしてしまう。
逃げ帰ったスニフと谷底のオオトカゲを見て、ムーミンは「なんてこった」
スニフは地面に座り込んで泣いている。
スナフキン「すんだことだよ。ね、きみ」
スニフ「ガーネットが……ぼく、一つも取ってこられなかったよ」
スナフキン「なんでも自分のものにして、持って帰ろうとすると、むずかしくなっちゃうんだよ。ぼくはみるだけにしてるんだ。そして立ち去るときには、頭の中へしまっておく。ぼくはそれで、かばんを持ち歩くよりも、ずっとたのしいね」
スニフ「ガーネットはリュックに入れられたのに。(そのリュックも波にのまれてなくしてしまうのだが)観るだけと、手に持って自分のだと思うのとは、ぜんぜんちがうよ」
こういったやりとりを通して見える価値観の違いのおもしろさ。
自分はどうだろうか。
ムーミン全集2 楽しいムーミン一家
にょろにょろの気圧計をヘムレンさんがとってしまい、ヘムレンさんは取り返しに来たにょろにょろに感電したり、その拍子にテントを倒してその下敷きになったりする。
ヘムレンさんは嘆く。
「これじゃあ、あんまりだ。どうしてなんの罪もないまずしい植物学者が、平和な一生をおくれないのだろうか」
「生きるってことは、平和じゃないんですよ」とスナフキン。
自分が原因をつくっていることの分からなさ。生きるとはどういうことか。
ムーミン全集3 ムーミンパパの思い出
フレドリクソンとムーミンパパの会話
ム「ヨクサルがあんなに無関心なのは、おかしいと思わないか?」
フ「ふむ、もしかしたらまるっきり反対で、ヨクサルはあらゆることを気にかけているのかもしれないよ。落ち着き払って、ほどほどにね。
ぼくたちは、一つのことばかり考えてしまうんだなあ。きみはなにかになりたがっている。ぼくはなにかをつくりたいし、僕の甥は、なにかをほしがっている。それなのにヨクサルは、ただ生きようとしているんだ」
ム「生きるなんて、だれにだってできるじゃないか」
フ「ふむ」
ここでも、生きるとはどういうことか。
お化けがムーミンパパの予言通りやって来てみんなを驚かすかどうか、不安の中で待つムーミンパパの心の内。
どんなことをしてでも、まわりに強い印象をあたえたいというのが、わたしの性分なんです。尊敬でもいいし、同情でもいいし、恐怖でもいい。とにかく、人にわたしというものを印象付けることです。この性分はたぶん、人から無視されがちだった、わたしの子ども時代の影響でしょうね。
自分自身への省察。
自由気ままな冒険仲間が定住に安住しているのを見て、
いちばんこまったのは、そういうくらし方が、わたしにもうつってしまったことでした。略
愛する読者のみなさん、わたしの気持ちをわかってくれるでしょうか。はじめのうちは、たとえ閉じこめられていても、外のことを気にしていたのですが、しまいにはなんにも考えなくなってしまいました。
自分自身への省察。
生きること、自分というものについて、常に語られる。
ムーミントロールのお話は、多様な生き様を登場させ、負の感情をいだいても、誰かの前向きな、あるいは深みのあることばをちりばめて、日常と冒険を織りまぜておおむね楽しく進んでいく。
第7巻は、ちょっと様子が違う。
負の感情が渦巻く。
トーンが暗い。
スナフキンでさえ、不機嫌だ。
それでも時間が立つにつれ、それぞれの道へ歩みだしていく。
ムーミンには興味が湧いてきたけれど、テーマパークにはあまり興味が湧かない。
まだ行ってないが、はたして行くのだろうか。
まりこさんにムーミンランドに行こうと誘われたとき、正直言って気乗りがしなかった。
それでムーミンを読んでみることにした。
トーベ・ヤンソン原案という絵本が多くて、実は私はトーベが書いたものを読んでいなかったと気づいた。ムーミンを借りて、誰か違う人が書いたものらしい、と。
ここまでは、全回書いた。
それでムーミン全集を1から読んでみることにした。以下、ムーミン全集(講談社)より。
ムーミン全集1 ムーミン谷の彗星
スニフがとても面白い。怖がりで、自慢したがりで、キーキーと自分の存在を主張したがり、宝欲張りで、文句を垂れるし、良い子ではないけれど、愛すべき存在。
スナフキンは自由に生きている。誰にも束縛されず、誰も束縛しない。
