バス運転士のち仕分け作業員のち病院の黒子 by松井昌司

2001年に自分でも予想外だったバス運転士になり、2019年に某物流拠点の仕分け作業員に転職、2023年に病院の黒子に…

♪ねぇ~ 気が付いてよ、早く~

2014年08月31日 21時01分49秒 | バス運転士
昨日の朝9時台のA駅経由B駅行きで、あるバス停から“見覚えのある顔”が乗ってきたのだが、その人は事前に買ってあった土日切符を通すことに集中… ず~~~っと運賃箱だけを見ていたので、運転士が私であることに気付かなかった。

その人は“テニススクールや飲み会で何度か顔を合わせたことがあるお母さん”で、私は「そういえば… この路線沿いに住んでいて、通勤でバスに乗ることがあると言っていた人がいたなぁ~」と思い出しながら、バスを発車させた。

そして「車内名札を見て気付くかなぁ~?」とか「どうせ途中のA駅で降りて行っちゃうんだろうなぁ~」などと思っていたら、意外にも終点のB駅まで乗ってきたのである。しかぁ~し、残念ながら私には気付かずバスを降りて行ってしまった…

私は「あ~ぁ… ちょっとだけ驚く顔を見たかったんだけどなぁ~ ま、いっか。いつかテニススクールで会った時に話せば…」と思って、バスで待機場所へ移動開始… すると、そのお母さん1人だけが、バス乗り場で帰りの時刻を調べているようだった。

そこで私は“バスを待機場所へバックで入れる時、一旦バスの頭を乗り場の方へ持って行く”というタイミングを利用して、「今日はテニススクールじゃないんですか?」と車外スピーカーを通して声を掛けたのだが… お母さんは、バスをチラッと見ただけで、すぐに時刻表の方へ目をやってしまったのだった…

次の発車まで10分くらいあったので、私はバスを待機場所に止めてから乗り場へ行き、「(時刻表を見て)分かりますか?」と声を掛けた。すると、振り向いたお母さんは、一瞬「何!?」と驚いた表情を見せたのだが、すぐに「あ、見覚えのある顔だ!」という表情に変わり、私の胸の名札を見て確認したようだった。

私が「さっき、スピーカーで声を掛けたのに分からなかった?」と言うと、お母さんは「テニスがどうとかって聞こえたんだけど… マイクのスイッチを切り忘れて、誰かと喋っているのかと思った。通勤で乗る時は気にしてるんだけど、まさかと思って…」と、まぁ~ そういう考えもあらぁ~ねぇ~

あ、そういえば… そのお母さんが乗ったバス停… 実は、例の“叩きジジイ”が乗るバス停と同じなのである。まさか… そのお母さんの実父だったりして!? もしもそうだったら“怒鳴る”とか“捕まえる”とか“警察へ行く”とかいう派手な作戦ではなく、地味な作戦… 知らん顔して遊びに行って、そこで「ちょっと前に、仕事中に叩かれちゃって…」なぁ~んて話して、その家族に「そんな乗客がいるの!? ヒドイわねぇ~」と言わせるように仕向けたりしてね。ハハハ…