私は始発停の手前で、先発バスが来るのを待っていた。すると、すぐ横の歩道を一組の若いカップルが通ったのだが… 何やら揉めているようだった。
男が女に話し掛けながら肩に手を伸ばすのだが、女はそれを払い除けて聞く耳持たず… 約5分後、そのカップルは私のバスに乗ったのだが、残念ながら運転席からは見づらい席に座ってしまった。
しかし、ボソボソと何かを訴えている男の声と、「パシッ」「バフッ」と上着の上から相手を叩くような音だけは聞こえてきた。二人揃って降りる時も、相変わらず女はムッとしていたが… それさえも羨ましく思えてしまう独身貴族の私であった。
その後、ある交差点の赤信号で止まって、何気なく前の車を見ると… 運転席と助手席の間に頭があった。しばらくすると、運転席の頭と重なって… あぁ~、もう! こっちまで熱くなりそう…
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