<金曜は本の紹介>
「成りあがり(矢沢永吉)」の購入はコチラ
この本は、糸井重里が、歌手である28歳の矢沢永吉をインタビューして書いた、矢沢永吉の自伝です。
そのインタビューでは、表情を変えぬまま、涙を流したことも、何度かあり、誰彼の見境いもないほど、怒りをぶつけ、震えていたこともあったようです。立ちあがり、歩きまわり、笑い、泣き、怒る。そんな様子は、そのまま彼の歌だったようです。
そしてこの本は、「はぐれてるやつ」に読んでもらいたいとのことです。ドブの中から、星が飛び出すこともある。死んでしまえばいいような人間が、たたんでいた翼を拡げて大空に舞いあがることもできる。そんなことを証明してくれた男が、現にいるではないか。人間の一生は、トーナメント戦じゃない。勝ったり負けたりをくりかえすリーグ戦だ。敗れっぱなしなんてない。逆転しろよ。「成りあがれ!」とシャウトしているのだ。
私がこの本を読むきっかけとなったのは、いくつかのテレビ番組で矢沢永吉が取り上げられると必ずそのファンの方がこの「成り上がり」という本を読んで矢沢永吉のファンになった、この本を読んで事業に成功し「成り上がった」と話していたことです。
確かに、この本を読むと勇気づけられ、成り上がりたくなります。以前紹介した本田健の本につながる内容でもありました。
ぜひ、若い方に読んでもらいたいと思います。自分の夢を大切にして欲しいと思います。とてもオススメな本です!
それから、この矢沢永吉が成功した秘訣の1つは、とある社長からもらったカーネギーの「人を動かす」を10回以上読んで、そしてそれが無意識のうちにためになっていることだと思います。
以下は特に感銘を受けた点等です。
・広島で生まれた。ひとりっ子といえばひとりっ子だけど、ほんとは、上にふたりいたらしい。オレのオフクロは、後妻だからね。前のオフクロと親父の間にふたりいたわけ。男の子と女の子。それが、広島のピカドンの時、前のオフクロ、義理の姉さん、兄さんと3人全部一緒に死んだ。そうして、親父が残ってさ、オレを産んだオフクロと知り合って・・・・・オレが昭和24年に生まれたわけ。その親父も小学2年生の時死んだのかな。やっぱり原爆の後遺症じゃないかな。オフクロは、もう、その時にはいなかった。3歳の時、逃げちゃってた。オレは、しょうがないってことで、おばあちゃんに育てられた。
・最高のおばあちゃんだったよ。オレは女房にも言う。「おばあちゃんは女の鑑だ」って。甘えられるとしたら、おばあちゃんしかいなかった。「永吉、起きよ」その声がうれしくてね、むくっと起きるの。「ほーれ、ごはん食え」と、ごはん、パッとくれる。おかずは、必ず、一品料理というか、ごはんと何かひとつ。その何かというのは味噌汁かもわかんない。コロッケかもわかんない。ひと品。オレが好きだったのは卵料理。誕生日の時・・・・。「おばあちゃん、おれ誕生日なんだ」「それがどうした」わかるだろ、関係ないわけよ。そんな誕生日なんて。でも、さすがよ。おばあちゃんがオレにしてくれたことは。卵をふたつにしてくれた、その日だけ。「永吉、よく聞け。卵と思って食うな。ニワトリ二羽殺してくれたと思え」と言うんだよ。そう思って食えって。とてもうれしかったよ。ニワトリの元って、卵だもんね。
・意地の悪いやつだったなあ。甘えん坊でさ。オレたちかれ見れば、うらやましい存在だった。そいつが、デコレーションケーキを持ってなめながらきた。それ、食いたかったな。おいしそうなクリームがついていた。「永吉、きょうはクリスマスイヴだけど、おまえの家はこういうの食えないだろう」オレは黙って見てた。「欲しいか。ちょっとなめさしてやろうか」「うんなめさして、なめさして!」とオレは言った。オレに投げた、ポンと。頬っぺたに、ペチャッとくっついた。オレは口惜しかったから、すぐにはなめなかった。けどそれをなめたんだ。落ちないでくれ、頬っぺたから。落ちないでくれさえすれば、あいつがいなくなってからなめられる。そいつが横を向いてる時に、舌をのばしてなめた。その頃から「誰よりも金持ちになってやる」って気持ちが強力になってた。この話、つまらない続きがあるんだ。「いまに見てろ」と思ってて、しばらくしたら、そいつの家は倒産しちゃった。しばらくって、10年ぐらいあとかな。オレは、そいつのみすぼらしく歩いてる姿見て、ざまみろと思った。その時は、オレの方はアルバイトやってメシ食ってたからね。そんな話はたくさんあるよ。たまらないほどある。
・それで、あなたと私の間は・・・距離って書いてたね。距離がありすぎる。広島と横浜だから、まあ・・・・・。それで、私はいつまでもあなたがご成功なさるように、心から応援してます。幸せになってください。というわけね。そういう感じ。オレ、ショックだったね。だから、オレ、もしあsの手紙続いていたら、女房にしてたかもわからない。オレがメシ食えるという見通しついてたらう。うん。初恋は、それでいいのよ。初恋は一緒にならない方がいい。ホント。あの最後の手紙の時ね、どんなことがあってもビッグにならなきゃいけないって思った。どんなことがあってもスーパースター。きっと、彼女、聴いてるよ。オレの曲。うれしい。
