もうご存知の方も多いと思いますが、先週大島町は、東京都初のジオパークに認定されました!
ジオパークは世界自然遺産と並ぶ、ユネスコが支援する取り組みです。
この認定は、大島の自然の魅力が評価された結果ですから、とても嬉しいです。
ところで、「ジオパークっていったい何?」と思われている方も多いのではないかと思います。
実は私自身、審査当日に審査員の方々とお会いするまで、かなりおぼろげな部分があったのです(笑)。
それが審査の過程でジオパークの目指すところがハッキリとわかるようになりました。
そして、それはとても共感できるものでした。
ジオパークの取り組みについて、今年8月に発行された「世界のジオパーク」という本の中から
少しだけ引用します。
「ジオツーリズムとは、地形、地質を中心として、生態系、さらには地域の歴史、伝統、文化を
対象とする観光である。
生態系は地形、地質を基盤として成り立っており、さらにそれらすべての影響を受けて
地域の歴史・伝統・文化が出来上がってきた。
したがって地形・地質は最も基本的な地域資源であり、そこから観光を考えるジオツーリズムは
地域の全てを観光資源として活用できる枠組みとも言える。」
活火山三原山が今も陸の地形を変える大島では、わかりやすい解説があれば
あとは人間の想像力を使って、噴火というダイナミックな地球の活動を、そしてその迫力を、
肌で感じることができます。
植物は数mの厚さで覆いかぶさった溶岩流の、何も栄養分の無いところから回復します。

そして島の土壌や気候、島にたどり着いた虫など、様々な大島独自の環境に合わせて変化し、
生き続けようとします。
カルデラの中で光る海のような光景を作り出すススキの大群落も、三原山が作り出した自然の風景です。

大島は、三原山の火山活動のおかげで、万人の心を動かす“命の神秘”を
とてもわかりやすい形で見ることのできる魅力的な島なのです。
ジオパークでは、このような自然の魅力を「12歳の子どもが理解できる。」わかりやすい言葉で、
広く一般の人に伝え、それを観光資源としていくことを提唱しています。
地元の自然の魅力を、そこに暮らす人々が皆で探し、それを観光に役立てていくことで
地域を活性化し自然を保護していく、という「持続可能な観光」がジオパークの目的でもあります。
ジオパークには、たくさんの審査基準があります。
(またまた“世界ジオパーク”からの抜粋です。)
① 法規制に基づき、ジオパーク内の自然・文化遺産が確実に保護されていること、
② 博物館・ビジターセンターや、ガイドブックやガイドマップで、ジオパークの見どころが
わかりやすく提示され解説されていること、
自然観察路が整備され、見どころにはわかりやすい説明板があること、
③ 地元住民が学校教育や地元での講演会などを通じて、地元の様々な自然・文化遺産の価値を
良く理解していること、
④ 地元でガイドを養成し、ガイドつきのジオツアーを行っていること、
⑤ ジオパーク内の各種遺産を保護しながらジオパークに活用して、地域経済を活性化し、
地域の持続可能な発展を実現していること
⑥ 以上のような活動を行うための、しっかりした運営組織と運営計画があり、
必要な人材がいること、
自治体、NPO、企業、各種団体、大学、研究機関が協力してボトムアップの運営組織を作り、
資金を確保し、持続可能な運営組織を作る事が重要
そしてもちろん…
⑦ 重要な大地の遺産や文化遺産が点在する地域であり、ジオパークとしての範囲が明確に定められ、
大地の成り立ちや、現在の地学的現象がよくわかる地域であること。
大島町はまだ火山博物館に学芸員がいない、ビジターセンターが無くスタッフもいない、
ジオパークの活動がまだ島内で知られていない等、十分条件を満たしているとは言えない状態です。
でも島の自然の素晴らしさと意欲を評価され、今後さまざまな点を改善していけるであろうという事を
期待をされて、認定となりました。
一度認定されても改善されていかなければ、4年後の審査で認定が取り消されます。
これから島内に向けて様々な説明や勉強会が行われ、他のジオパーク地域との交流や協力が始まるでしょう。
島に住む読者の方には、ぜひ一緒に大島の自然の魅力を探して頂きたいですし、
その魅力を知人や家族、接するお客様など、身近な人に伝えて頂きたいです。
何と言っても、人と人との直接の関係が一番の基本であると思うので。
このブログでも、私達が勉強したことは出来る限り伝えていきますので、
どうか一緒に活気のある魅力的な島作りをお手伝いくださいね。
島外の方が大島を訪ねてこられた時、住民誰もが島の自然の素晴らしさを自信を持って語れる…
そんな未来を皆で作っていけたら、本当に嬉しいです。
(カナ)