浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

日銀総裁

2023-04-10 12:57:24 | 政治

 本来は内閣から独立して業務を行うべき国家機関が、アベ政権の時代に政権の下僕と化すようになった。内閣法制局はいうまでもなく、日本銀行までも、である。日本銀行は、アベの倒錯した「アベノミクス」という政策の重要な担い手として存在した。アベ政権から期待されて総裁となったのが、黒田東彦である。彼がやっと退任した。

 その記者会見でも、反省はなかった。アベ政権に関わった者たちは、すべからく厚顔無恥の輩であった。

 『東京新聞』の社説が、この黒田退任を取り上げている。ここに記されているように、彼がおこなったことは実現していない。2%の物価上昇も、彼の方針の結果ではなく、ウクライナ戦争の結果である。

 『選択』4月号の巻頭で、経済ジャーナリストのウィリアム・ベセックは、「黒田日銀が遺した「金融の罠」」で、こう語っている。

 「黒田氏はデフレを終わらせることができなかった。日本のデフレを終わらせたのはウラジミール・プーチン大統領だ。しかも日本は、エネルギーや食糧価格の高騰によって「悪いインフレ」に陥っている。」と。

 実際、あらゆる物価が上昇し、わたしを含めて生活不安が大きくなっている。

 ベセックは、こうも語る。

「日本は量的緩和の沼にはまっている。日銀は国債発行残高の半分以上を保有し、日本企業の最大株主だ。この状況から脱するには過激な巻き添え被害は避けられない。国債利回りが上がるほど、日本は先進国最大の債務負担を処理するのが難しくなる。仮に日本の国債利回りが2%になれば、銀行や企業、地方自治体、年金・保険基金といった、あらゆるものが痛みを味わう。この罠から逃れるのは困難であり、日本は追い詰められている。」

 要するに、「アベノミクス」という空疎なことばで展開された施策は、格差を拡大し、貧しき者をより貧しくし、経済の好転もできずにことばだけが踊っていたのだ。

 失政の尻拭いは、必ず庶民にのしかかってくる。すでに大いに「痛み」を味わっているのに、さらに痛みが押しつけられる。

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