バス運転士のち仕分け作業員のち病院の黒子 by松井昌司

2001年に自分でも予想外だったバス運転士になり、2019年に某物流拠点の仕分け作業員に転職、2023年に病院の黒子に…

学校は4月1日から始まるのかぁ…

2009年04月02日 23時57分19秒 | バス運転士

昨日、某駅で運転士仲間と話をしていて「今月から学校へ通う車椅子の人が毎日乗るらしい」という話を聞いた。そう、私が担当していた某地域巡回バス3号のことだったのだが、その時の私は「そうなんだぁ…」と軽く聞き流していたのである。朝、いつも使っている専用バスの扉が故障して、違うタイプのバスで乗務していることも忘れて… また、約10分後にその車椅子の人と出会うことも知らずに…。。。

車椅子の彼は、お母さんと一緒にバス停で待っていた。私は「あぁ、さっきの話の… 今日からだったんだ!」と少し驚きながら、バス停を数m通過して縁石のない場所にバスを止めた。車椅子を乗せるためのスロープを使うからである(歩道全体が高くなっていれば問題ないのだが…)。私は駐車ブレーキをかけ、エンジンを止めて、すぐに準備に取り掛かったのだが… 「あれ? スロープがない!? 何処だっけ…」と、ちょっと焦った。スロープの収納場所は、バスのタイプによって違うのである。10~20秒くらいだろうか… 私は車内をキョロキョロしていて思い出した。そのバスのスロープは“車外”から取り出すようになっていることを…。。。まず、車椅子用スペースの席に座っていた乗客に声を掛けて席を移動してもらい、その座席を折りたたみ、スロープを取り出して固定して、車椅子の人を乗せて、ベルトなどで車椅子を固定して、スロープを外して収納して… 「お待たせ致しました。発車します」と言って発車したのだが、私が作業をしていた数分間、車内はシ~ンとしていて… 逆にお母さんは「これから毎日乗りますので宜しくお願いします」と言い、何度も「すいません…」を繰り返していた。私の思い過ごしかもしれないが、その場の“空気”がとても重く感じられたので、私はお母さんに対して相槌を打ちながら、車椅子の彼にも「(固定用のフックを)ここに掛けても大丈夫ですか?」などと話しかけていた。そこから3つ先のバス停で車椅子の彼は降りて、バスは約10分遅れで発車したのだが… その時、乗客の中から「ハァ~…」という溜め息が聞こえたのである。偶然か否か…??? それからしばらくして、「バス、遅れてますか?」と無線で呼ばれた。きっと、その先のバス停で待っている乗客から営業所へ「バスが来ない!」という電話でも入ったのだろう。たまに「なんでこんなに遅れとるんだ!」と文句を言いながら乗ってくる客もいるけれど、幸い、車椅子の彼は3区間だけで降りるので、そのような暴言を直に聞くことはないと思う。その後しばらくの間、お母さんが繰り返していた「すいません…」という言葉が私の頭の中でグルグルと… そこまで恐縮しなくても良いとは思うのだが… もしも私がお母さんの立場だったら、同じようなことを言っているかもしれないし… まぁ、これからお互いに慣れてくれば、彼一人で気軽に乗ってくるとは思いますけどね。