<金曜は本の紹介>
「利他のすすめ(大山泰弘)」の購入はコチラ
この「利他のすすめ」という本は、日本理化学工業(株)会長が書いた本です。
大山泰弘氏は、1960年に養護学校から二人の知的障害者の就業体験を受け入れたことをきっかけに障害者雇用に本格的に取り組むようになり、1975年には川崎市に日本初の知的障害者多数雇用モデル工場を建設し、現在74人の社員のうち55人が知的障害者(障害者雇用割合約74%)、製造ラインをほぼ100%知的障害者のみで稼働できるよう工程にさまざまな工夫を凝らしているとのことです。
また2000年に刊行された「日本でいちばん大切にしたい会社」で紹介され話題となり、また障害者雇用に取り組んだ経営が評価され、渋沢栄一賞のほか、東京商工会議所の「勇気ある経営大賞」を受賞したようです。
この本は、その知的障害者とともに働くなかで、彼らに学んだ知恵をまとめたものです。
主に以下のことについて書かれています。
・人間の幸せは、人に愛されること、ほめられること、役に立つこと、必要とされること
・人のせいにしないから自分が磨かれる
・本気で相手のためを思う。それが強い絆を生む
・自分を去れば(人のために動けば)、強く生きられる
・迷ったときこそ、人のために動く
・利他の積み重ねが、幸せな自分をつくる
・人を育てるには待つことが大切
・手段にこだわりすぎるのではなくどうすれば結果を出すことができるか考え抜く
・人に役にたつことが自分の幸せで、つまり利他こそが自分のため
・子供の頃から人の役に立つ経験が大切
・「私」ではなく「公」を考えること
・神様はじっと私たちを見ていて、誰かのために頑張っている人にはいつか贈り物を届けてくださる
・別に偉い人になる必要はない。その立場立場においてなくてはならない人になる
・逆境の中でも誰かの役にたつために努力を重ねれば、周りから応援されて、100%の形ではないにせよ、自分の夢や思いを実現する道が拓ける
・利他に生きるほうがむしろ安心して生きることができる
・人の役に立つために一所懸命に働いてみること
「利他のすすめ」という本は、とてもオススメな本です!
以下はこの本のポイント等です。
・人間の幸せは、ものやお金ではありません。人間の究極の幸せは次の4つです。
人に愛されること、
人にほめられること、
人の役に立つこと、
そして、人から必要とされること。
愛されること以外の3つの幸せは、働くことによって得られます。障害をもつ人たちが働こうとするのは、本当の幸せを求める人間の証なのです」
・試行錯誤の連続でした。しかし、その課程で、私は実に多くのことを学ぶことができました。
「人のせいにしないから、自分が磨かれる」
「本気で相手のためを思う。それが強い絆を生む」
「自分を去れば、強く生きられる」
「迷ったときこそ、人のために動く」
「利他の積み重ねが、幸せな自分をつくる」・・・
すべて、知的障害者とともに働くなかで気づかされたことです。そして、人間が生きていくうえできわめて重要なことばかりです。「知的障害者のために」という思いで頑張ってきたつもりでしたが、実は、「与えられた」のは私のほうだったのです。
・人を育てるー。これは、実に骨の折れることです。時間はかかりますし、辛抱もしなければなりません。それでも、私は「待つ」ことを大切にしたい。人は、誰かの役に立つ幸せを求めて、必ず仕事に真剣に向き合うようになります。周りの人が、その小さな成長に眼を向け、励まし、支えることで、その人は必ず育っていくのです。そして、「待つ」ことによって、私たちは、「絆」という大きな果実を得ることができるのです。
・私は、想像します。崩れ落ちる製品を見つめながら、「君が来てくれないと、こんなに困るんだよ」と声をかけられたとき、彼は幸せを感じていたに違いない、と。ご住職の言葉を思い出してください。人の役にたち、人から必要とされるー。彼は、あのとき、この「究極の幸せ」に触れることができたのです。だからこそ、その幸せを追い求めるために頑張り始めたのです。私はここに、人間の成長の秘密を見る思いがします。人から必要とされる喜びを知ったとき、人は自らの力で成長しようとし始めるのです。幸せこそ、人を成長させる原動力なのです。
