夕日融け 柿の都の 空海が修行辿る 異郷の旅路
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夜のほどろ 我が出でて来れば我妹子が 思へりしくし面影に見ゆ
大伴家持
毎年、この時期になると叔母からの西吉野から見事な
刀根柿が届く。柿には即座に2つのことを思う。1つ
は仕事の西安で見た鈴なりの柿と、2つめは柿は幼い
ころのはじめて口にした柿葉ずしの思いでだ。なつか
しい。
柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺 子規
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柿の木とはカキノキ科の落葉樹である。東アジアの固
有種で、特に長江流域に自生している。雌雄同株であ
り、5月ごろに白黄色の地味な花をつける。果実は柿
と呼ばれ、秋に橙色に熟す。幹は家具材として用いら
れ、実は食用となる。葉は茶の代わりとして加工され
飲まれることがある。未熟の果実はタンニンを多く含
み、柿渋は防腐剤として用いられる。現在では世界中
の温暖な地域(渋柿は、寒冷地)で果樹として栽培さ
れている。
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西安と奈良の古都の緯度は、ほぼ同じであることを中
国から帰国しわかった(34°16′/34°41)。尤も、西安
即ち、唐の都の長安を模倣して作られたというのが一
般的な定説であったが、先行する藤原京との密接な関
係から現在は関連が疑われており、北魏洛陽城などを
モデルとした、日本独自の発展系ではないかという見
方も有力となっているという。つまり、中国の辺境の
異民族の侵略を重く見た軍事的色彩の濃い城壁でなく、
きわめて政治的な都市であったとされる。
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青龍寺は、中国陝西省の古都、西安市南郊の鉄炉廟村
にある仏教寺院。弘法大師空海ゆかりの寺。創建は、
隋の開皇2年(582年)であり、当初は霊感寺と呼ばれ
た。初唐の武徳4年(621年)に一度、廃寺となったが、
龍朔2年(662年)に再建され、観音寺と改められた。
青龍寺と改称は景雲2年(711年)。唐中期には、恵果
らの密教僧らが住持。入唐留学僧たちとの関係が生ま
れ、空海は恵果に学び、天台宗の円仁や円珍らも恵果
の法系に連なる法全に就いて密教を学んだといわれる。
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西安は黄土と八角の匂いが満ち、ひとが溢れんばかり
の城郭都市。八角は唐樒(トウシキミ)の果実を乾燥
した香料で成分のシキミ酸はタミフルの合成材料のひ
とつとされる。西安郊外の晩秋の夕日に映える不揃い
の柿が風景に融けている。空海が学んだ青龍時の参観
の記憶がいまでは織りなし融合すると詠う。懐かしい
心境風情。shikimic acid
幼い頃吉野で口にした思いでの「柿の葉すし」は具は
鯖だった。紀の川の上流を産地として江戸時代に生ま
れ、奈良県の名産品。「浜塩」と呼ばれる保存法で大
量の塩を魚の腹に詰めこみ、魚が傷むのを遅らせ塩漬
けにした魚に酢飯を合わせる。そして最後に、柿の葉
でくるんだものをさすが、最近は、鮭や鯛と色とりど
りの「柿の葉」が売られている。
ところで、柿がこれ程沢山食べられる割には、人気が
いまいちで、もったいない気がするが、その他の加工
法といえば干し柿や柿羊羹程度(確かに、お菓子、ジ
ャム、ゼリー、ソフトクリーム、ワイン、酢、カレー
と一通りそろっている)。ところがNHKの「ためし
てガッテン」で柿の特集を見て大いに納得したわけで
考えさせられた。
柿プディング/米国の伝統菓子
「知らなんだ!柿の味が極上に変身する瞬間技」では
柿渋の特性を科学し、渋抜き法を提案する。「ぬるキ
ャラ」は彦根市のシンボルで大フィーバーしたが柿の
「ぬる硬」は不人気のひとつ。(1)そこでシャキシ
ャキ感を「柿のヘタ」に水を供給することで「エチレ
ン」の発生を抑制し3週間程度、熟成腐乱の進行を防
ぐことができる。
※「エチレン分解で青果物の鮮度維持」
特許:P1993-103588
■ 柿きんとん
(2)次に「渋さ」の科学に話しが進み、タンニンの
化学的性質を利用して、味覚細胞組織の蛋白との結合
を防止することで封殺するという。ただ、渋抜き後、
加熱することでこのタンニンは元のばらばらのタンニ
ンに戻る「渋戻り」が起きる。タンニン (tannin)は植
物に由来し、タンパク質、アルカロイド、金属イオン
と反応し強く結合して難溶性の塩を形成する水溶性化
合物の総称で、多数のフェノール性ヒドロキシ基を持
つ複雑な芳香族化合物をいう。 tannin
Gallic acid
タンパク質や他の巨大分子と強固に結合し、複合体を
形成。分子量としては 500 程度の低分子化合物から
20,000 に達する巨大な物まである。タンニン酸と称
されることもあるが、その名称で特定の化合物(没食
子酸誘導体で、タンニン様の性質を持つ)を指すこと
もあるため注意すること。タンニンという名称は「革
を鞣す」という意味の英語である "tan" に由来。
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きょうのブログは柿づくしたなった。最後に、インフ
ルエンザとカテキン効果と柿の生産量と柿の加工につ
いて考えてみたい。
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日常私たちが飲んでいる1/4の濃さの緑茶を数秒間
インフルエンザウイルスに作用させたところ、感染性
は100%失われたという(Aソ連型、A香港型、B型
などウイルスの型に関わらず効果確認/島村忠勝昭和
大学医学部細菌学教授らの研究)。柿からも緑茶から
カテキンが抽出される。 ARUFA&OMEGA
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カテキンもタンニンもポリフェノールだから、抗酸化
作用、発ガン抑制、胆汁酸の排泄促進、殺菌作用には
効きそうとは思える。アルファ&オメガの「カテキン
のちから」やテラフラビン(紅茶)が良いのなら過剰
防衛かもしれないが普段より多めに使ってみようかと
も思う(うがいに良いと言うが?緑茶でためしてみよ
う)。
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生産量などの柿情報は「kadamononavi.com」に詳しく掲
載されていたが、輸出はすでに前から逓減していたこ
とがわかった。マヨネーズを口に入れて、渋柿を食べ
る美味しいとは恐れ入ったが、このように「ナノテク
ノロジー(微塵加工技術)→バイオテクノロジー」を
駆使することでいろんなことが発見でき、創意工夫で
きる時代だと再認識した。柿の果実だけでなく、葉、
蔕(へた)などももう一度総点検すことで「柿文化」
がさらにブラシアップし世界化することは間違いない。 biomimicry
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