グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

大島の火山・その1

2010年09月05日 | 火山・ジオパーク
ジオパーク認定の視察の際に、専門家の方々に火山について色々教えていただきました。

その時の勉強結果を自分だけで知っているのはあまりにもったいない…と思うので
しばらくは毎週日曜日に、火山について私が知った事をまとめてみることにしました。

今回は大島で観察できる溶岩流の形を紹介します。

三原山の山頂口から遊歩道沿いに歩いて行くと左手に、安永(江戸時代)の大噴火の時に流れ出た溶岩を、
間近で観察できる場所があります。

ジオサイト2~3です。(ジオサイトについては最近できたポスターや山頂の看板をご覧ください。)

この溶岩がそうなのですが、ちょっと面白い形をしていると思いませんか?

これは噴火の規模が大きく高温で流れ出た時の溶岩流の形で、パホイホイ溶岩と呼ばれています。
ハポイホイとはハワイ語で「滑らか」を意味するようです。

高温なため流れやすく薄く(多くは2m以内)、先端が冷えてくるとシワを作って止まる傾向があります。
(このような形状を縄状溶岩とも言います)

これはハワイのパホイホイ溶岩です。
平坦な場所とシワシワな場所があるのがわかるでしょうか?


シワは流れの方向と直角にできるので、このジオサイト2では流れてきた溶岩が
グルリと方向を変えた事がわかります。

何か障害物でもあったのでしょうか?
それとも傾斜があったのかもしれませんね。
なにはともあれ、240年前の溶岩流の動きがわかるなんて、凄いですよね~。

さて、この縄状溶岩の近くに、岩でできた小高い丘があります。
同じ安永の噴火で「岩が2つに割れ、パホイホイ溶岩が流れ出た所」なのだそうです。


実はここは私のお気に入りの場所で、絶好のススキ観賞ポイントなのです。

大きな岩の表面が平らで座り心地が良いので、毎年秋になるとこの岩を椅子代わりに、
逆光に輝くススキの海を楽しんでいたのです。

それが実は240年も前にここに現れたアンティーク家具…じゃなかったパホイホイ溶岩だとは、
考えたこともありませんでした!

もっと以前からこの年代物の岩の成り立ちを知っていたら、景色と共にありがたさが倍増していたことでしょう!

さて、この場所からもとにもどって遊歩道を歩くとすぐに、1986年の溶岩流先端に突き当たります。

ここは86年の溶岩で昔の遊歩道が寸断されてしまった場所ですが、
さっきのパホイホイ溶岩とかなり雰囲気の違う溶岩ですよね?

噴火のパワーが弱まり溶岩の温度が低くなると、粘り気が出て流れるスピードも遅くなり、
このように厚くなります。

空気に触れた表面は冷えて固まりますが、下の溶岩は流れ去ろうとするので、
表面は引っ張られて崩れ、ゴツゴツ、トゲトゲした形になります。
これをアア溶岩と言い、ハワイ語で「表面がトゲトゲした状態」を示すそうです。

ちなみに86年の噴火は中規模だったのでパホイホイ溶岩は流れず、全てアア溶岩だったのだそうです。

ところで島人は昔、流れてくる溶岩の側に立ち木の枝で灰皿を作って持ち帰ったという話を耳にする事があります。
この話をすると、皆さんとても驚かれるのですが…
先週視察で歩いた時に、大島町長がその溶岩灰皿の作者の一人である事が判明しました!

前回の噴火ではそんな余裕はなかったと思うので、1950年の噴火の時の事でしょうか?
(もっと詳しく聞くべきでした!!)
もしもまだその作品が手元にあるなら、是非公開していただきたいですね~。

さて今回はパホイホイ溶岩とアア溶岩の違いをまとめてみました。

毎週少しずつ、大島の火山を勉強していけたらいいな~と思っていますので
お付き合いくださいね。

もちろん、質問も大歓迎です!

(カナ)


コメント
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