・私たちは、ついつい自分にとっての「当たり前」を相手に押しつけようとしてしまいます。そして、相手が理解してくれなければ、それを相手のせいにしてしまう愚を犯してしまいがちです。しかし、相手のせいにしても何の解決にもならないのです。他人を変えることはできません。しかし、私たちは自分を変えることはできます。そして、自分が変われば、相手も変わり始めます。この普遍的な真実を、私は知的障害者に教わったのです。
・仕事で大切なのは「結果」です。「手段」にこだわりすぎるのではなく、「どうすれば結果を出すことができるか」を考え抜く。そうすれば、きっと新しいやり方を見つけることができるはずです。これこそ、「常識」から自由になる方法なのです。
・私は知的障害者との関係に悩む社員にこう語りかけています。「君は本気で仕事に取り組んでいますか?本気で彼らのためを思っていますか?君が本気でなければ、彼らは応えてくれないんだよ」すると、ほとんどの人がわが身を振り返るようになります。そして、彼らに真剣に向き合うようになり、やがて信頼関係を築き始めます。知的障害者の正直さが、彼らを成長に導いてくれるのです。本気で生きること。そして、本気で相手のためを思うこと。それ以外に、強い絆をつくる方法はないのです。
・仕事がうまくいかないときや、障害者が言うことを聞いてくれないときには、相手のせいにするのではなく、自分の態度や指示の仕方を見直すようになります。そして、相手の立場にたって、相手に伝わるような対応をする力をつけていきます。「人のせいにしない」からこそ、自分を磨くようになるのです。知的障害者は、指示の意味をきちんと理解して、納得しっときには、全力で仕事に取り組んでくれます。その障害者の純粋な気持ちが、健常者にとってはなによりの喜びとなります。そして、彼らのためにもっとがんばろうという気持ちが生まれます。一方、障害者は「自分のために、こんなにもがんばってくれたんだ」と感謝の念を心に刻みます。そして、自分ががんばることで周りの人が喜んでくれることが嬉しくて、さらに努力を重ねるようになります。こうして、相手を理解し、思いやり、励ましながら、目標に向かって力を合わせるなかから、お互いを信頼し合う関係が生み出されます。
・皆さん、いろいろな悩みを抱えながら生きていらっしゃいます。しかし、そこで、「こんなはずじゃなかった」と悲観しても何も生み出すことはできません。気持ちがさらに落ち込んでしまうばかりです。それよりも、いまいる場所で精一杯、人のために動いてみることです。人を喜ばせために、目の前の仕事に真剣に取り組んでみることです。望んで就いた仕事ではなくても、職場の人が喜んでくれるように頑張っているうちに、その仕事の面白さがわかるようになります。それが天職になる人もいるでしょう。なかなか役に立つことができないこともあるかもしれませんが、それでも、気持ちを腐らせずに、「どうすれば役に立てるか?」「どうすれば喜んでもらえるか?」と工夫していれば、いつかコツがつかめるようになるはずです。少なくとも、そういう姿勢があれば、周りの人はあなたを応援したくなりまs。苦手な上司であっても、あなが一所懸命にその人の役に立とうと努力していればきっと味方になってくれます。それが人情というものです。小さな成長でもそれを褒めてくれる。「こうしたらいいよ」とアドバイスもしてくれる。それが励みになって、苦しい状況でも頑張れるようになります。そばにいる人のために動いていれば、小さな「ありがとう」を毎日のようにいただくことができます。その喜びを糧に、日々を生きていれば、必ずそれなりの道が拓かれるのです。
・私はより根元的なものがあると考えています。それは、「人の役に立つことが自分の幸せなんだ」ということ、つまり「利他」こそが自分のためになることを知ることです。その気持ちこそが「生きる力」の根っこになると思うのです。
