浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

【映画】「マルモイ(ことばあつめ)」

2023-04-08 20:25:34 | 近現代史

 大日本帝国の植民地となった朝鮮半島では、朝鮮総督府により日本語を強制され、創氏改名を命じられた。朝鮮のことばが奪われようとしていた。

 しかし、朝鮮民族のことば、文字をきちんと残し、伝えていこうという人びとが、「朝鮮語大辞典」をつくろうと結集した。もちろんそうした動きは、朝鮮総督府によって禁じられた。それでも、朝鮮語学会の人びとは、ことばあつめを行った。

 1942年におこった「朝鮮語学会事件」をモデルにしたフィクション、それが映画「マルモイ」である。「マル」はことば、「モイ」は集める。

 浜松にあるシネマイーラで上映されたが見逃してしまった。そしたら、AmazonPrimeで見ることができた。

 植民地支配下を舞台にしているため、残酷な場面もあるが、しかし最後は心温まる場面で終わる。 

映画「マルモイ」が描く 禁じられた朝鮮語の辞書作り

 

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【演劇】無名塾「バリモア」

2023-04-08 16:46:52 | 演劇

 舞台装置は、ふつう、観客が入る前に完成しているはずだ。しかし、なぜか開幕前にスタッフが舞台装置を組み立てている。これは演出なのか、それとも・・・

 バリモアは有名な俳優。といっても、私はまったく知らなかった。シェイクスピア俳優として有名だとのこと。

 脚光を浴びたバリモア、しかしこの世界には浮沈はつきもの、老いてきてさらに体も精神も弱っていく。バリモアは、みずからの人生を振り返る。栄光のとき、喝采を浴びたとき、しかし妻と別れたとき、アル中で苦しんだとき・・・・・・いろいろなことを回想する。回想しながらことばを絞り出していく。そのことばのなかには、シェイクスピアの作品、自らが上演したときの台詞がある。

 なるほどシェイクスピアの数々の台詞は、そのままバリモアの人生を表現する。過去の栄光と挫折が台詞に投影される。

 さて仲代達矢は90歳だという。老いて尚元気である。台詞も覚えることができ、体もシャンとしている。バリモアとは等号で結べない。

 この脚本を書いたウィリアム・ルースという人は、おそらく絶望に沈むバリモアを描こうとしたのではないだろうか。

 だが仲代のバリモアは、老いてはいるが元気である。バリモアをどう演じきるか、仲代は考えたのだろう。仲代のバリモアは絶望に沈んでなんかいない。老いてさらに円熟し、余裕さえ見せる。その余裕が、笑いを生む。

 見ていて、仲代達矢のための「バリモア」であったと思う。

 私は往年の俳優でもっとも好きなのは、民藝の滝沢修である。もちろん滝沢はもういない。その滝沢は沈黙していても存在感があった。沈黙が支配していても、舞台は進んで行った。ひとつひとつの動作(演技)が、何ごとかを示していた。

 仲代達矢は、そうではなく、やはり台詞をことばにすることによって、仲代らしさが表現される。

 名優というのは、様々なのだ。その様々が、舞台上で火花を散らす。その火花を、私たちは見つめるのだ。

 

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昔の「戦前」、今の「戦前」

2023-04-08 12:28:40 | 近現代史

 昨今の政治情勢をみていると、1945年の大日本帝国の崩壊へと進んで行った歴史と同じように、現在の日本国も崩壊へと向かっているようなきがしてならない。

 日本国は、アメリカ主導下、中国を「仮想帝国」として、中国との戦闘を前提として南西諸島方面に自衛隊を展開させている。しかし少し考えるだけで、中国ともし戦争になれば、日本国はまさに崩壊することは確実である。第一に、大日本帝国でさえ、中華民国に勝てなかった歴史がある。広大な土地とばく大な人口を支配することはそもそも無理であったのに、日本軍は中国大陸に派兵して戦争を展開したが、日本軍の支配は「点と線」だけであった。その頃の中国は、軍隊を日本に派遣して、あるいは様々な兵器を駆使して日本を攻撃することはできなかった。それでも結局、大日本帝国は中華民国・蒋介石に白旗を掲げた。

 そして今。中国は核兵器を始め、多くの武器を持ち、日本を攻撃することなんか容易にできる状態だ。とりわけ、日本海側に並んでいる原発にミサイルを打ち込めば、それは同時に核爆発となり、日本はあっという間に破壊される。

 1930年代からの大日本帝国の戦争政策は拡大の一途をたどったが、それに対して無謀であるという批判・評価は当時もあった。しかし大日本帝国は、にもかかわらず、破滅への途を進んで行った。

 現代の支配層も、おなじ途を歩もうとしているようだ。中国との戦争は、日本にとってあまりに危険で無謀である。

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