じゃこうねずみが「地球が滅びる」などと子ども(ムーミン)の前で言うので、ムーミンママがムーミンパパに「じゃこうねずみさんが、子どもたちをいっそうこわがらせるのよ。あの人に楽しい話をするか、そうでなければ、なにもいわないように、おねがいしてくださいません?」とたのんだとき、言ったムーミンパパのことば。
「うん、そうしてみよう」「あの人は、ひとりぐらしが長かったから、いいたいことをそのまま口に出してしまうんじゃないかな」
ママに同意しつつも、じゃこうねずみへの思いやり。
ガーネットの谷間で、スニフがかかえきれないほどガーネットを採るが、オオトカゲに追われて結局すべて失くしてしまう。
逃げ帰ったスニフと谷底のオオトカゲを見て、ムーミンは「なんてこった」
スニフは地面に座り込んで泣いている。
スナフキン「すんだことだよ。ね、きみ」
スニフ「ガーネットが……ぼく、一つも取ってこられなかったよ」
スナフキン「なんでも自分のものにして、持って帰ろうとすると、むずかしくなっちゃうんだよ。ぼくはみるだけにしてるんだ。そして立ち去るときには、頭の中へしまっておく。ぼくはそれで、かばんを持ち歩くよりも、ずっとたのしいね」
スニフ「ガーネットはリュックに入れられたのに。(そのリュックも波にのまれてなくしてしまうのだが)観るだけと、手に持って自分のだと思うのとは、ぜんぜんちがうよ」
こういったやりとりを通して見える価値観の違いのおもしろさ。
自分はどうだろうか。
ムーミン全集2 楽しいムーミン一家
にょろにょろの気圧計をヘムレンさんがとってしまい、ヘムレンさんは取り返しに来たにょろにょろに感電したり、その拍子にテントを倒してその下敷きになったりする。
ヘムレンさんは嘆く。
「これじゃあ、あんまりだ。どうしてなんの罪もないまずしい植物学者が、平和な一生をおくれないのだろうか」
「生きるってことは、平和じゃないんですよ」とスナフキン。
自分が原因をつくっていることの分からなさ。生きるとはどういうことか。
ムーミン全集3 ムーミンパパの思い出
フレドリクソンとムーミンパパの会話
ム「ヨクサルがあんなに無関心なのは、おかしいと思わないか?」
フ「ふむ、もしかしたらまるっきり反対で、ヨクサルはあらゆることを気にかけているのかもしれないよ。落ち着き払って、ほどほどにね。
ぼくたちは、一つのことばかり考えてしまうんだなあ。きみはなにかになりたがっている。ぼくはなにかをつくりたいし、僕の甥は、なにかをほしがっている。それなのにヨクサルは、ただ生きようとしているんだ」
ム「生きるなんて、だれにだってできるじゃないか」
フ「ふむ」
ここでも、生きるとはどういうことか。
お化けがムーミンパパの予言通りやって来てみんなを驚かすかどうか、不安の中で待つムーミンパパの心の内。
どんなことをしてでも、まわりに強い印象をあたえたいというのが、わたしの性分なんです。尊敬でもいいし、同情でもいいし、恐怖でもいい。とにかく、人にわたしというものを印象付けることです。この性分はたぶん、人から無視されがちだった、わたしの子ども時代の影響でしょうね。
自分自身への省察。
自由気ままな冒険仲間が定住に安住しているのを見て、
いちばんこまったのは、そういうくらし方が、わたしにもうつってしまったことでした。略
愛する読者のみなさん、わたしの気持ちをわかってくれるでしょうか。はじめのうちは、たとえ閉じこめられていても、外のことを気にしていたのですが、しまいにはなんにも考えなくなってしまいました。
自分自身への省察。
生きること、自分というものについて、常に語られる。
ムーミントロールのお話は、多様な生き様を登場させ、負の感情をいだいても、誰かの前向きな、あるいは深みのあることばをちりばめて、日常と冒険を織りまぜておおむね楽しく進んでいく。
第7巻は、ちょっと様子が違う。
負の感情が渦巻く。
トーンが暗い。
スナフキンでさえ、不機嫌だ。
それでも時間が立つにつれ、それぞれの道へ歩みだしていく。
ムーミンには興味が湧いてきたけれど、テーマパークにはあまり興味が湧かない。
まだ行ってないが、はたして行くのだろうか。
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