グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

すごいぞ!アカメガシワ。

2010年09月02日 | 植物
先日朝5時半ごろ、犬と一緒に朝の散歩に行った時のことです。

路上に何かが散らばっていました。

近づくと樹上の木が揺れ、タイワンリスが逃げていきました。

路上に散乱していたのはアカメガシワの果実で、根元は皆こんなふうにかじられていました。

いったいリスは何をやっていたのでしょう?

ただ歯が痒かった?
それともムシャクシャしていて荒れた気分だった??
実を食べようとしていたとか???

現場検証よろしくリスが落した実を見つめていたら、
実はアカメガシワの種をジックリ見たことが無いことに気づきました。

路上の果実はもう熟しているものもあれば、まだ緑色で堅そうなものもありました。
緑色の果実は少しネバネバしていて、トゲっぽい突起がいっぱい付いています。


「なんだかこれでは、食べにくそうだし、まずそうだな~。
実は食べにくい形になって、中の種が成熟するまで種を守っているのだろうか?
そういえば、アカメガシワの種って、何粒入っているのだっけ?」

まだ緑色の実を、解体してみることにしました。

解体開始。


中からは種が3粒出てきました。

ツヤツヤです!

種がはじけた後の実も、3つに分かれています。
なるほど、これなら3粒の実がピッタリ収まりそうです。

そして実の内側が意外と綺麗なのに驚きました。

今まで実の時期になると、何だか汚くなったな~、なんて遠めに見ていたのに、こんな素敵なデザインだったのですね。
うむむ~、やるな~アカメガシワ…。

それにしても、1粒に3個?1本の木ではいったい何個の種ができるのでしょう?
近くの木を数えてみたら、約70粒の実が付いた花茎が約70本ありました。

3×70×70=14.700…や、約一万5千粒~~!?

これだけの数の種から大きな木になれるのは、いったい何個ぐらいなのでしょうね?

アカメガシワを調べていたら、さらに色々なことがわかりました。

まず緑色の実のネバネバは分泌物によるもので、どうやら毒を出して
種が熟すまで実を守っているらしいのです。

しかも黒いツヤツヤの種は油脂でくるまれていて、長い間土の中で眠っていても
乾燥せずに生きていられるようです。
そして、伐採やその他で、他の植物が居なくなると眠りからいち早く目覚め、
たくましく成長を開始するようです。

実にも種にもこれほど工夫が凝らされていて、1本の木から1万5千粒近い種ができるのに、
私たちの周りがアカメガシワだらけになることはありません。

こんなふうに考えると、目の前でツヤツヤの実をつけているアカメガシワが
いくつもの試練を乗り越える強さと運に恵まれた、スペシャルな個体に思えてきます。


リスに噛み散らかされたアカメガシワの前で、足を止めたことをきっかけに
また、自然の仕組みの奥深さに触れました。

きっと私が気づくことさえできれば、周囲にはもっともっとたくさんの不思議が満ちていることでしょう。

リスに手伝ってもらわなくても、不思議に思って足を止める心の目を磨いておきたいものだと思いました。

これって、人生を100倍楽しむ方法かも!

(カナ)






コメント (2)
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