A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

下山(GEZAN)@渋谷 O-nest 2013.1.11 (fri)

2013年01月13日 00時50分25秒 | 素晴らしき変態音楽


『BUG ME TENDER vol.5』
下山(Gezan)~東京初 レコ発ワンマン~

[1/15追記:下記記事に対して当日ライヴ会場にいた方からコメントで私の見解の誤りをご指摘いただき下山の新たな鑑賞態度をご教授いただいた。先入観に囚われた自分の非を認めここにお詫びしたい。ただし記事は私の第一印象なので訂正せず掲載するが、読む場合は必ずコメント欄を参照いただきたい。]

昨年夏に大阪から東京へ拠点を移したサイコデリシャスハードポアバンド下山(GEZAN)は都内16ヶ所16日間連続ライヴ「侵蝕の赤い十六日」や"下山vsお前"と銘打った16人限定マンツーマンライヴ「侵蝕の赤い十六人斬り」等無謀な企画を実行し強烈な存在感を示した。12月にはライヴ盤&ドキュメントDVD「LIVE2012・大阪/侵蝕の赤い十六日・東京」をリリース。そのレコ発として東京初のワンマンライヴが開催された。

バンド形態で観るのは昨年7月のBO NINGENとの対バン以来半年ぶり。2011年に観た頃はベースのカルロスの全裸や客席へ文字通り飛び込んで暴れる傍若無人ぶりが新鮮だった。初下山でマヒトに頬に噛み付かれたのもいい思い出。昨年夏には激しいステージングはそのままに繊細なスローバラードも披露し暴れるだけが下山じゃないことを見せつけてくれた。非常階段と遠藤ミチロウのノータリンズとの3マンを観た友人から「下山の客がヤバかった」と聞いたのでどんな狂気の世界が展開されるか楽しみにしていた。

O-nestのビルの下に大勢の女性ファンが群れている。下山がアイドル化?と驚いたが隣の7th Floorの元RAG FAIRの客だった。ほっとするとともに拍子抜けしたのも確か。O-nestはUFO CLUBが渋谷へ移転したような客層。男女比は4:6でやや女性客が多い。知り合いのバンドマンやライヴ友達もチラホラ。最初は閑散としていたが開演時間には7割の入りでいい感じ。

15分押しでいつものラジオ風SEが流れメンバーがひとりずつお辞儀しながら登場する。ドラムのシャークは前回は茶髪チーマー(死語)風だったが、縞模様ヤンキーパーマになっている。カルロスの重いベースに導かれマヒトがステージに現れ激しく髪を振り乱し「月面の爪」でスタート。ライヴを重ねて来ただけありアクションのキレが倍増している。キレキレの轟音演奏にあざけるようなヴォーカルがマシンガンのように炸裂する。「三島と口紅」を聴いてマヒトが自称三島由紀夫の孫だということを思い出した。実のところ本当かどうか人を煙に巻くことが得意な彼らの発言からは伺い知れない。繊細なメロディのスローナンバー「春の膝」には詩人&メロディメイカーとしての高い才能が溢れている。新曲も交えた中盤は比較的ポップでスローな曲が多い。どの曲もエネルギーに満ちており下山がただの異端者ではなく多面性を持った本物のアーティストであることの証明である。



ライヴも半ばまで来た時に妙なことが気になってきた。ステージでは4人の修羅場のような激烈な演奏が展開されているのに客席が異常に大人しいのだ。今までは前方はヘドバンの嵐でノっていたのにこの日前列を占めた若者たちは微動だにせず眺めるのみ。これは一体どうしたことか。まるで映画の殺戮シーンや動物園で猛獣の檻の中を見つめるような傍観者の視線。下山の4人は案山子の前で演奏しているのか? 途中でサンプラーのスイッチを入れようとしたイーグルをマヒトが「いいよそんなの。どうせシケてるもん」と辞めさせる場面があった。マヒトが観客を突き放す暴言を吐く事は度々あったしそれに反抗するように客席がヒートアップするのが今までの下山のライヴだった筈。バカにされても苦笑を返すだけの従順もしくは醒めた若者たち。演奏のテンションが上がり崩壊寸前に至るに反比例して凍りつくオーディエンス。バンドが空回りしているのか?初ワンマンは失敗だったのか?余計な心配をしてしまう。最近アイドルのライヴばかり行っているので客席全員アゲアゲで盛り上がるのに慣れてしまったせいか?

マヒトが安易な連帯や一体感を嫌い敢てぶち壊そうとしているのは明らかである。大阪のライヴCDではマヒトが悪態をつき、それに怒号で応える観客がドキュメントされている。"挑発するマヒト"vs"やり返すオーディエンス"、その関係があって初めて真のコミュケーションが生まれるのではなかろうか。決して大阪に比べて東京の観客が大人しい訳じゃないのは今までの下山のライヴや前日のウィルコの盛り上がりやORANGE RANGEで一斉にジャンプする女子を観れば明らかだ。下山が2時間集中放射したエネルギーの熱量に感動したが、客の反応が気になり終演後知り合いを捕まえては何かおかしくね?と訊きまくるが余り意に介していない様子。ライヴがつまらなかったのかと思ったらロビーは満足げに談笑するファンで一杯だし物販も賑わっている。ツイッターでは「素晴らしかった」「感動した」という発言ばかり。アイドルに慣れ切った私の感性が狂っているのだろうか?



翌日BABYMETALのインストアイベントを観た。たった1曲のライヴに盛り上がり狂乱するヲタたちを目の当たりにして自分が正しいことを確信した。マヒトのように暴言を吐かせていただこう。

★本日の重要ポイント→「客のノリが悪くて悩んでいるバンドはアイドルヲタを取り込む努力をするべし。」

彼らは本当にライヴが好きなのでジャンルは違っても対バンをきちんと下調べして楽しもうとライヴに臨む。それはディアフーフや非常階段がアイドルと対バンした時の異様な盛り上がりで明らかだ。クールを気取るロックファンは放っておいてもヲタの皆さんが盛り上げてくれるよ!マジで。

すぐ逃げろ
下山が山から
下りてくる

実のところマヒトや他のメンバーに直接感想を聞きたいところである。もし関係者がこれを読んでいたらメンバーに伝えて欲しい。反論・批判何でも正面から受け止めるから。









コメント (6)
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