・子供のうちから、できるだけたくさん「人の役に立つ経験」をさせてあげることです。そして、その喜びを追い求める心を育ててあげることが、彼らが力強く生きていく礎になっていくのです。大人になってからも同じことです。うまくいかないときこそ、そばの人を喜ばせるために全力を注いでみることです。小さなことでもいい。その人が喜んでくれたことが、私たちを元気づけてくれます。一歩ずつ歩みつづける力を与えてくれるのです。そばにいる人の役にたつー。それが、生きる原点なのです。
・「知的障害者のために」「親御さんのために」という思いで頑張っているとき、私は「自分」を去っていました。人のために動くことによって、自分のなかに渦巻いていた「怒り」「悲しみ」「無念」などの感情から解き放たれていたのです。だからこそ、私はへこたれそうなことがあっても、一歩ずつ前を向いて歩いてくることができたのです。人のために動くこおによって、私たちは「無我」になることができます。そして、本当の強さを得ることができるのです。
・まず人のために動いてみる。どうすれば人の役に立てるのかと、目の前の仕事に一所懸命に取り組んでみる。そうした努力を積み重ねるうちに、仕事が上達して、技術が磨かれ、周りから評価され、大切にされる存在になります。それが、「個性」と呼ばれるのです。神様は個性をつくったのではありません。人の役にたつことを幸せだと思う人間をつくったのです。そして、その幸せを追い求めて努力をすれば、おのずから「個性」は生み出されるのです。
・お客様のために商品の値段を安くすれば、経営が成り立たなくなるかもしれません。株主への配当を増やしすぎれば、社員が納得してくれるだけの給料が払えないかもしれません。地域への貢献も度が過ぎると、会社の利益を損ねることもあるかもしれません。つまり、多くの人の役に立つとは、こうした多様な人々の利害をどう調整するかということに行き着くのです。ここで大切なのは、「三方一両得」「四方一両得」を追求する姿勢です。一部の人が得をするのではなく、できるだけ多くの人が得をするにはどうすればよいかを考え抜くことです。時には、一部の人から不満の声があがることもあるかもしれません。そんなときには、全体の利益を最大化する観点から納得できなければなりません。一部の人に迎合することはく、全体のことを考える-。いわば、「私」ではなく、「公」を考えることです。もしかすると、これこそ成長の本質なのかもしれません。
・確かに私は、美唄市に工場をつくるときに商売上の計算もしました。しかし、そのうえで、「どちらが、世のため人のためになるか?」という観点で最終決断をしました。もちろん、美唄の地で地道に商売を続けさせていただきましたが、それ以上の見返りがあるとは思っていませんでした。ところが、長い年月を経てホタテ貝殻入りチョークという”ご褒美”をいただくことができたのです。だから、私はあのときの選択を「正しかったのだ」と思いました。そして、「迷ったときこそ、人のために動く」という信念をより強くしたのです。
・この世にはたしかに神様がいらっしゃる。そして、神様はじっと私たちを見ていて、誰かのために頑張っている人には、いつか贈り物を届けてくださるのだ、と。いつ、どのような贈り物があるのか、それは誰にもわかりません。ときには、報われない時期が続くこともあるかもしれません。しかし、それでも変わらず人のために動き続ける。そうすれば、きっと神様は見ていてくださる-。そう、私は信じています。
・賢は賢なりに、愚は愚なりに、一つのことを何十年と継続していけば、必ずものになるものだ。別に偉い人になる必要はないではないか。社会のどこにあってもその立場立場においてなくてはならない人になる。その仕事を通じて世のため人のために貢献する。そういう生き方を考えなければならない。その立場立場においてなくてはならない人にある、「一隅を照らす」とはそのことだ。
・人というものは、必ずしも思い描いた人生を送ることができるわけではありません。むしろ、思い描いたとおりの人生などないといってもいいかもしれません。しかし、逆境のなかでも、誰かの役にたつために努力を重ねれば、周りから応援されて、100%の形ではないにせよ、自分の夢や思いを実現する道が拓けるのだと思います。
