極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

錦木とユダヤ人

2009年10月21日 | 世界歴史回廊


オリオンの流星ひとつ 錦木の 枝葉を超えて 残光引きゆく 


ヤコブ・ラブキン「ユダヤ教徒がシオニズムに反発する
理由」(GLOBE/091019)の続きから-日本人に理解し
てほしいのは、中東紛争はイスラム教徒とユダヤ教徒と
の宗教紛争ではない、ということだ。実際には、両者は何
世紀にもわたって共生、共存してきた。一握りのシオニ
ストが武力を行使して、そこにいた居住者(
パレスチナ
人)を彼らの意思に反して、家から追い出した。武力で国
家を樹立したために起きた、極めて単純な人権問題なの
だ。パレスチナ自治政府や、ハマスのせいで紛争が続い
ているのではないと述べている。


イスラエルの指導者はあらゆる戦争に勝ってきたが、残
念ながら平和を勝ち取ることはできなかった。それは、
彼らが、パレスチナ人に対して、不公正なことをしたこ
とを決して認めようとしないからだ。イスラエル社会は
多様で、世俗的か宗教的か、東欧出身か、アラブ・北アフ
リカ出身(セファルディム:Sephardim)かで分かれ、明確な統一
の核といったものがない。指導者は「アラブの脅威」を使
うことで国家の結束を維持してきたのだ。宗教が中東
和平の妨げになるとすれば、その最大の要因は、米国の
宗教右派に信奉者が多いクリスチャン・シオニズムだろ
う。彼らにとって、この問題は純粋に宗数的な問題であ
り、妥協の余地がない。




キリストの再臨(the Second Coming)を早めるためにユダ
ヤ教徒をイスラエルに集めなければならない、と考えて
いる
。そして、キリストが再臨すれば、ユダヤ教徒は二つ
の選択を迫られる。ユダヤ教徒はキリストをメシア救世
主)ではないと考えているが、キリストをメシアと認めて、
キリスト教に改宗するか、あるいは最後の審判を受けて
死ぬかだ。彼らのシナリオでは、我々ユダヤ教徒は全5幕
の演劇の第4幕で消えてしまう。極めて危ないのは、宗
教右派やイスラエル・ロビーの影響が大きい米国やい
くつかの国において、彼らが政治的に大きな力を持って
いるために「親イスラエル政策」をとっているというこ
とだ
。米国で最も影響力のある宗教右派団体「アメリカ
キリスト教徒連合(CCA)]
はブッシュ前大統領と密接な
関係を保っていた。


いま、イスラエル国内にも、米国が主導する「パレスチナ
国家とイスラエルとの2国家共存案」にかわり、ひとつ
の国のなかでユダヤ人とパレスチナ人が共生する「1国
家解決案」を主張する意見がある。今日、世界中でユダ
ヤ人がユダヤ人であることを理由に殺害されうるのは、
不幸なことにイスラエル国内だけだ。世界をみれば、米
国でもロシアでも、そしてイランにおいてすら、ユダヤ
人はふつうに少数者として暮らしている。




だったら、パレスチナでもできるのではないか。実際、こ
の場所は何世紀にもわたってオスマントルコというひ
とつの国だった。議論しているのは、理想ではなく、歴
史的に存在していたものなのだ。ドイツで起きたホロ
コースト(ユダヤ人大虐殺)から、アーレントやアインシ
ュタインらが得た教訓は、民族、宗教、人種の面で差別す
るような国家に対しては警戒しなければならないとい
うものだった。


半面、シオニスト国家の樹立を求めるシオニストらの
教訓は単純だった。我々は弱かった、我々は強くなくて
はならない、というものだった。彼らはパレスチナ人と
の共生を望まず、民族的に「純粋な」国家を持ちたいと考
えている。かつて、南アフリカや旧ローデシア(ジンバブ
エ)は、敵ばかりに囲まれた孤島のような国を作ったが、
そんな国は長つづきしない。シオニズムに対しては、ア
ラブだけでなく、イスラエル内外のユダヤ教徒の間に
も極めて大きな反発がある。

(1)ユダヤ人とは、何らかの道徳的な価値を持ち、そ
  れを守る人々の集団であるはずなのにイスラエル
  国家のありようはこうした原則に反する。
(2)イスラエル国家の建国によって、ユダヤ人のアイ
  デンティティーが、「ユダヤ教徒」から「イスラエル
  国家の政治的支持者」に変質してしまう。