・社長が、えらい気に入ってね。「君は好青年だ」とか「見込みがある目をしてる」とか「しゃべり方も、高校生にはない輝きがある」とか言いだした。それで、これをやるからと渡されたのが「人を動かす」って本。デール・カーネギーの。10回ぐらい、リフレインで読んだよ、えらい気に入ってね、キザに友だちの誕生日に贈ったりしたよ。無意識のうちに、ためになってるみたい。本を読んで、それを必ず実行するんじゃ、ロボットみたいだけど「ああなるほど。なるほど。一理あるな、一理いえるな」と感じたわね。たまに女房に花買って帰るというのも、影響かもしれないね、多少。本のこと頭に置くより、女房の笑顔が浮かんで買ってくんだけど、もちろん。でも、とにかく10回以上も読んだものな。もう1冊、おもしろいと思ったのは「ケネディ」という本。イカシてたね。映画化されたりね。
・ほんとの愛読書は、オレの場合、新聞だよ。バカ読みする。政治面から、株の欄まで。スミからスミまで読む。メンバー、びっくりしてるよ。毎日の楽しみだよ、新聞は。
・1週間入院して、退院する日が高校の卒業式だった。先生は動いちゃいけないって言うけど、オレは卒業証書もらってケリつけるまでは気が済まなかった。バイク乗って、腹おさえて行った。もう終わってたね、卒業式は。クラスに戻ってミーティングなんかしてた。たどり着いたら、先生が「おう、おまえやっときたのか」という感じで、卒業証書パッとくれたよ。教室で。普通は講堂でもらうんだけど、オレ、教室でもらった。その証書を破いて捨てて、京に上る。予定の行動だ。
・何のために、オレは横浜にいるんだ。バイトしに来たのか。そうじゃない、シンガーになるんだ。スーパースターになるんじゃないか。忘れるな永吉。社長に言った。「オレは、実は歌がやりたくてこっちに来た。やめさせてくれ」とね。社長も、ある程度、オレの仕事ぶり知ってるから認めざるを得ない。困ったとは言うけど、オレのほうは筋通してるから。約束した。あとで、その店の経理の人とバッタリ会った。道で。その店にはもう怖くて行けない。「やあ、矢沢君、社長が探してたよ」「やべえナ」バレたら殺されると思ったんだよ。そしたら、違うんだって、「矢沢君、給料取りにこいと社長が言ってるよ」ってわけ。特別ボーナスも用意してるっていうんだ。行かなかった。でも、うれしかった。オレは、逃げないで、一所懸命やったら、それが通じたんだ。筋が通せたって感じがした。鬼の目にも涙だ。
・「アイラブユーOK」を吹き込んで、しっかりテープ持ってから・・・・・京浜東北線に乗るわけね。新橋で降りればいんだ、と、それしか知らない。東芝に行った。何で東芝か、簡単、ビートルズのレコード出してる。「あのう、すみませーん。実はボク曲書いたんですけど、聞いていただけませんか?」「あ、そうですか」社内電話みたいのかけて、「ちょっとお待ちください。いまディレクターが来ますから」ってね、聞くだけ聞いてみましょうみたいな・・・・・歌詞がなかったから、「アイラブユーOK」までオッケーよ。その先「ラーラララララー」「キミ、これ歌詞ないの?」「え、ええ。ないんです。メロディーを聴いて欲しかったんです」「他になんかないの?」「ア、アリマス」「あっそ、じゃちょっとギターで弾いてみて」ギター弾いて、一曲歌った。こっちのほうが、ちょっとフォークっぽいとか言われて、評判よかったみたい。時代がそろそろフォークって感じだった。「また、いい曲書いて来てよ」・・・・・いわゆる、断られた。あっさりと。その後、CBSソニーにも行った。設立したばっかりの時だったね。あっさりきたよ「不採用」ってことで。「あなたの曲は審査の結果・・・・・」印刷でガチャーンと書いてあった。東芝の帰りね、東京タワー見ながら、新橋あたりで「うおう!」っと思ったね。「クソッタレめ。オレのことを解らずに、何が東芝じゃ。オンドリャー」そんなふうなこと。オレは「アイラブユーOK」、すばらしいメロディーだ、いつか、何年かかるか、絶対モノにしてやるって思ってた。帰ってね、アルバイトに戻った。陸送なんかやりはじめてたね。
・で「そうか、どうしてもドラム欲しいか」オレのドラム・セットだよ。「売ってやる」と言った。親戚よ、オレの。「売ってやる」と言った。オレ、精いっぱいの声を、そこの玄関で張りあげた。「おまえら、全員見とけー!」おまえという言葉を使った。「あと5年かかるか、10年かかるかわかんねえけど、おまえら全員、土下座させてやる!」全員見返してやる、と言ったんだ。明るかった。よく腫れた昼間だった。涙がウワーッと流れた。そのままバスに飛び乗って、広島駅まで行ったよ。一歩間違ったら皆殺しって感じだったよ。
