窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

若松城(鶴ヶ城)

2009年02月18日 | 史跡めぐり


 子供の頃『日本の名城シリーズ』で模型を作ったことのある会津若松城に行ってきました。肥前名護屋城、熊本城に続き、わずか1ヶ月半の間に訪れた城はこれで3つ目になります。



 1611年、加藤嘉明によって五層六階の層塔型天守が立て替えられ幕末まで現存していましたが、1868年の会津戦争によって新政府軍の激しい砲撃にあい、1874年に廃城となって天守を含むほとんどの建物が取り壊されています。瀧廉太郎作曲の有名な『荒城の月』はこの廃城となった会津若松城がモデルであるという説もあります(この他、仙台の青葉城や大分の岡城、富山の富山城など諸説があります)。

 現在見られる天守は昭和41年に加藤嘉明再建の天守を鉄筋コンクリートで再建したものです。



 城内に入ったとき、石垣がやけに立派過ぎるという印象を受けたのですが、天守台は下の写真の通り「野面積み」であったので、これらはすべて公園として整備されたときに復元したものと考えられます。無論天守台も会津戦争で相当被害を受けているはずなので再建時に組みなおされているはずです。



 天守台地階の「塩蔵」には唯一築城当時の石垣が残されています。



 天守閣はあくまで外観復興ですので、中は他の多くの城と同様、資料館のようになっていて展示物を除いて特に見るべきものはありません。



 しかし最上階からは会津若松市を一望でき、上の写真ではよく見えませんが、磐梯山も望めます(写真の赤枠線あたりが磐梯山です)。



 天守閣とつながる南走長屋と干飯櫓も2000年に再建されています。ただ、南走長屋の半分と干飯櫓はよく見るとそこだけ赤みがかった褐色の瓦が使われており、色が違います。これはちょっとみっともない気がします。



 南走長屋(写真上)と干飯櫓(写真下)内部の様子です。



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満田屋の田楽

2009年02月17日 | 食べ歩きデータベース


 福島県会津若松市にある、味噌田楽のお店です。昨日ご紹介した会津天宝醸造さん関連のお店で元々は製造部門が分家、お店の方が本家なのだそうです。満田会長曰く、「昔は普通の家庭で味噌を色々なものに使ったり、味噌そのものを調理して食べたりしていた。しかし今では味噌といえばほとんどの家庭で「味噌汁」のみ。日本人が育んできた味噌文化の多様さ、美味しさを知ってもらいたい」とのことで、さまざまな味噌田楽を囲炉裏で焼いて提供してくれるお店です。



  ここでは今回食べた「田楽コース」の様々な田楽をご紹介します。



  こんにゃく(甘味噌・柚子味噌)



  豆腐生揚げ(山椒味噌)



  しんごろう(半つぶしご飯・じゅうねん味噌)



  お餅(甘味噌)



  里芋(甘味噌)



  身欠にしん(山椒味噌)

  3日前フィリピンから帰国したばかりだったこともあり、より一層美味しく感じられました。日本の味ですね...。

会津満田屋
http://www.mitsutaya.jp/index.php  



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満田政巨さん

2009年02月16日 | 講演メモ
先日、福島県会津若松市の会津天宝醸造株式会社にお邪魔し、工場見学と共に満田政巨会長よりお話を伺う機会がありました。

 会津天宝醸造さんは江戸時代から続く味噌屋さんですが、公式の創業年は当時の若松県より味噌株人の鑑札を受けた明治四年で、今年138年を数えます。

 大正時代に醤油醸造、昭和30年代に味噌漬け、昭和60年代に浅漬けと「醗酵」をキーに事業を展開し、「農工商消連携の経営」、すなわち農・工・商・消すべての利害関係者に喜んでもらえるシステムを構築することで持続可能で安全な食の供給を図る経営を提唱しておられます。これにより大量生産の大手メーカーと差別化を図り、価格競争に巻き込まれることのない事業を目指しているそうです。

 農工商消連携システムの具体例として、農に対しては漬物の材料である野菜の安定供給を目指し契約栽培農家からの調達を重視するのみならず、各種の技術指導を行うほか、収穫品については同一価格での全量取引を保証することで契約農家が豊作貧乏を憂えることなく安心して生産に取り組めるようにしています。

 工については平成11年にいち早くHACCP対応工場を建設し、近年喧しい「色の安全」確保に取り組み信頼を強化。その結果として商である大手商社や卸売業者と代理店契約を結ぶことに成功しています。

 消に対しては上記のような取り組みにより高品質かつ安全な商品を提供するほか、「ねぎ味噌」や農林水産省食品流通局長賞を受賞した「肉味噌」など現代の生活シーンに合った製品多角化を進めています。さらには1300年もの間、日本人の食生活に密接に関わってきた味噌の効用や使い方のバリエーションなどを紹介し、味噌を見直す運動、「みそ健康づくり委員会」を展開しており、現在では味噌のみならず日本人の食文化、すなわち「和食」を軸にした「食育」にまで発展させています。

