グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

大島がジオパークに認定されました!

2010年09月19日 | 火山・ジオパーク
もうご存知の方も多いと思いますが、先週大島町は、東京都初のジオパークに認定されました!

ジオパークは世界自然遺産と並ぶ、ユネスコが支援する取り組みです。
この認定は、大島の自然の魅力が評価された結果ですから、とても嬉しいです。

ところで、「ジオパークっていったい何?」と思われている方も多いのではないかと思います。

実は私自身、審査当日に審査員の方々とお会いするまで、かなりおぼろげな部分があったのです(笑)。

それが審査の過程でジオパークの目指すところがハッキリとわかるようになりました。
そして、それはとても共感できるものでした。

ジオパークの取り組みについて、今年8月に発行された「世界のジオパーク」という本の中から
少しだけ引用します。

「ジオツーリズムとは、地形、地質を中心として、生態系、さらには地域の歴史、伝統、文化を
対象とする観光である。
生態系は地形、地質を基盤として成り立っており、さらにそれらすべての影響を受けて
地域の歴史・伝統・文化が出来上がってきた。
したがって地形・地質は最も基本的な地域資源であり、そこから観光を考えるジオツーリズムは
地域の全てを観光資源として活用できる枠組みとも言える。」

活火山三原山が今も陸の地形を変える大島では、わかりやすい解説があれば
あとは人間の想像力を使って、噴火というダイナミックな地球の活動を、そしてその迫力を、
肌で感じることができます。


植物は数mの厚さで覆いかぶさった溶岩流の、何も栄養分の無いところから回復します。

そして島の土壌や気候、島にたどり着いた虫など、様々な大島独自の環境に合わせて変化し、
生き続けようとします。

カルデラの中で光る海のような光景を作り出すススキの大群落も、三原山が作り出した自然の風景です。

大島は、三原山の火山活動のおかげで、万人の心を動かす“命の神秘”を
とてもわかりやすい形で見ることのできる魅力的な島なのです。

ジオパークでは、このような自然の魅力を「12歳の子どもが理解できる。」わかりやすい言葉で、
広く一般の人に伝え、それを観光資源としていくことを提唱しています。

地元の自然の魅力を、そこに暮らす人々が皆で探し、それを観光に役立てていくことで
地域を活性化し自然を保護していく、という「持続可能な観光」がジオパークの目的でもあります。

ジオパークには、たくさんの審査基準があります。
(またまた“世界ジオパーク”からの抜粋です。)

① 法規制に基づき、ジオパーク内の自然・文化遺産が確実に保護されていること、

② 博物館・ビジターセンターや、ガイドブックやガイドマップで、ジオパークの見どころが
わかりやすく提示され解説されていること、
自然観察路が整備され、見どころにはわかりやすい説明板があること、

③ 地元住民が学校教育や地元での講演会などを通じて、地元の様々な自然・文化遺産の価値を
良く理解していること、

④ 地元でガイドを養成し、ガイドつきのジオツアーを行っていること、

⑤ ジオパーク内の各種遺産を保護しながらジオパークに活用して、地域経済を活性化し、
地域の持続可能な発展を実現していること

⑥ 以上のような活動を行うための、しっかりした運営組織と運営計画があり、
必要な人材がいること、
自治体、NPO、企業、各種団体、大学、研究機関が協力してボトムアップの運営組織を作り、
資金を確保し、持続可能な運営組織を作る事が重要

そしてもちろん…
⑦ 重要な大地の遺産や文化遺産が点在する地域であり、ジオパークとしての範囲が明確に定められ、
大地の成り立ちや、現在の地学的現象がよくわかる地域であること。

大島町はまだ火山博物館に学芸員がいない、ビジターセンターが無くスタッフもいない、
ジオパークの活動がまだ島内で知られていない等、十分条件を満たしているとは言えない状態です。

でも島の自然の素晴らしさと意欲を評価され、今後さまざまな点を改善していけるであろうという事を
期待をされて、認定となりました。

一度認定されても改善されていかなければ、4年後の審査で認定が取り消されます。

これから島内に向けて様々な説明や勉強会が行われ、他のジオパーク地域との交流や協力が始まるでしょう。

島に住む読者の方には、ぜひ一緒に大島の自然の魅力を探して頂きたいですし、
その魅力を知人や家族、接するお客様など、身近な人に伝えて頂きたいです。

何と言っても、人と人との直接の関係が一番の基本であると思うので。

このブログでも、私達が勉強したことは出来る限り伝えていきますので、
どうか一緒に活気のある魅力的な島作りをお手伝いくださいね。

島外の方が大島を訪ねてこられた時、住民誰もが島の自然の素晴らしさを自信を持って語れる…
そんな未来を皆で作っていけたら、本当に嬉しいです。

(カナ)

コメント (4)
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