・鮨が届いたら、オフクロが黙っちゃってさ。オレ、「お母さん、食べて」って言ったら、「あァ、いただくよ」と言ってね、またポロッと泣き出した。。オフクロから見れば、千円の鮨というのはわかるわけよ。そうじゃん。いいとこの奥さんだから、そんなものバクバク食ってるわ。それでね・・・・・。その気持ち、最後に言ってたわ。「せいいっぱいしてくれて、うれしかった」って。それから、オフクロは、バッグ開けて。オレに「これを渡せ」というわけよ。それが、いま、うちの女房がはめてる結婚指輪だよ。オレ、指輪、買ってやれなかったから。それで、女房に渡した。いまでも大事に持ってるよ。ちっちゃいダイヤの指輪ね。それから、「子供もできることだし、お母さんに、ちょっと、できることだけさせてくれないか。欲しいものは何かあるか」って言った。「別にないけど・・・・」オフクロ、部屋をザッと見まわして「何もないね」と一言。秋葉原に一緒に行ってね、電気冷蔵庫と、ジャーと、アイロンと買ってくれた。「これは、おまえに買うんじゃない。奥さんに買うんだ」それと、出産費用として、15万くらい置いてったね。まあ、シャクなんだけど、先立つものが欲しかったしね、有難かった。電車が出る。ずっと手を振ってた。帰ってった。すみ子が「お母さん、最後みたいな顔で、ずうっと見てたね」とオレに言ってた。最後。ほんとに、それが最後だったんだ。2か月ぐらい経って、脳溢血で死んだよね。
・テレビに出られることになったわけよ。「リブ・ヤング」だよ。日曜の夕方の番組だった。やっとやっと本番始まって。わりと、後半だったのね。オレたちの出番。やっと爆発する時がきた。乗りまくった。「ウェン・アイ・ワズ・リトルボーイ」ガンガン歌った。その頃のオレの気持ちは、何でオレのような素晴らしいアーチストを世の中は見抜けないんだ、と、そういう不満があったからね。過剰なくらいに自信があった。それが、フジテレビでワーッときたわけよ。終わって、なんだかんだしてるうちに、担当に人が呼びにきた。「あ、矢沢君。実はいま電話があってね。出てくれないか。知ってるかな、ミッキー・カーチスさんて人」オレ、びっくりして「ひょっとして、あのミッキー・カーチスさんですか」って。ほんとに、心の中でうれしかった。ホント、震えてたもん、手が。震えてたけど、そこはもう「ナメられたらいけない」っていうのがあるわけよ。常にあの頃はそうだった。知らない場所に来てるんだから、ナメられちゃいけない。広島から横浜に出た時と同じだった。横浜駅に着いた時もそうだった。
・キャロルの解散を決めると、すぐロサンゼルスに行く計画を立てた。ロスへ行ってアルバムを作ろう。それと併行して、自分の、ソロになった際のバックメンバーを集める作業をした。同時にキャロルは活動してるんだよ、もちろん。ちょぼちょぼ。みんなは、「解散だ」って頭があるから、いやいややってた。オレはいやいややるわけにいかなかった。いまのうちに、キャロルで可能なかぎり高くまで引っ張っていかないと、次にオレがスタートする時に、えらい困難になると思ったから。真面目よ。思う。オレ。オレが「すぐ解散は絶対のよくない。解散コンサートをやるべきだ。いままで、5万枚のアルバムが売れて、ファンもやっぱり5万人はいるだろう。そこに、解散したいからしました。はい、よろしく。これじゃ絶対に気が収まらないだろう。だから、解散をはっきり宣言したうえで、全国何十か所かの解散コンサートをやるべきだ」と、そう言った。それがスジだ。それで、最終的に11本か12本かになった。成立よ。オレ、いままでもあの時の悔しさ忘れない。最後、全部オーケーになった時、オレ、彼らに何をしたか知ってる?頭を下げた。「どうもありがとう。ほんとに、メンバー、どうもありがとう」その時、オレは何を誓ったか、言おうか。絶対、こいつら許さないと思った。彼らを許さないとしたら、どうすればいいか。オレが、とんでもないスーパースターになることだ。
・オレは、大切にしている3本柱がある。これだけは、どんなやつにも侵させない。汗をかいて、牙をむき出しても守る。レコードをつくる。曲をつくること。これがひとつ。ステージ。全国100からのステージ。全力投球。地方のファンに、東京と同じに汗をかいた矢沢を見せてやる。そして、ファミリー。家族と、仲間たち。この3つだけ。オレが最低限大切にしなきゃいけないのは、これしかない。残りは、この3本柱のためになることなら、やる。
・「よし、CBSソニーへ行こう」となって・・・・フィリップスは放さないってわけ。違約金から、なにから全部で、1千何百万円、払えってことになった。CBSソニーで、借金して、小切手切ってもらって叩きつけに行ったよね。判コ押せって。向こうの専務が、最後に一言、「永ちゃん、カッコいいね」って。「ぼくが女だったら惚れるね」1回、裸になった。あの時は。キャロルの印税、全部投げ出した。CBSソニーに立て替えてもらったりしたけど、借金だからね、それも。大勝負よ。1アーチストがン千万借金してやるんだから。聞いてよ聞いてよ、そのへんは根性ありますよ。そのくらいの根性なくて、いまの矢沢はないですよ。いざという時に必要だっていったろ、金が。そういう大勝負を逃げられないだろ。金がなくって逃げてしまうわけにはいかん。みっともないじゃない。あの時のオレっていうのは、ここから始まるんだ、自分に言い聞かせてた。広島から出てきた時の感覚を維持しないと危険だって。やる気で震えてたよ。落ちこんでもおかしくない状況があっても、やる気で消してしまう。
<目次>
読者へ
広島
