あるバス停で一人のお爺さんが乗って、通路を歩いて行って、二段高くなっている“車掌席”に… 私は扉を閉めて… て… て… そのまま動けなかった。なぜならば、お爺さんが座席の前で立ったまま座らなかったからである。
私は「ポケットにフリーパスをしまっているのかな?」と思って、待つこと10秒… 20秒… 車内に「なんで発車しないんだ?」という雰囲気が漂い始めた頃… ようやく座ってくれたので、私はバスを発車… んが! まだタイヤが一回転もしていないうちに、座ったばかりのお爺さんが立ち上がり、何やらゴソゴソとやり始めてしまったのである。
いつまでも待っていられないので、仕方なく私が「よろしいですか?」と声を掛けると、お爺さんは「早く行け!」とでも言うように、右手で「シッシッ!」と犬を追い払うような動作をしたのである。それを見た私は… 大人しく発車した。。。
また、あるバス停で一人のおじさんが200円を入れて乗ったのだが、乗る前から“ニッコニコの笑顔”で… ジッと私の顔を見ながら軽く会釈してくれて… 反射的に私も軽く会釈しながら「ありがとうございます」と言った。それだけで、すっかり気分は「シッシッ!」からニッコニコに…
その後、おじさんは終点で前扉から降りたのだが… その時も、私の顔をジッと見ながらニッコニコの笑顔で何度も会釈しながら歩いて行った。それは、私が「ひょっとして知り合いなのか!?」と思ってしまうほどの笑顔だった…
その瞬間、私の頭の中を過去の男たちがグルグルと… ん? 何か変… これでは誤解されてしまうではないか! え~っと… 各営業所時代の職場仲間、テニススクール仲間、小中学校の同級生、親戚のおじさん等々… しかし「ピン!」と来る人を思い出すことは出来なかった。もしも私が忘れているのだとしたらゴメンナサイ…