というのが主な理由だ。そして、戒律を破ってもまっ
たくおかまいなしなのにイスラエルを批判すると即座
にひどい反応が返ってくるといった事例に事欠かない。




私は学者としての見解と、個人的な意見は常に区別して
いるが、旧ソ連でユダヤ系ロシア人として育った私を含
む宗教的なユダヤ数徒にとっては、ユダヤ教の継続性を
保つことこそが重要なのだ。2千年にわたる伝統の本質
とは、道徳的な価値を守るシステムなのであり、政治的、
軍事的パワーとは無縁だった。自分にとって何ものにも
代え難いことは、神の戒律、安息日、
ヨム・キプール(贖
いの日)を守り、ユダヤ教に従った食物(kosher)食べる。
それだけだ。宗教的なユダヤ数徒にとって、啓典宗教の
始祖アブラハムが葬られている聖地ヘブロン(ヨルダ
ン川西岸の都市)を大事だと思うからといって占領して
そこに住む必要はない。ヘブロンを愛することはニュー
ヨークからもできるしテルアビブからもできる。

Tel Aviv flag.svg

「ユダヤ教的lな態度とは、常に極めてプラグマティ
ック(現実的)で、妥協的でもある。ユダヤ教的なアイデ
ンティティとは、国境や領土を超越したものだ。だから
こそ、ユダヤ人はチリでも神戸でもモスクワでも暮らせ
る。ユダヤ教の本来の教えは、平和を探求し、協調性か
求めること。よい行いをし、同情の気待ちを持つことだ。
イスラエル国内にはユダヤ国家が存在することは認め
られない、と考えるユダヤ教徒らもいる。彼らは現在の
イスラエル国家は、メシアによる救済を実現する上で、
神学的にも妨げであると考えている。


ユダヤ教の戒律では、他人の悪口をいうべきではないと
いう教えがある。日本人はあまり他人の悪口を言わない。
他人のことを自分よりも大事だと考えることを自然に
できる。多くの文化的な面で、ユダヤ教的な考え方と極
めて類似していると感じ、興味深い。中東に重要な利害
を持つ日本は、国連などの場で米国の後追いだけではな
い、何か独自なことができるはずだと


なるほど、ヤコブ・ラブキンはロシア系ユダヤ人で敬
虔なユダヤ教徒で、日本人に対する自尊心の慰撫と期
待を掛ける。さて、道理でロシアマルクス主義の影響
なのか(マルクスは、中欧の強く影響を受けたが→ヘ
ーゲル哲学)、偶然にも「ユダヤ人問題によせて」か
らの切り口は強ち、間違いはなかったようだ ^^;。日
本の10分の1程度の人口でイスラエルと米国にその
3分の2が居住。過酷な歴史的背景を抱え現代まで残
りえたのは奇蹟的とあらためて驚嘆する。



【古代イスラエル】

紀元前5千年頃、カルデア人がウルに王朝を建てる。
紀元前4千年頃、メソポタミアの平原一帯に大規模な
洪水が起こる。その後、二つの民族があらたにウルに
侵入し新しい王朝を建てる。紀元前3千年代、シュメ
ール朝が興る。
この都が「創世記」で言われるカルデ
ア人のウルである
。紀元前2千百年頃、ウル第三王朝
のウル・ナンムは支配下においたバビロンにジグラッ
ドを建てる。このような建造物の存在が創世記のバベ
ルの塔の物語の背景にあるとも考えられる。






紀元前2千年、ウルは古バビロニアのハムラビ王によ
って滅ぼされる。やがて、
アブラハムはハランの南方
カナンの地に半定住
する。これは旧約のなかでアブラ
ハムの放浪として描かれている。旧約の「
創世記」に
は、
アブラハムの子のイサク、イサクの子ヤコブが後
の古代イスラエル人の直系であるとある。ヤコブは後
にイスラエルと改名、このイスラエルの十二人の子供
の子孫がイスラエル十二部族と呼ばれる。


新バビロニアを滅ぼしたペルシア王大キュロス(前600
年~前529年)は、紀元前538年にイスラエル人を解放
する(エルサレムに帰還したユダヤ人は2~3割)。ペ
ルシア王ダレイオス1世治下の紀
元前515年、ゼルバベ
ルの指導でエルサレム神殿が再建された。これは第二
神殿と呼ばれている
。紀元前458年にエズラの指導のも
とで二度目の集団帰還が行われた。また
ネヘミヤ
ズラ
とがこの時期、国の整備とユダヤ教の形式とを固
めこれが現代のユダヤ教またはユダヤ文化へ直接に影
響している
。ユダヤ人の民族外結婚を禁じたのもこの
時であり民族の独自性が確立されたとされる。


W nisikigi5051.jpg

ニシキギ(学名:Euonymus alatus)とはニシキギ科ニシ
キギ属の落葉低木。庭木や生垣、盆栽にされることが
多い。日本、中国に自生する。紅葉が見事で、モミジ・
スズランノキと共に世界三大紅葉樹に数えられる。名
前の由来は紅葉を錦に例えたことによる。別名ヤハズ
ニシキギ。オリオン座流星群が見えたと息を切らし報
告するきみは、漆黒に浮かぶ錦織の様に輝くと描く。
紅葉が美しい「ニシキギ」。花言葉は「危険な遊び」。

                 大火球とオーロラ( オリオン座流星群 ) 2007/10/23 オーロラ中継 Live!オーロラより

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