成りあがり 大好きだね この言葉 快感で鳥肌が立つよ/関東 矢沢家一代広島じゃない 横浜がオレの故郷だ/なんで金がないんだろう どうして両親がいないんだろう 口癖は おばあちゃん おもしろくない/おばあちゃんとの幼年時代 悲しみのヒーローだったけど いじけのヒーローにはならない/銭で買えないものがある? 冗談じゃない おまえ そんなこと言えるのか/親父もだいへんだったな いまになって思う オッサン 根性たりなかったね/親父の代では負けたけど オレの代では勝ってやる 忘れない 子供の頃の屈辱/中学 ワルの時代 メシ食えんけど そんなの知らないよ パンを盗めばいい 牛乳ガメて飲めばいい/矢沢君まじめになって 勉強まで熱が入った言語障害になるほどの初恋時代/彼女に会いたくて 万年筆ポケットにクラス会へ行った でも初恋は破れるものなんだ/アルバイトをしまくり 死にそうになったこともある 金はほとんど食い物に化けた/単なる音楽好きが 絶対スターになるんだに変わった 板金屋になるのはやめだ/愛読書はカーネギーの「人を動かす」 新聞はスミからスミまで目をとおす/自分に合ってるかどうかが 才能ってことだ 学校の勉強は役に立たない/方向を見失った時人間はいちばん苦しい オレには音楽があった/卒業証書を破いて京に上る 首都で旗をなびかせるぞ 攻撃開始だ
横浜
最終の夜汽車で東京へ 夢と現実が半々の状態だった 広島がぐんぐん離れて行く/無意識のうちに横浜で下車 貼り紙見て ボーイになる 夢だけがオレを支えた/まず バンドをつくらなければ 曲の売り込みにレコード会社へ どうしてオレの才能がわからないんだ/親戚にとられたドラム・セット いつかおまえらを土下座させてやる よく腫れた昼間だった/最初のバンド ザ・ベース結成 うまくなるには人前でやらなきゃダメ 初舞台は歌声喫茶だった/真夏に黒のトックリ・セーター ディスコのオーディションを受けた やる気だけしかなかった/横須賀のクラブに売り込む 見事オーディション合格 ギャラ1万 レパートリー5曲/機材グレード・アップ 練習につぐ練習 横浜・本牧”ゴールデンカップ”出演/天才がオレのそばにきて 夢を実現してくれる ザ・ベースはつぶそう/イーセット ディスコを荒らす よそのドラマーを引っこぬく おまえらとは夢がちがうんだ/ヤマト誕生 グルーピーが入れ替わり立ち替わり 4日にひとり女を変える/女とはじめて寝たのは20歳 それからはやりまくり 楽屋で休憩時間にバックバク/ディスコに来たマブイ女 それが女房だった ヤマト全盛 ディスコは恐ろしい場所だった/結婚前提でつきあってくれ 出会ったその夜に言った 同棲が始まった/ヤマトはイカシたバンドだった 時代がディスコをつぶしていく 追われるようにキャバレー出演/オヤシラズで一か月苦しむ ヤマト解散 どうしようもなかった 木原おまえもやめるのか?/ロックを仲だちに 親友になった男がいる 今は パイロットだ/全部終わった ひとりポツンと残った その時「最後の恋人」って歌ができた/オレには戻るところがなかった オレのバンドはオレの汗で始まり オレの匂いで終わった
キャロル
挫折感の中で 抜けだすための必死の動き バス賃60円をどうする/新しいバンドを作ろう まず ウッちゃんをひっかけた そしてジョニーとの出会い/20年ぶりにオフクロと会う 会った瞬間すべてを許した 会ったら殺してやるぐらいの気持ちだったのに/オフクロが死んだ 2か月間も知らなかった 泣いた その夜 ディスコでワオーッとシャウト/TVに出演 全員ブッ飛び人の目に触れさえすればビッグになれる そんな確信があった/キャロル始動ステージ レコーディング 動きは急上昇/オレと他のメンバーの間にズレが出てきた オレが堅すぎたのかもしれない でも ビッグになるためには必要だった/解散コンサートはやろう ファンへの義務なんだ スジを通してやめよう/芸能界はミカン箱商売だ キャロルは最低の契約を結ばされていた 信頼した人に裏切られたんだ/キャロルを思い出すと口のなかが苦くなる 一生元キャロルが付きまとうのか オレは矢沢栄吉と呼ばれたい!/オレの職業は歌うことだ レコード ステージ ファミリー この3本柱だけは大切にする/アメリカでLPを制作 この業界に未練はない ダメとわかったらパッと足を洗うつもり
E.YAZAWA
解散しても変わらないなら 解散する必要はない 元キャロルで矢沢を売るな/キツイ旅だ おまえにわかるかい 山3つ越え乗り込んでいく ロックで超満員にしてやる/自分で買ったレコードは4枚だけ ほとんど聴かない 宴会では「炭坑節」/どこまでやれるか見てほしい 勝ち負けは別にして もっといい曲をつくる そう オレはオレの世界を進む/反撃しろ 攻撃しろ 戦いの前提は負い目がないこと 自分の手でメシを食って 誇りを持つこと/ラジコンのヘリコプターを作りたい でも まだやれそうもない 自分自身にオトシマエつけきってないから/ハートで汗をかいているかどうか そこが大事だ 芸能界でやってない 自分のやり方でやる/おまえは ほんとに何が歌いたいんだ その問いにオレは答えてる 十万の目の前で汗をふりしぼって答える
「長い旅」を聴きながら 糸井重里
面白かった本まとめ(2007年)
面白かった本まとめ(2006年)
面白かった本まとめ(~2006年)
<今日の独り言>
4歳の息子の幼稚園で給食が始まりました。つい禁断の質問で、「ママのお弁当と給食どっちが美味しい?」と訊くと、「給食!」とのことでした^_^;)残念!