 このほか近年では、地場の農業振興と環境に配慮した循環型農業推進を掲げ、漬物の製造過程で発生する野菜屑を地元の「会津地鶏」の飼料や堆肥用原料として活用するほか、同じく工場の排水施設で発生する余剰汚泥も全量肥料原料として活用しています。のみならず、そうして育てた会津地鶏と味噌を組み合わせた新たな商品開発や事情開拓を行うなど、農業の振興だけでなくその出口開拓にも力を入れておられるようです。

 満田会長のお話を伺って特に感心したのは、常に自分の立ち位置を見極められておられるということ、そして本業をより深いレベルで理解し、そこから自社の使命を導き出しておられるということです。すなわち、大手と同じ競争をしては勝てないのだから自社の強みとなる部分に全力を集中すること、さらに「味噌」のもつ意味、価値を深く追求し、それを伝えるだけでなく社会に浸透させる使命を自らに課している、この2点が大変勉強になりました。

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TV放送予定のお知らせ

2009年02月15日 | リサイクル(しごと)の話
 横浜資源リサイクル事業協同組合ジュニア部会長、栗原清剛さんが出演されます。昨年10月に開催されたリサイクルデザインフォーラム(http://blog.goo.ne.jp/hardworkisfun/e/5e4b11ffe635f1a31081061e3ae83261)の様子なども紹介されるそうです。

2月16日(月)21:00~21:30
テレビ神奈川「佐藤しのぶ 出逢いのハーモニー」

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フィリピン料理あれこれ

2009年02月13日 | 食べ歩きデータベース


  初めに、夕焼けで名高いスービック湾の景色をご覧いただきました。今回はフィリピン料理のいくつかをご紹介したいと思います。



  Chop suey (チョプ・スィ)。元は中華料理の野菜炒めがフィリピン風に変化したものです。私たちが普通中華料理で食べる野菜炒めよりもニンニクをより効かせているような気がします。美味しくて野菜をたくさん採れるので、外食続きの出張では助かる一品です。



  Bulalong Tagalog (ブラロン・タガログ)。牛の脛肉に生姜と青梗菜を加えたシンプルなスープですが、この素材の味を大切にしたシンプルさが日本人の口には合うようで、大変美味しかったです。



  Inihaw na Tadyang ng Baka (イニハウ・ナ・タドヤン・バカ)。"Inihaw"は「焼いた」、"Tadyang"は「肋骨」、"Baka"は「雌牛」ですから、要するに牛のスペアリブです。見た目は貧相で原始的な料理に見えますが、見た目の期待値の低さも手伝ってか、思いのほか美味しかったです。フィリピンの黒酢をベースにしたタレをつけて食べます。



  Bagoong Rice (バゴーン・ライス)。バゴーンは日本でもある程度知られているのではないかと思いますが、簡単に言えば小海老の塩辛です。韓国にもセウジョという小海老の塩辛がありましたが、それよりもアンチョビに近いような気がします。因みに昔マルちゃんで「焼きそばバゴーン」というのがありましたが(今でもあるのかな?)、それとは関係ありません。



  これはフィリピン料理というよりどこにでもあるフライドチキンですが、スパイシーで美味しかったので最後に載せました。

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リサイクル軍手工場を動画で見学

2009年02月12日 | リサイクル軍手の世界
  ナカノ株式会社が担う繊維リサイクル4本柱の一つに「リサイクル軍手の製造・販売」があります。リサイクル軍手といっても再生PETの軍手ではなく、綿などの繊維くずや裁断くずを再生した軍手です。これを特殊紡績(特紡)軍手と呼んでいます。

  服地、繊維くず、裁断くずなどをもう一度綿に戻して再生する場合、綿に戻す過程でどうしても繊維の長さが短くなります。繊維の長さが短いと空気紡績(空紡)では糸が拠れません。そこで紡毛という羊毛の中で短繊維のものから毛糸を作る技術を転用し糸を作ります。これを特殊紡績といいます。今日と異なり、昔は繊維が貴重品でしたからこういう技術が生まれたわけです(http://blog.goo.ne.jp/hardworkisfun/e/c6b42cebfb343a49295b89c404fa8ada)。

  したがって特殊紡績には、

   ①短繊維でも糸にできるので無駄が少ない
   ②素材の種類を選ばない
   ③風合いが良い

などの特色があり、まさに資源を無駄にしない技術ということができます。その反面、空気紡績に比べ生産効率が低いという欠点もあります。

  かつては日本でもこの特殊紡績が盛んに行われ、そこから作られた特紡糸を用いて軍手の他にも絨毯の緯糸、モップ、雑巾などが作られていました。しかし、手間のかかる特殊紡績は国内における繊維産業の衰退、海外からの安価な製品流入、人件費の高騰、後継者問題など様々な理由により次第に衰退し、現在国内でこの特殊紡績を目にすることは非常に少なくなりました(注:勿論今でもやっておられる業者さんはいらっしゃいます)。しかし、特殊紡績は上記①~③の特性から日本の繊維リサイクル発展のためには残さなければならない貴重な技術遺産であると思います。

