グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

「噴火は近いか?」ジオ研勉強会

2013年07月11日 | 火山・ジオパーク
一昨日の辛島のブログでも、少しだけ報告のあったジオ研勉強会。

この日はジオ研以外の参加もあって、30名前後の人数でした。

まずは講義の出だしから…

赤字の表題の下に、白字の部分に書いてある文章は?

「2~3日後にはないでしょう。
 2~3週間後は、たぶんないと思います。
 2~3ヶ月後は…わかりません。」

噴火の長期的な予測は現時点ではできないという現実から、講習はスタートしました。

「東日本大震災の後、蔵王山等5つの火山で、プレートが引っ張られたことで地下の柔らかい岩盤が横に伸び、その分縦に縮んで、山が5~15m沈んだ」など、事実も交えながら火山噴火のしくみが語られていきました。

私的に面白かったのは、火山観測機器の説明の数々です。。
例えば「傾斜計」や「ひずみ計」は、どういう仕組みなのか…

フムフムなるほど~、図があるとわかりやすい…
1km先の1mmの変化や、25mプールのビー玉1個分の変化がとらえられんですって!スゴイです!

「ひずみのグラフ」の凹んでいる部分(黒丸3つ)は「マグマが供給され周囲から押されたからではないか」と考えられているようです。へえ~、そう読み取るんですね.

こんなグラフもありました。

火山性地震にあわせて大島が膨らんでいます。
なるほど~少しずつわかってきました!

…と、思いきや…

「では、これは何を表しているでしょう?」←加冶屋さんからのクイズです。
地震のない時には,大島が縮んでいます。

「マグマが地下に帰った!」という会場からの声に対し、
「マグマが地下に帰ったら地震が起きませんか?」と加冶屋さん。

「?」シ~ン…。
この質問、誰からも正解が出なかったので、答えは次回の講習まで持ち越しとなりました。

ところで、気象庁の火山観測に私たちガイドが同行して観測現場を見せてもらえるようになってから、1年以上が立ちました。(下記写真は1年半ほど前のもの)

これは以前なら考えられなかったことだそうです。

「ガイドが防災の担い手になる」というを目的として、はじめられたこの取り組み。
今までに10数名が参加しました。

おかげでガイド中に火山観測について、以前より詳しく語れるようになりました。
ありがたや~ジオパーク。

さて今後の伊豆大島ですが、全島民避難の可能性が3つあるそうです
それは「山頂の大規模噴火」「複数箇所の山腹割れ目噴火」「カルデラ噴火」が起きた時。
その時は、早めに全島避難を決断する必要があるだろうとのこと。

比較的人的被害が少ないといわれる大島の火山ですが、過去には3つのうちどの噴火も起こってきたのですよね。しかも何度も…。

私たちの暮らす足もとの地面が、その事実を教えてくれます。

学んで考えなくちゃ、そして伝えなくちゃ~。

講習最後には仕事で来島されていた、気象庁火山課長の山里氏とのこんな時間も…。

事前にジオ研メンバーから提出された質問に回答し、その後フリーで質疑応答するという企画でした。

「東日本大震災から富士山、三原山,その他の噴火が誘発される可能性は?」
「地震後21個(20個だったかも…)の火山が活発化した。焼岳、箱根など。実際には地震後噴火することも、逆に噴火が止まることもある。青森の八甲田山の地震が増えている」

「実際の火山灰被害は?」
「火山灰の大きさにもよるが、車のスリップ事故は起こるだろう。桜島など度々噴火している場所は除灰車などがすぐに作業をするが、火山灰に慣れていない東京は混乱するかも。大雪に慣れていない東京と同じ…」

話題はプルームテクトニクス、大島の割れ目噴火の溶岩がなぜ赤っぽいかなど、多岐に及びました。

研究によって解明される新しい事実…島に暮らす私たちは、こういう「新しい事実」を知る必要があるなぁと思いました。

だって私たちは、教科書の中に出てくる「玄武岩の島」に生きているわけじゃなくて、教科書よりももっと複雑な、変化する生の火山の島に生きているわけですから…。

毎年こういう勉強会を企画して、みんなで学んでいきたいです。

(カナ)






コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ヒメヤママユ | トップ | ジオパーク馬車プロジェクト »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

火山・ジオパーク」カテゴリの最新記事