・利他に生きるほうが、「自分が、自分が」と我をはって生きるよりも、むしろ安心して生きることができると思います。なぜなら、日々、周りの人から「ありがとう」と感謝しえもらえるからです。一つひとつの「ありがとう」はささやかなものかもしれません。しかし、それらが、私たちの生活を幸せなものにし、生きる力を与えてくれるのです。しかも、周りの人が力を貸してくれるようになります。困ったときには、助けてくれるようになります。そして、その信頼関係こそが人生に本物の安心感を与えてくれるのです。
・人の役に立つために一所懸命に働いてみることです。信頼関係を求めるならば、まず、自分が相手のために動いてみることです。すべての人が人間脳をもっています。だから、きっと相手も私たちの力になりたいと願っているはずです。それを信じて生きたほうが、絶対に幸せに生きることができます。しかも、人のために動くとき、私たちは「無我の境地」に至ることができます。そして、小さな執着や見栄からも解放されるのです。
<目次>
はじめに
第1章 何千年たっても変わらないこと
1 お釈迦さまの知恵。
2 人間の究極の幸せ。
第2章 誰かの役に立ってこそ、幸せ
3 待つことで、人は必ず成長する。
4 幸せこそ、人を成長させる原動力。
5 人のせいにしにから、自分が磨かれる。
6 常識にしばられず、自由に考える。
7 本気で相手のためを思う。それが、「強い絆」を生む。
8 働くことで、愛までも得られる。
第3章 「利他の心」が人生を拓く
9 人のために動くから、「働」と書く。
10 そばにいる人の役に立つ。それが、生きる原点。
11 自分を去れば、強く生きられる。
12 人の役に立つことで、個性が育まれる。
13 「私」を離れて「公」に至る。
14 迷ったときこそ、人のために動く。
15 周りの人に支えられて、人は生かされる。
第4章 「幸せな自分」をつくる
16 一隅を照らす。
17 逆境を受け入れ、それを最大限に生かす。
18 利他の積み重ねが、「幸せな自分」をつくる。
終章 誰もが働ける、幸せな世界を
おわりに
面白かった本まとめ(2012年上半期)
<今日の独り言>
Twitterをご覧ください!フォローをよろしくお願いします。

この「利他のすすめ」という本は、日本理化学工業(株)会長が書いた本です。
大山泰弘氏は、1960年に養護学校から二人の知的障害者の就業体験を受け入れたことをきっかけに障害者雇用に本格的に取り組むようになり、1975年には川崎市に日本初の知的障害者多数雇用モデル工場を建設し、現在74人の社員のうち55人が知的障害者(障害者雇用割合約74%)、製造ラインをほぼ100%知的障害者のみで稼働できるよう工程にさまざまな工夫を凝らしているとのことです。
また2000年に刊行された「日本でいちばん大切にしたい会社」で紹介され話題となり、また障害者雇用に取り組んだ経営が評価され、渋沢栄一賞のほか、東京商工会議所の「勇気ある経営大賞」を受賞したようです。
この本は、その知的障害者とともに働くなかで、彼らに学んだ知恵をまとめたものです。
主に以下のことについて書かれています。
・人間の幸せは、人に愛されること、ほめられること、役に立つこと、必要とされること
・人のせいにしないから自分が磨かれる
・本気で相手のためを思う。それが強い絆を生む
・自分を去れば(人のために動けば)、強く生きられる
・迷ったときこそ、人のために動く
・利他の積み重ねが、幸せな自分をつくる
・人を育てるには待つことが大切
・手段にこだわりすぎるのではなくどうすれば結果を出すことができるか考え抜く
・人に役にたつことが自分の幸せで、つまり利他こそが自分のため
・子供の頃から人の役に立つ経験が大切
・「私」ではなく「公」を考えること
・神様はじっと私たちを見ていて、誰かのために頑張っている人にはいつか贈り物を届けてくださる
・別に偉い人になる必要はない。その立場立場においてなくてはならない人になる
・逆境の中でも誰かの役にたつために努力を重ねれば、周りから応援されて、100%の形ではないにせよ、自分の夢や思いを実現する道が拓ける
・利他に生きるほうがむしろ安心して生きることができる
・人の役に立つために一所懸命に働いてみること
「利他のすすめ」という本は、とてもオススメな本です!
