グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

幼虫の道しるべ

2020年05月05日 | 
昨年オビカレハ(天幕毛虫)の幼虫に、ほぼ葉を食べ尽くされてしまったためか、今年はひとつも花が咲かなかったサクラの木。

この木には、今年もオビカレハの幼虫が、2箇所で巣を作りました。

4月3日、黒い小さな体で集まっていた幼虫たちは…


1週間後には体が倍ぐらいに大きくなり、模様もハッキリしてきました。


面白いなと思ったのは、幼虫たちが食べに行っている葉が、巣から結構離れている事でした。

巣の周りにもいくらでも葉があるのに、上の方の細い枝の先端の葉を、みんなで集まって食べていました。

「巣の近くの葉がなくなると巣が目立つから、少しでも天敵に見つかるリスクを減らすために遠くへ行くのかな?」と考えましたが…本当のところはどうなのでしょうか?

さらに2日後。
木の幹を移動中の幼虫たちを見ていたら、彼らがまるで決まった道があるかのように、整然と一列に並んで移動していることに気がつきました。


よく見ると白い糸が張られていました。


幼虫たちは自分で糸を出して、それにそって往復しているようでした。

先発隊が糸で印をつけ、みんなで同じ葉を一枚ずつ食べていくのでしょうか?
そして糸は、まだ体の小さい幼虫たちが、確実に巣に帰るための“道しるべ”なのでしょうか?

さらに、さらに2日後。
横枝を行進中の幼虫たちを見つけました。


きちんと一列に並んで歩いています!

まるで幼稚園児の遠足みたいで、なんともカワイイです!

ところで毛虫たちの進んで行く先には、いくつも分かれ道があります。

ここも分岐点のひとつ。

太い枝から上に伸びた細い枝の先で仲間たちが葉っぱを食べているのですが、ちゃんと曲がれるのでしょうか?(枝にはあまりハッキリした糸は見えません)

「う〜ん、こっちで良いのだろうか?」


「なんだか違うかも。自信ないから帰ろう!」


「いや大丈夫だよ。きっとこっちさ。僕にはわかる!」


「ついて行って大丈夫かな?」「おまえどうする?」


「信じてついていこう!」「僕は帰るよ」

そして…

小枝を登って行った者たちは、めでたく美味しいご飯にありつけたのでした。

いや〜”幼虫ワールド”しっかりハマりました(笑)

小さな幼虫が、人にはない能力を持っていることや、1匹ずつが違う個性を持っていることに気づいて感動しました。

観察は続きます!

(かな)
コメント
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