今夏はものすごく暑く、例年は猛暑でも毎日畑に出ていたが、今年は行ってもせいぜい20分くらいしかいられなかった。だから畑の多くが夏草に覆われてしまった。サツマイモや小豆、なす、ピーマンなどは畑の入り口にあったので、何とか収穫し続けたが、かぼちゃや西瓜は奥のほうに植えたので夏草に覆われ、収穫すらできなかった。
今は、秋冬野菜の苗を植えたり、種を蒔いたりする時期である。夏草に覆われていたので、草を根から取り去り、そこを耕して畝をつくらなければならない。さらにサツマイモも収穫の時期を迎えている。農作業に追われる超忙しい日々を送っている。
それに日が落ちるのが早くなり、遅くまではできない。夕焼けとなる時刻に畑を去る。
帰宅するには西に向かって自転車をこがなければならない。そして右折して、左に夕焼けを見ることが出来る。
毎年、夕焼けをみるが、その美しさに、この世に生まれてきてよかった、と思う。
夕焼けのことは何度か書いてきたが、それを書くと、友人のUさんからよく連絡があった。Uさんの年賀状も、自分が撮影した夕焼けを印刷したものが多かった。
でもUさんは亡くなってしまった。そのことを知ったぼくは、彼の家に向かい、奥さんと一緒に涙を流した。もう3年ほど前のことだ。
いろいろ教えてくれた人、仲よくしていた友人、いずれも私より年令は上なのだが、みんな死んでしまった。ぼくが書いたものを読んで批評してくれたH先生も亡くなり、殆ど毎日電話で話していたTさんも・・・・・・
秋になると、そういう人びとを思い出し、寂しくなってしまう。彼らはいずれも謙虚で、それぞれ一流の人なのに謙虚で、ぼくのような者にも誠実に接してくれた。
今ぼくは、今までやっていたいろいろなことを整理しようとしている。親しくしていた人びとのあとには、自慢話が好きな人、しゃしゃり出てくる図々しい人、自分自身を売り込む人、そういう人と接することがある。とくに「運動圏」にいる人にそういう人が多い。
ぼくは、だからそういう場から逃れる。
歳をとると、その最大の敵はストレスだという。ストレスは、他人とのつきあいの中で生じる。だからそういう人びとがいるところには行かないようにしたい。
畑では、対話するのは土であり、虫であり、鳥であり、風であり、陽の光であり、そして今日、急に降られた雨である。そして作業している間は、無心である。
こういうことを書くと連絡してきたUさんは、いない。親しくしていた歴史研究者は、みな亡くなってしまった。
だから、ぼくも歴史研究からは、手を引くのだ。それは同時に、オレがオレがという人たちから距離をとるということでもある。