以下はこの本のポイント等です。
・人間の幸せは、ものやお金ではありません。人間の究極の幸せは次の4つです。
人に愛されること、
人にほめられること、
人の役に立つこと、
そして、人から必要とされること。
愛されること以外の3つの幸せは、働くことによって得られます。障害をもつ人たちが働こうとするのは、本当の幸せを求める人間の証なのです」
・試行錯誤の連続でした。しかし、その課程で、私は実に多くのことを学ぶことができました。
「人のせいにしないから、自分が磨かれる」
「本気で相手のためを思う。それが強い絆を生む」
「自分を去れば、強く生きられる」
「迷ったときこそ、人のために動く」
「利他の積み重ねが、幸せな自分をつくる」・・・
すべて、知的障害者とともに働くなかで気づかされたことです。そして、人間が生きていくうえできわめて重要なことばかりです。「知的障害者のために」という思いで頑張ってきたつもりでしたが、実は、「与えられた」のは私のほうだったのです。
・人を育てるー。これは、実に骨の折れることです。時間はかかりますし、辛抱もしなければなりません。それでも、私は「待つ」ことを大切にしたい。人は、誰かの役に立つ幸せを求めて、必ず仕事に真剣に向き合うようになります。周りの人が、その小さな成長に眼を向け、励まし、支えることで、その人は必ず育っていくのです。そして、「待つ」ことによって、私たちは、「絆」という大きな果実を得ることができるのです。
・私は、想像します。崩れ落ちる製品を見つめながら、「君が来てくれないと、こんなに困るんだよ」と声をかけられたとき、彼は幸せを感じていたに違いない、と。ご住職の言葉を思い出してください。人の役にたち、人から必要とされるー。彼は、あのとき、この「究極の幸せ」に触れることができたのです。だからこそ、その幸せを追い求めるために頑張り始めたのです。私はここに、人間の成長の秘密を見る思いがします。人から必要とされる喜びを知ったとき、人は自らの力で成長しようとし始めるのです。幸せこそ、人を成長させる原動力なのです。
・私たちは、ついつい自分にとっての「当たり前」を相手に押しつけようとしてしまいます。そして、相手が理解してくれなければ、それを相手のせいにしてしまう愚を犯してしまいがちです。しかし、相手のせいにしても何の解決にもならないのです。他人を変えることはできません。しかし、私たちは自分を変えることはできます。そして、自分が変われば、相手も変わり始めます。この普遍的な真実を、私は知的障害者に教わったのです。
・仕事で大切なのは「結果」です。「手段」にこだわりすぎるのではなく、「どうすれば結果を出すことができるか」を考え抜く。そうすれば、きっと新しいやり方を見つけることができるはずです。これこそ、「常識」から自由になる方法なのです。
・私は知的障害者との関係に悩む社員にこう語りかけています。「君は本気で仕事に取り組んでいますか?本気で彼らのためを思っていますか?君が本気でなければ、彼らは応えてくれないんだよ」すると、ほとんどの人がわが身を振り返るようになります。そして、彼らに真剣に向き合うようになり、やがて信頼関係を築き始めます。知的障害者の正直さが、彼らを成長に導いてくれるのです。本気で生きること。そして、本気で相手のためを思うこと。それ以外に、強い絆をつくる方法はないのです。
・仕事がうまくいかないときや、障害者が言うことを聞いてくれないときには、相手のせいにするのではなく、自分の態度や指示の仕方を見直すようになります。そして、相手の立場にたって、相手に伝わるような対応をする力をつけていきます。「人のせいにしない」からこそ、自分を磨くようになるのです。知的障害者は、指示の意味をきちんと理解して、納得しっときには、全力で仕事に取り組んでくれます。その障害者の純粋な気持ちが、健常者にとってはなによりの喜びとなります。そして、彼らのためにもっとがんばろうという気持ちが生まれます。一方、障害者は「自分のために、こんなにもがんばってくれたんだ」と感謝の念を心に刻みます。そして、自分ががんばることで周りの人が喜んでくれることが嬉しくて、さらに努力を重ねるようになります。こうして、相手を理解し、思いやり、励ましながら、目標に向かって力を合わせるなかから、お互いを信頼し合う関係が生み出されます。