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この本は、糸井重里が、歌手である28歳の矢沢永吉をインタビューして書いた、矢沢永吉の自伝です。
そのインタビューでは、表情を変えぬまま、涙を流したことも、何度かあり、誰彼の見境いもないほど、怒りをぶつけ、震えていたこともあったようです。立ちあがり、歩きまわり、笑い、泣き、怒る。そんな様子は、そのまま彼の歌だったようです。
そしてこの本は、「はぐれてるやつ」に読んでもらいたいとのことです。ドブの中から、星が飛び出すこともある。死んでしまえばいいような人間が、たたんでいた翼を拡げて大空に舞いあがることもできる。そんなことを証明してくれた男が、現にいるではないか。人間の一生は、トーナメント戦じゃない。勝ったり負けたりをくりかえすリーグ戦だ。敗れっぱなしなんてない。逆転しろよ。「成りあがれ!」とシャウトしているのだ。
私がこの本を読むきっかけとなったのは、いくつかのテレビ番組で矢沢永吉が取り上げられると必ずそのファンの方がこの「成り上がり」という本を読んで矢沢永吉のファンになった、この本を読んで事業に成功し「成り上がった」と話していたことです。
確かに、この本を読むと勇気づけられ、成り上がりたくなります。以前紹介した本田健の本につながる内容でもありました。
ぜひ、若い方に読んでもらいたいと思います。自分の夢を大切にして欲しいと思います。とてもオススメな本です!
それから、この矢沢永吉が成功した秘訣の1つは、とある社長からもらったカーネギーの「人を動かす」を10回以上読んで、そしてそれが無意識のうちにためになっていることだと思います。
以下は特に感銘を受けた点等です。
・広島で生まれた。ひとりっ子といえばひとりっ子だけど、ほんとは、上にふたりいたらしい。オレのオフクロは、後妻だからね。前のオフクロと親父の間にふたりいたわけ。男の子と女の子。それが、広島のピカドンの時、前のオフクロ、義理の姉さん、兄さんと3人全部一緒に死んだ。そうして、親父が残ってさ、オレを産んだオフクロと知り合って・・・・・オレが昭和24年に生まれたわけ。その親父も小学2年生の時死んだのかな。やっぱり原爆の後遺症じゃないかな。オフクロは、もう、その時にはいなかった。3歳の時、逃げちゃってた。オレは、しょうがないってことで、おばあちゃんに育てられた。
・最高のおばあちゃんだったよ。オレは女房にも言う。「おばあちゃんは女の鑑だ」って。甘えられるとしたら、おばあちゃんしかいなかった。「永吉、起きよ」その声がうれしくてね、むくっと起きるの。「ほーれ、ごはん食え」と、ごはん、パッとくれる。おかずは、必ず、一品料理というか、ごはんと何かひとつ。その何かというのは味噌汁かもわかんない。コロッケかもわかんない。ひと品。オレが好きだったのは卵料理。誕生日の時・・・・。「おばあちゃん、おれ誕生日なんだ」「それがどうした」わかるだろ、関係ないわけよ。そんな誕生日なんて。でも、さすがよ。おばあちゃんがオレにしてくれたことは。卵をふたつにしてくれた、その日だけ。「永吉、よく聞け。卵と思って食うな。ニワトリ二羽殺してくれたと思え」と言うんだよ。そう思って食えって。とてもうれしかったよ。ニワトリの元って、卵だもんね。
・意地の悪いやつだったなあ。甘えん坊でさ。オレたちかれ見れば、うらやましい存在だった。そいつが、デコレーションケーキを持ってなめながらきた。それ、食いたかったな。おいしそうなクリームがついていた。「永吉、きょうはクリスマスイヴだけど、おまえの家はこういうの食えないだろう」オレは黙って見てた。「欲しいか。ちょっとなめさしてやろうか」「うんなめさして、なめさして!」とオレは言った。オレに投げた、ポンと。頬っぺたに、ペチャッとくっついた。オレは口惜しかったから、すぐにはなめなかった。けどそれをなめたんだ。落ちないでくれ、頬っぺたから。落ちないでくれさえすれば、あいつがいなくなってからなめられる。そいつが横を向いてる時に、舌をのばしてなめた。その頃から「誰よりも金持ちになってやる」って気持ちが強力になってた。この話、つまらない続きがあるんだ。「いまに見てろ」と思ってて、しばらくしたら、そいつの家は倒産しちゃった。しばらくって、10年ぐらいあとかな。オレは、そいつのみすぼらしく歩いてる姿見て、ざまみろと思った。その時は、オレの方はアルバイトやってメシ食ってたからね。そんな話はたくさんあるよ。たまらないほどある。
・それで、あなたと私の間は・・・距離って書いてたね。距離がありすぎる。広島と横浜だから、まあ・・・・・。それで、私はいつまでもあなたがご成功なさるように、心から応援してます。幸せになってください。というわけね。そういう感じ。オレ、ショックだったね。だから、オレ、もしあsの手紙続いていたら、女房にしてたかもわからない。オレがメシ食えるという見通しついてたらう。うん。初恋は、それでいいのよ。初恋は一緒にならない方がいい。ホント。あの最後の手紙の時ね、どんなことがあってもビッグにならなきゃいけないって思った。どんなことがあってもスーパースター。きっと、彼女、聴いてるよ。オレの曲。うれしい。
