バス運転士のち仕分け作業員のち病院の黒子 by松井昌司

2001年に自分でも予想外だったバス運転士になり、2019年に某物流拠点の仕分け作業員に転職、2023年に病院の黒子に…

迷えるおばさんに合いの手を…

2011年08月29日 17時28分34秒 | バス運転士

A駅で「○○停へ行きたいんだけど、どうすればいい? このバスで終点のB駅まで行って、バスを乗り継いでもいいんだけど… 本数が少ないでしょう?」と一人のおばさんに聞かれた。

私が運行表を指差しながら「この△△停から歩かれたらどうでしょう?」と答えると、おばさんは「そこからだと、かなり距離があるでしょう? それならB駅から歩いた方が近くない?」と言った。

そこで“○○停を一つ隣り(△△停寄り)のバス停と勘違いしていたこと”に気付いた私は「確かに、そうかもしれないですね」と、おばさんに同意した(実際に地図で調べてみると、○○停と△△停との距離は約600mで、○○停とB駅との距離は約400mであった)。そして、おばさんは終点のB駅で降りた。

それから数分後、私のバスは1番のりばから発車することになっていたのだが、同じ1番のりばから僅か1分前に発車するバスがあり… 私はそのバスが発車するのを待っていた。ところが、発車時刻になってもすぐに動かなかったので、私は「運賃精算かカード購入などで時間がかかっているのかな?」と思っていた。

そのバスが30秒ほど遅れて発車して、私は1番のりばへバスを移動… その時、1番のりばから2番のりばへ歩いている女性を発見した。そう、さっきのおばさんである。私は「そうか… 前のバスの運転士に○○停へ行くかどうか聞いていたんだ!」と思った。

それと同時に「まさか!?」と思っていたら、その“まさか”が的中してしまい… おばさんは2番のりばから1番のりばへ戻り始めたのである。私は「もう発車時刻を過ぎているし… 黙って行っちゃおうかな?」と思ったけれど、「やっぱり私が最後まで面倒をみなきゃいかんのか!?」と思い直しておばさんを待った。

おばさんは「このバスはどこへ行くの? え~っと… ☆☆停を通るの? それじゃ、そこから歩こうかしら!? ねぇ、※※温泉へ行きたいんだけど… ここからと☆☆停からとでは、どちらが近い?」と言った。“※※温泉”というのを初めて聞いた私は「すいません、※※温泉がどこにあるのか分からないんですよぉ… 申し訳ない…」と答えるしかなかった。

おばさんは「う~ん… どうしようかしらねぇ? でも、ここから歩くとしたら、かなり距離があるでしょ?」と言った。私は「いや… 私は歩いたことがないのですが、ここから○○停くらいまで歩く方はいらっしゃるみたいですよ」と答えた。以前、このB駅でバスに乗ってきたお婆さんが「○○停から歩いてきた」と言っていたのを思い出しながら…

おばさんは「そうなの? ふ~ん… それじゃあ、歩いてみるわ。ごめんなさい、ありがとう」と言って○○停の方へ向かって歩き出し… 私のバスは2分以上も遅れて発車した。が、もともと乗客の少ない営業所行きだったし、それも真っ昼間だったし、しかも同じ行き先のバスが10分くらい前に出たばかりだったし… 予想通り、終点まで乗客ゼロであった。めでたし、めでたし… DA.YO.NE?