・皆さん、いろいろな悩みを抱えながら生きていらっしゃいます。しかし、そこで、「こんなはずじゃなかった」と悲観しても何も生み出すことはできません。気持ちがさらに落ち込んでしまうばかりです。それよりも、いまいる場所で精一杯、人のために動いてみることです。人を喜ばせために、目の前の仕事に真剣に取り組んでみることです。望んで就いた仕事ではなくても、職場の人が喜んでくれるように頑張っているうちに、その仕事の面白さがわかるようになります。それが天職になる人もいるでしょう。なかなか役に立つことができないこともあるかもしれませんが、それでも、気持ちを腐らせずに、「どうすれば役に立てるか?」「どうすれば喜んでもらえるか?」と工夫していれば、いつかコツがつかめるようになるはずです。少なくとも、そういう姿勢があれば、周りの人はあなたを応援したくなりまs。苦手な上司であっても、あなが一所懸命にその人の役に立とうと努力していればきっと味方になってくれます。それが人情というものです。小さな成長でもそれを褒めてくれる。「こうしたらいいよ」とアドバイスもしてくれる。それが励みになって、苦しい状況でも頑張れるようになります。そばにいる人のために動いていれば、小さな「ありがとう」を毎日のようにいただくことができます。その喜びを糧に、日々を生きていれば、必ずそれなりの道が拓かれるのです。
・私はより根元的なものがあると考えています。それは、「人の役に立つことが自分の幸せなんだ」ということ、つまり「利他」こそが自分のためになることを知ることです。その気持ちこそが「生きる力」の根っこになると思うのです。
・子供のうちから、できるだけたくさん「人の役に立つ経験」をさせてあげることです。そして、その喜びを追い求める心を育ててあげることが、彼らが力強く生きていく礎になっていくのです。大人になってからも同じことです。うまくいかないときこそ、そばの人を喜ばせるために全力を注いでみることです。小さなことでもいい。その人が喜んでくれたことが、私たちを元気づけてくれます。一歩ずつ歩みつづける力を与えてくれるのです。そばにいる人の役にたつー。それが、生きる原点なのです。
・「知的障害者のために」「親御さんのために」という思いで頑張っているとき、私は「自分」を去っていました。人のために動くことによって、自分のなかに渦巻いていた「怒り」「悲しみ」「無念」などの感情から解き放たれていたのです。だからこそ、私はへこたれそうなことがあっても、一歩ずつ前を向いて歩いてくることができたのです。人のために動くこおによって、私たちは「無我」になることができます。そして、本当の強さを得ることができるのです。
・まず人のために動いてみる。どうすれば人の役に立てるのかと、目の前の仕事に一所懸命に取り組んでみる。そうした努力を積み重ねるうちに、仕事が上達して、技術が磨かれ、周りから評価され、大切にされる存在になります。それが、「個性」と呼ばれるのです。神様は個性をつくったのではありません。人の役にたつことを幸せだと思う人間をつくったのです。そして、その幸せを追い求めて努力をすれば、おのずから「個性」は生み出されるのです。
・お客様のために商品の値段を安くすれば、経営が成り立たなくなるかもしれません。株主への配当を増やしすぎれば、社員が納得してくれるだけの給料が払えないかもしれません。地域への貢献も度が過ぎると、会社の利益を損ねることもあるかもしれません。つまり、多くの人の役に立つとは、こうした多様な人々の利害をどう調整するかということに行き着くのです。ここで大切なのは、「三方一両得」「四方一両得」を追求する姿勢です。一部の人が得をするのではなく、できるだけ多くの人が得をするにはどうすればよいかを考え抜くことです。時には、一部の人から不満の声があがることもあるかもしれません。そんなときには、全体の利益を最大化する観点から納得できなければなりません。一部の人に迎合することはく、全体のことを考える-。いわば、「私」ではなく、「公」を考えることです。もしかすると、これこそ成長の本質なのかもしれません。