・社長が、えらい気に入ってね。「君は好青年だ」とか「見込みがある目をしてる」とか「しゃべり方も、高校生にはない輝きがある」とか言いだした。それで、これをやるからと渡されたのが「人を動かす」って本。デール・カーネギーの。10回ぐらい、リフレインで読んだよ、えらい気に入ってね、キザに友だちの誕生日に贈ったりしたよ。無意識のうちに、ためになってるみたい。本を読んで、それを必ず実行するんじゃ、ロボットみたいだけど「ああなるほど。なるほど。一理あるな、一理いえるな」と感じたわね。たまに女房に花買って帰るというのも、影響かもしれないね、多少。本のこと頭に置くより、女房の笑顔が浮かんで買ってくんだけど、もちろん。でも、とにかく10回以上も読んだものな。もう1冊、おもしろいと思ったのは「ケネディ」という本。イカシてたね。映画化されたりね。
・ほんとの愛読書は、オレの場合、新聞だよ。バカ読みする。政治面から、株の欄まで。スミからスミまで読む。メンバー、びっくりしてるよ。毎日の楽しみだよ、新聞は。
・1週間入院して、退院する日が高校の卒業式だった。先生は動いちゃいけないって言うけど、オレは卒業証書もらってケリつけるまでは気が済まなかった。バイク乗って、腹おさえて行った。もう終わってたね、卒業式は。クラスに戻ってミーティングなんかしてた。たどり着いたら、先生が「おう、おまえやっときたのか」という感じで、卒業証書パッとくれたよ。教室で。普通は講堂でもらうんだけど、オレ、教室でもらった。その証書を破いて捨てて、京に上る。予定の行動だ。
・何のために、オレは横浜にいるんだ。バイトしに来たのか。そうじゃない、シンガーになるんだ。スーパースターになるんじゃないか。忘れるな永吉。社長に言った。「オレは、実は歌がやりたくてこっちに来た。やめさせてくれ」とね。社長も、ある程度、オレの仕事ぶり知ってるから認めざるを得ない。困ったとは言うけど、オレのほうは筋通してるから。約束した。あとで、その店の経理の人とバッタリ会った。道で。その店にはもう怖くて行けない。「やあ、矢沢君、社長が探してたよ」「やべえナ」バレたら殺されると思ったんだよ。そしたら、違うんだって、「矢沢君、給料取りにこいと社長が言ってるよ」ってわけ。特別ボーナスも用意してるっていうんだ。行かなかった。でも、うれしかった。オレは、逃げないで、一所懸命やったら、それが通じたんだ。筋が通せたって感じがした。鬼の目にも涙だ。
・「アイラブユーOK」を吹き込んで、しっかりテープ持ってから・・・・・京浜東北線に乗るわけね。新橋で降りればいんだ、と、それしか知らない。東芝に行った。何で東芝か、簡単、ビートルズのレコード出してる。「あのう、すみませーん。実はボク曲書いたんですけど、聞いていただけませんか?」「あ、そうですか」社内電話みたいのかけて、「ちょっとお待ちください。いまディレクターが来ますから」ってね、聞くだけ聞いてみましょうみたいな・・・・・歌詞がなかったから、「アイラブユーOK」までオッケーよ。その先「ラーラララララー」「キミ、これ歌詞ないの?」「え、ええ。ないんです。メロディーを聴いて欲しかったんです」「他になんかないの?」「ア、アリマス」「あっそ、じゃちょっとギターで弾いてみて」ギター弾いて、一曲歌った。こっちのほうが、ちょっとフォークっぽいとか言われて、評判よかったみたい。時代がそろそろフォークって感じだった。「また、いい曲書いて来てよ」・・・・・いわゆる、断られた。あっさりと。その後、CBSソニーにも行った。設立したばっかりの時だったね。あっさりきたよ「不採用」ってことで。「あなたの曲は審査の結果・・・・・」印刷でガチャーンと書いてあった。東芝の帰りね、東京タワー見ながら、新橋あたりで「うおう!」っと思ったね。「クソッタレめ。オレのことを解らずに、何が東芝じゃ。オンドリャー」そんなふうなこと。オレは「アイラブユーOK」、すばらしいメロディーだ、いつか、何年かかるか、絶対モノにしてやるって思ってた。帰ってね、アルバイトに戻った。陸送なんかやりはじめてたね。
・で「そうか、どうしてもドラム欲しいか」オレのドラム・セットだよ。「売ってやる」と言った。親戚よ、オレの。「売ってやる」と言った。オレ、精いっぱいの声を、そこの玄関で張りあげた。「おまえら、全員見とけー!」おまえという言葉を使った。「あと5年かかるか、10年かかるかわかんねえけど、おまえら全員、土下座させてやる!」全員見返してやる、と言ったんだ。明るかった。よく腫れた昼間だった。涙がウワーッと流れた。そのままバスに飛び乗って、広島駅まで行ったよ。一歩間違ったら皆殺しって感じだったよ。
