この日は3つのイベントのハシゴ。どれも女性アーティストというのが最近の当ブログの傾向に沿っていて面白い。
●キノコホテル@渋谷O-East
Guidance~導き導かれる人生~ 8th Anniversary
Live:中村達也+MASATO(HELLBENT) / アーバンギャルド / キノコホテル DJ:ALTZ
「Guidance~導き導かれる人生~」というイベントは初めてだがその8周年企画が3日間開催された。その最終日となるO-East公演はキノコホテルとアーバンギャルドという応えられない組み合わせに中村達也まで出演という途轍もなくおいしいイベント。リサ・ローブがなければこれ1本で満腹だったが仕方がない。事前に出演順を確認するとキノコが最初、アーバンがトリとのことでキノコだけでも観ようと参戦した。実は1月19日(土)に渋谷タワレコのイベントで前から2列目支配人の真正面でキノコ始めをしたばかり。久々に間近で観るマリアンヌ様の眼光の鋭さとカリスマ過ぎるパフォーマンスに骨抜きにされてしまった。新従業員ジュリエッタ霧島の超絶テクに昇天。胞子として実演会は可能な限り通わねばと気を引き締めた。
アーバンギャルが多数交じり女子率の高い客層はキノコの実演会には珍しい光景。ムチと拡声器を振りながら現れた支配人に女子からも歓声が上がる。タワレコイベントは購入者対象だったので世間的には今回が仕事始め。マスコットのマリアンニャ様ぬいぐるみを手に「あけましておめでとう」と腹話術の声色でMC。カルメン・マキの「ノイジーベイビー」のカヴァーに加え、24日に対バンする戸川純を意識したのか♪~セクサロイド♪という歌詞の新曲?も披露。「#84」ではタンバリンを手に客席に乱入、目の前で床に伏して悶える支配人。ジュリエッタ加入でバカテク集団と化した新生キノコはますますグルーヴィーにロックする。今年もキノコノトリコだわ。次のイベントのために終了次第退出。物販でマリアンニャ様ぬいぐるみを求めると「たった今マリアンヌ様がお使いになったものですよ!」とのこと。これは春から縁起がいいや。アーバン始めは次の機会に。
<Setlist>
1 キノコホテルのテーマ
2 球体関節
3 ノイジーベイビー
4 もえつきたいの
5 セクサロイドM
6 悪魔なファズ
7 #84
8 キノコノトリコ
●パティ・スミス トークショー&サイン会@代官山蔦屋書店
8年ぶりのオリジナルアルバム「Banga」と共に来日ツアーを行うパティ・スミスの初の自伝「ジャスト・キッズ」と詩集「無垢の予兆」出版記念イベント。前日タワレコ渋谷でも開催されたが早々に予約締切になったので話題の代官山蔦屋で購入し参加券をGETした。開演時間ギリギリに着くと立見含め満員。トークをしているが姿は人の頭の間からチラ見、声は殆ど聞こえず。トークの最後に1曲アコースティック演奏。全然見えないけど深みのあるいい声だった。
トークショー終了後サイン会。何処で待ったらいいのか判らず佇んでいたら背の高いヒョロッとした外人男性が「Hello Hello」と言いながらウロウロしていた。今アコギを弾いていた人?ってもしかしてと思いおそるおそる「レニー?」と尋ねたら「Yes」という返事。どっひゃ~!何とレニー・ケイだよ!と感激。「あなたの監修した"Nuggets"大好きです」と口走ったら「Oh Thank you!」と言って今ギターを弾いていたピックをくれた。"LENNY KAYE"の刻印と"IT'S A NUGGET IF YOU DUG IT!"(掘ってみれば金塊かも)と記されている。ガレージパンクやヴェルヴェッツやエリオット・マーフィーのことを話したかったが咄嗟のことで頭が働かない。他のお客さんも気がついて集まってきたので記念撮影と握手をして別れた。パティにもサインをもらいホクホク。詩人らしい理知的なオーラを持った女性だった。
●リサ・ローブ@六本木ビルボードライブ東京
メガネ美人シンガーソングライター、リサ・ローブが8年ぶりのオリジナル・アルバムを引っさげて2年ぶりの来日公演。
丁度1年前2012年1月23日に同じビルボードライブ東京でスザンヌ・ヴェガの来日公演を観た。80年代にヴェガやトレイシー・チャップマンが切り開いたネオ・フォーク系女性シンガーソングライターの流れを汲むアーティストが90年代次々登場したことは昨年9月「ハーフコインの花園~90's女性シンガーソングライター特集」で紹介した通り。1994年レコード会社未契約で全米No.1ヒット放ち話題になったリサ・ローブも90年代女性SSWの代表格である。当時活躍したアーティストの多くが現在も健在で活動しているのはアコギ1本で演奏出来るシンプルさと歌詞のメッセージの普遍性故である。リサのライヴを観るのは初めてだが1997年スザンヌ・ヴェガの東京公演にたまたま同時期に来日していたリサがゲスト出演したのを観た記憶がある。ライヴは観てなくてもメガネが素敵なリサの顔は当時洋楽を聴いていた人なら印象深いに違いない。「ステイ」「アイ・ドゥ」「トゥルースフリー」「ドゥ・ユー・スリープ?」といったヒット曲はラジオやMTVでもよく流れ心に刻み込まれている。
2000年代はポップシンガーとしての活動と平行して子供のためのプロジェクト「キャンプ・リサ基金」を設立し子供達にサマー・キャンプ体験の機会を与えると共に子供向けの楽曲作りをしてきた。またトレードマークを活かして「リサ・ローブ・アイウェア」というメガネブランドもやっている。そんな訳で20年近い活動歴にしてはオリジナル・アルバムは5作と意外に寡作である。
新作「ノー・フェアリー・テイル」はメロコア・バンド、ニュー・ファウンド・グローリーのチャド・ギルバートをプロデューサーに"poppy-punky-rock album"として制作された。この日のステージにはジョニー・サンダースで有名なレスポールTVモデル(色は茶色)で登場しG,B,Dsのロックトリオをバックに堂々としたアメリカン・ロックを聴かせてくれた。途中でアコギに持ち替え往年のヒット曲を連発、独特の鼻にかかった甘い歌声とトークに満ちた70分のステージをを堪能。
ビルボードライブにはベテランの洋楽アーティストが多数出演するが毎回その演奏力の高さに感嘆する。単に年配ファン向けというだけではなく質の高さ・現役感を備えたアーティストを厳選していることがよく分かる。終演後にサイン会が開催されることが多いのも大きな魅力。リサに1年前ここでスザンヌ・ヴェガを観たことを話すと「彼女には15年前に日本で会ったわ」と当時を覚えていたのが嬉しかった。
一晩で
女性ロッカー
三世代
2013年もやはりガールズ・アーティストから目を離せない。