世界各地でいろいろなことが起こる。
気候変動は、私たちの生活を苦しめる。今夏は猛暑が続いた。今までできるだけ使用しないように生活してきた我が家でも、エアコンは必需品となった。エアコンなしには、生活できなくなった。
気候変動に対して、私たちはあまりに無力である。
そして戦争。ロシアの侵攻に始まったウクライナ戦争は、終わる気配を見せない。開始されたときは、注目していたが、今では「早く終わらないかなあ」と思うくらいになってしまっている。
日常生活は、世界各地で行われているもろもろの、あってはならない事態を忘れさせる、あるいは慣れへと誘い込む。
私自身は、何かしなければならないが何もできないと思うとき、少ないけれども「国境なき医師団」などに送金することくらいしかしていない。
そして今回のイスラエルに対するガザのハマスによる攻撃、それにともなうイスラエルの反撃。しかし経緯を見れば、イスラエルはガザや西岸地区へ恒常的に攻撃をしていた。パレスチナ人をあたかも囚人であるかのように取り扱い、ガザでは閉じ込め、西岸地区ではイスラエルは土地をあたかも植民地のように奪い、高い壁を設けていった。そしてパレスチナ人の苦悩は、報じられることもなかった。少数の知識人の、パレスチナと連帯する人びとの文章がときたま目につくだけとなっていた。
しかし、私を含めて、そうした現実があるのに、見ることをしてこなかった。「不視」である。
イスラエルは、どのような報復をするのだろうか。イスラエルが今までおこなってきたパレスチナへの仕打ちを考えると、大規模な軍事作戦が行われるような気がする。イスラエル国家は、パレスチナ人を人間扱いしない。イスラエルにとっては、パレスチナ人は「ウジ虫」なのだ。
ガザに閉じ込められてきたパレスチナ人。そうした状況をつくりだしたのは、イギリスなどユダヤ人を差別してきた国際社会である。ユダヤ人虐殺になんら関わってこなかったパレスチナの民が住むところに、ユダヤ人国家を建設して、ユダヤ人への罪滅ぼしをしようとしたヨーロッパの国々。
イスラエルが建国されてからずっと辛酸をなめてきたパレスチナ人。国際社会に訴えても何の解決策も打ち出されなかった。パレスチナ人は耐えるしかなかったのだ。耐えて、耐えて生きていた。しかし将来がよくなるという希望はいっさい見いだされなかった。絶望、絶望。
その絶望を、「不視」のままではいけない。