・鮨が届いたら、オフクロが黙っちゃってさ。オレ、「お母さん、食べて」って言ったら、「あァ、いただくよ」と言ってね、またポロッと泣き出した。。オフクロから見れば、千円の鮨というのはわかるわけよ。そうじゃん。いいとこの奥さんだから、そんなものバクバク食ってるわ。それでね・・・・・。その気持ち、最後に言ってたわ。「せいいっぱいしてくれて、うれしかった」って。それから、オフクロは、バッグ開けて。オレに「これを渡せ」というわけよ。それが、いま、うちの女房がはめてる結婚指輪だよ。オレ、指輪、買ってやれなかったから。それで、女房に渡した。いまでも大事に持ってるよ。ちっちゃいダイヤの指輪ね。それから、「子供もできることだし、お母さんに、ちょっと、できることだけさせてくれないか。欲しいものは何かあるか」って言った。「別にないけど・・・・」オフクロ、部屋をザッと見まわして「何もないね」と一言。秋葉原に一緒に行ってね、電気冷蔵庫と、ジャーと、アイロンと買ってくれた。「これは、おまえに買うんじゃない。奥さんに買うんだ」それと、出産費用として、15万くらい置いてったね。まあ、シャクなんだけど、先立つものが欲しかったしね、有難かった。電車が出る。ずっと手を振ってた。帰ってった。すみ子が「お母さん、最後みたいな顔で、ずうっと見てたね」とオレに言ってた。最後。ほんとに、それが最後だったんだ。2か月ぐらい経って、脳溢血で死んだよね。
・テレビに出られることになったわけよ。「リブ・ヤング」だよ。日曜の夕方の番組だった。やっとやっと本番始まって。わりと、後半だったのね。オレたちの出番。やっと爆発する時がきた。乗りまくった。「ウェン・アイ・ワズ・リトルボーイ」ガンガン歌った。その頃のオレの気持ちは、何でオレのような素晴らしいアーチストを世の中は見抜けないんだ、と、そういう不満があったからね。過剰なくらいに自信があった。それが、フジテレビでワーッときたわけよ。終わって、なんだかんだしてるうちに、担当に人が呼びにきた。「あ、矢沢君。実はいま電話があってね。出てくれないか。知ってるかな、ミッキー・カーチスさんて人」オレ、びっくりして「ひょっとして、あのミッキー・カーチスさんですか」って。ほんとに、心の中でうれしかった。ホント、震えてたもん、手が。震えてたけど、そこはもう「ナメられたらいけない」っていうのがあるわけよ。常にあの頃はそうだった。知らない場所に来てるんだから、ナメられちゃいけない。広島から横浜に出た時と同じだった。横浜駅に着いた時もそうだった。
・キャロルの解散を決めると、すぐロサンゼルスに行く計画を立てた。ロスへ行ってアルバムを作ろう。それと併行して、自分の、ソロになった際のバックメンバーを集める作業をした。同時にキャロルは活動してるんだよ、もちろん。ちょぼちょぼ。みんなは、「解散だ」って頭があるから、いやいややってた。オレはいやいややるわけにいかなかった。いまのうちに、キャロルで可能なかぎり高くまで引っ張っていかないと、次にオレがスタートする時に、えらい困難になると思ったから。真面目よ。思う。オレ。オレが「すぐ解散は絶対のよくない。解散コンサートをやるべきだ。いままで、5万枚のアルバムが売れて、ファンもやっぱり5万人はいるだろう。そこに、解散したいからしました。はい、よろしく。これじゃ絶対に気が収まらないだろう。だから、解散をはっきり宣言したうえで、全国何十か所かの解散コンサートをやるべきだ」と、そう言った。それがスジだ。それで、最終的に11本か12本かになった。成立よ。オレ、いままでもあの時の悔しさ忘れない。最後、全部オーケーになった時、オレ、彼らに何をしたか知ってる?頭を下げた。「どうもありがとう。ほんとに、メンバー、どうもありがとう」その時、オレは何を誓ったか、言おうか。絶対、こいつら許さないと思った。彼らを許さないとしたら、どうすればいいか。オレが、とんでもないスーパースターになることだ。
・オレは、大切にしている3本柱がある。これだけは、どんなやつにも侵させない。汗をかいて、牙をむき出しても守る。レコードをつくる。曲をつくること。これがひとつ。ステージ。全国100からのステージ。全力投球。地方のファンに、東京と同じに汗をかいた矢沢を見せてやる。そして、ファミリー。家族と、仲間たち。この3つだけ。オレが最低限大切にしなきゃいけないのは、これしかない。残りは、この3本柱のためになることなら、やる。
・「よし、CBSソニーへ行こう」となって・・・・フィリップスは放さないってわけ。違約金から、なにから全部で、1千何百万円、払えってことになった。CBSソニーで、借金して、小切手切ってもらって叩きつけに行ったよね。判コ押せって。向こうの専務が、最後に一言、「永ちゃん、カッコいいね」って。「ぼくが女だったら惚れるね」1回、裸になった。あの時は。キャロルの印税、全部投げ出した。CBSソニーに立て替えてもらったりしたけど、借金だからね、それも。大勝負よ。1アーチストがン千万借金してやるんだから。聞いてよ聞いてよ、そのへんは根性ありますよ。そのくらいの根性なくて、いまの矢沢はないですよ。いざという時に必要だっていったろ、金が。そういう大勝負を逃げられないだろ。金がなくって逃げてしまうわけにはいかん。みっともないじゃない。あの時のオレっていうのは、ここから始まるんだ、自分に言い聞かせてた。広島から出てきた時の感覚を維持しないと危険だって。やる気で震えてたよ。落ちこんでもおかしくない状況があっても、やる気で消してしまう。
<目次>
読者へ
広島