・確かに私は、美唄市に工場をつくるときに商売上の計算もしました。しかし、そのうえで、「どちらが、世のため人のためになるか?」という観点で最終決断をしました。もちろん、美唄の地で地道に商売を続けさせていただきましたが、それ以上の見返りがあるとは思っていませんでした。ところが、長い年月を経てホタテ貝殻入りチョークという”ご褒美”をいただくことができたのです。だから、私はあのときの選択を「正しかったのだ」と思いました。そして、「迷ったときこそ、人のために動く」という信念をより強くしたのです。
・この世にはたしかに神様がいらっしゃる。そして、神様はじっと私たちを見ていて、誰かのために頑張っている人には、いつか贈り物を届けてくださるのだ、と。いつ、どのような贈り物があるのか、それは誰にもわかりません。ときには、報われない時期が続くこともあるかもしれません。しかし、それでも変わらず人のために動き続ける。そうすれば、きっと神様は見ていてくださる-。そう、私は信じています。
・賢は賢なりに、愚は愚なりに、一つのことを何十年と継続していけば、必ずものになるものだ。別に偉い人になる必要はないではないか。社会のどこにあってもその立場立場においてなくてはならない人になる。その仕事を通じて世のため人のために貢献する。そういう生き方を考えなければならない。その立場立場においてなくてはならない人にある、「一隅を照らす」とはそのことだ。
・人というものは、必ずしも思い描いた人生を送ることができるわけではありません。むしろ、思い描いたとおりの人生などないといってもいいかもしれません。しかし、逆境のなかでも、誰かの役にたつために努力を重ねれば、周りから応援されて、100%の形ではないにせよ、自分の夢や思いを実現する道が拓けるのだと思います。
・利他に生きるほうが、「自分が、自分が」と我をはって生きるよりも、むしろ安心して生きることができると思います。なぜなら、日々、周りの人から「ありがとう」と感謝しえもらえるからです。一つひとつの「ありがとう」はささやかなものかもしれません。しかし、それらが、私たちの生活を幸せなものにし、生きる力を与えてくれるのです。しかも、周りの人が力を貸してくれるようになります。困ったときには、助けてくれるようになります。そして、その信頼関係こそが人生に本物の安心感を与えてくれるのです。
・人の役に立つために一所懸命に働いてみることです。信頼関係を求めるならば、まず、自分が相手のために動いてみることです。すべての人が人間脳をもっています。だから、きっと相手も私たちの力になりたいと願っているはずです。それを信じて生きたほうが、絶対に幸せに生きることができます。しかも、人のために動くとき、私たちは「無我の境地」に至ることができます。そして、小さな執着や見栄からも解放されるのです。
<目次>
はじめに
第1章 何千年たっても変わらないこと
1 お釈迦さまの知恵。
2 人間の究極の幸せ。
第2章 誰かの役に立ってこそ、幸せ
3 待つことで、人は必ず成長する。
4 幸せこそ、人を成長させる原動力。
5 人のせいにしにから、自分が磨かれる。
6 常識にしばられず、自由に考える。
7 本気で相手のためを思う。それが、「強い絆」を生む。
8 働くことで、愛までも得られる。
第3章 「利他の心」が人生を拓く
9 人のために動くから、「働」と書く。
10 そばにいる人の役に立つ。それが、生きる原点。
11 自分を去れば、強く生きられる。
12 人の役に立つことで、個性が育まれる。
13 「私」を離れて「公」に至る。
14 迷ったときこそ、人のために動く。
15 周りの人に支えられて、人は生かされる。
第4章 「幸せな自分」をつくる
16 一隅を照らす。
17 逆境を受け入れ、それを最大限に生かす。
18 利他の積み重ねが、「幸せな自分」をつくる。
終章 誰もが働ける、幸せな世界を
おわりに
面白かった本まとめ(2012年上半期)
<今日の独り言>
Twitterをご覧ください!フォローをよろしくお願いします。