成りあがり 大好きだね この言葉 快感で鳥肌が立つよ/関東 矢沢家一代広島じゃない 横浜がオレの故郷だ/なんで金がないんだろう どうして両親がいないんだろう 口癖は おばあちゃん おもしろくない/おばあちゃんとの幼年時代 悲しみのヒーローだったけど いじけのヒーローにはならない/銭で買えないものがある? 冗談じゃない おまえ そんなこと言えるのか/親父もだいへんだったな いまになって思う オッサン 根性たりなかったね/親父の代では負けたけど オレの代では勝ってやる 忘れない 子供の頃の屈辱/中学 ワルの時代 メシ食えんけど そんなの知らないよ パンを盗めばいい 牛乳ガメて飲めばいい/矢沢君まじめになって 勉強まで熱が入った言語障害になるほどの初恋時代/彼女に会いたくて 万年筆ポケットにクラス会へ行った でも初恋は破れるものなんだ/アルバイトをしまくり 死にそうになったこともある 金はほとんど食い物に化けた/単なる音楽好きが 絶対スターになるんだに変わった 板金屋になるのはやめだ/愛読書はカーネギーの「人を動かす」 新聞はスミからスミまで目をとおす/自分に合ってるかどうかが 才能ってことだ 学校の勉強は役に立たない/方向を見失った時人間はいちばん苦しい オレには音楽があった/卒業証書を破いて京に上る 首都で旗をなびかせるぞ 攻撃開始だ
横浜
最終の夜汽車で東京へ 夢と現実が半々の状態だった 広島がぐんぐん離れて行く/無意識のうちに横浜で下車 貼り紙見て ボーイになる 夢だけがオレを支えた/まず バンドをつくらなければ 曲の売り込みにレコード会社へ どうしてオレの才能がわからないんだ/親戚にとられたドラム・セット いつかおまえらを土下座させてやる よく腫れた昼間だった/最初のバンド ザ・ベース結成 うまくなるには人前でやらなきゃダメ 初舞台は歌声喫茶だった/真夏に黒のトックリ・セーター ディスコのオーディションを受けた やる気だけしかなかった/横須賀のクラブに売り込む 見事オーディション合格 ギャラ1万 レパートリー5曲/機材グレード・アップ 練習につぐ練習 横浜・本牧”ゴールデンカップ”出演/天才がオレのそばにきて 夢を実現してくれる ザ・ベースはつぶそう/イーセット ディスコを荒らす よそのドラマーを引っこぬく おまえらとは夢がちがうんだ/ヤマト誕生 グルーピーが入れ替わり立ち替わり 4日にひとり女を変える/女とはじめて寝たのは20歳 それからはやりまくり 楽屋で休憩時間にバックバク/ディスコに来たマブイ女 それが女房だった ヤマト全盛 ディスコは恐ろしい場所だった/結婚前提でつきあってくれ 出会ったその夜に言った 同棲が始まった/ヤマトはイカシたバンドだった 時代がディスコをつぶしていく 追われるようにキャバレー出演/オヤシラズで一か月苦しむ ヤマト解散 どうしようもなかった 木原おまえもやめるのか?/ロックを仲だちに 親友になった男がいる 今は パイロットだ/全部終わった ひとりポツンと残った その時「最後の恋人」って歌ができた/オレには戻るところがなかった オレのバンドはオレの汗で始まり オレの匂いで終わった
キャロル
挫折感の中で 抜けだすための必死の動き バス賃60円をどうする/新しいバンドを作ろう まず ウッちゃんをひっかけた そしてジョニーとの出会い/20年ぶりにオフクロと会う 会った瞬間すべてを許した 会ったら殺してやるぐらいの気持ちだったのに/オフクロが死んだ 2か月間も知らなかった 泣いた その夜 ディスコでワオーッとシャウト/TVに出演 全員ブッ飛び人の目に触れさえすればビッグになれる そんな確信があった/キャロル始動ステージ レコーディング 動きは急上昇/オレと他のメンバーの間にズレが出てきた オレが堅すぎたのかもしれない でも ビッグになるためには必要だった/解散コンサートはやろう ファンへの義務なんだ スジを通してやめよう/芸能界はミカン箱商売だ キャロルは最低の契約を結ばされていた 信頼した人に裏切られたんだ/キャロルを思い出すと口のなかが苦くなる 一生元キャロルが付きまとうのか オレは矢沢栄吉と呼ばれたい!/オレの職業は歌うことだ レコード ステージ ファミリー この3本柱だけは大切にする/アメリカでLPを制作 この業界に未練はない ダメとわかったらパッと足を洗うつもり
E.YAZAWA
解散しても変わらないなら 解散する必要はない 元キャロルで矢沢を売るな/キツイ旅だ おまえにわかるかい 山3つ越え乗り込んでいく ロックで超満員にしてやる/自分で買ったレコードは4枚だけ ほとんど聴かない 宴会では「炭坑節」/どこまでやれるか見てほしい 勝ち負けは別にして もっといい曲をつくる そう オレはオレの世界を進む/反撃しろ 攻撃しろ 戦いの前提は負い目がないこと 自分の手でメシを食って 誇りを持つこと/ラジコンのヘリコプターを作りたい でも まだやれそうもない 自分自身にオトシマエつけきってないから/ハートで汗をかいているかどうか そこが大事だ 芸能界でやってない 自分のやり方でやる/おまえは ほんとに何が歌いたいんだ その問いにオレは答えてる 十万の目の前で汗をふりしぼって答える
「長い旅」を聴きながら 糸井重里
面白かった本まとめ(2007年)
面白かった本まとめ(2006年)
面白かった本まとめ(~2006年)
<今日の独り言>
4歳の息子の幼稚園で給食が始まりました。つい禁断の質問で、「ママのお弁当と給食どっちが美味しい?」と訊くと、「給食!」とのことでした^_^;)残念!