  ナカノ株式会社ではこの特殊紡績を用いた軍手製造を20年ほど前より海外に生産拠点を移して行ってきました。今回はその特殊紡績による糸から軍手までの一貫生産を行っている、非常に珍しい工場の現場を「オンライン工場見学」という形でご紹介したいと思います。昔教育テレビでやっていた「はたらくおじさん」みたいな動画ですが、是非ご覧ください。

リサクル軍手工場のオンライン工場見学


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HALO HALO

2009年02月11日 | 食べ歩きデータベース


 今回はフィリピンを代表するスイーツ、ハロハロをご紹介。ハロハロは随分前から日本でもミニストップで夏の定番となっているので、おなじみですね。

 ハロハロとは現地の言葉で「混ぜる」という意味で、その名の通り練乳をかけたかき氷にフルーツや紫芋で作った日本で言う餡子のようなものを載せ、ごちゃまぜにかき混ぜて食べます。ちょうどクリームあんみつとかき氷を合わせたようなものと思えば良いでしょう。



 ハロハロはそれを出す店によってまちまちですが、現地の人に聞いても「超群」(Chow-king)のが美味しいというので、そこのを紹介しています。「超群」というのはフィリピンでは良く知られたチャイニーズファストフードのチェーン店ですが、確かに甘さも控えめで美味しいです。正確な値段は忘れましたが、写真のようにアイスクリームも2つのっけてだいたい90ペソ(約180円)くらいでした。

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SUBIC工場の朝礼に参加しました

2009年02月10日 | リサイクル(しごと)の話


 今年に入って最初のSUBIC工場訪問ということで、工場の朝礼に参加しました。工場のスタッフとは昨年のクリスマスパーティーで会ったばかりですが、改めて短いスピーチながら挨拶をしました。



 フィリピンの人たちは本当に明るいので、何かと暗いニュースが多い日本からやってくるとこちらが元気をもらえます。



 また楽しいクリスマスパーティを開催できるよう、彼らを見習って明るく頑張ろうと思います。

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ウエスのバッティング

2009年02月09日 | リサイクル(しごと)の話


  「ウエスものがたり」でも述べたことですが(http://blog.goo.ne.jp/hardworkisfun/e/41b80be3a85732ea51f81ade9a9e73ae)、ウエスづくりはウィスキーづくりと似ていると思うことがよくあります。



  ウィスキーは同じ蒸留所で同じ原料を使い、同じ年数熟成させたものであっても、上の写真のような熟成庫における樽の位置の違いによって湿度や気温、蒸留所周辺の気候風土などウィスキーの品質に及ぼす影響の度合いに違いが生まれます。その他樽自身が持つ個性なども加わって、数年から数十年に及ぶ長い熟成の果てには樽ごとに違った個性をもつウィスキーが誕生します。どれ一つとして同じウィスキーは存在しません。

  しかし通常私たちが飲むウィスキーは同じ銘柄である以上、均質な品質がボトルごとに、また時間の経過に関わらず維持されている必要があります(もちろん厳密に言えばそれすらも異なってはいるのですが)。したがって、樽ごとにそれぞれ異なるウィスキーの個性を引き出しつつ一定の品質を保つために複数のウィスキーを調合するブレンダーの仕事が大変重要になります。

  一般的にモルトウィスキーとグレーンウィスキーを調合することをブレンディング、上記のように複数のモルトウィスキーを調合することをバッティングと呼んでいます。



  さてウエスに話を戻しますと、ウエスは一般の家庭から回収された主に綿系を主体とする古着を「原料」として作られます(http://blog.goo.ne.jp/hardworkisfun/e/82ccb9341fe0a60c94127062c0fe4780)。したがって、モルトウィスキーが樽ごとに一つとして同じウィスキーが存在しないように、集まってくる原料としての古着にはどれ一つとして同じものが存在しません。そればかりか、例えば同じTシャツであっても色、状態、デザイン、刺繍やプリントの位置などが違うように、一点、一点に至るまでが異なります。加えて近年衣料の流行の変化、技術革新は大変激しく、従来には見られなかったタイプの衣類が次々に登場します。

  ウエスでいう品質とは、実際にウエスをお使いになる作業環境に適合した素材・状態の洗い晒した古布で商品が構成されていること、また使いやすく無駄の少ない大きさ・形状に裁断されていることですが(http://blog.goo.ne.jp/hardworkisfun/e/41b80be3a85732ea51f81ade9a9e73ae)、同一の原料というものが存在しない以上、原料を適切に「調合」するバッティングと同じ作業が必要になります。さらにウエスの場合は、上記の品質を維持するために裁断の仕方も状況に応じて変化させなければなりません。

  ウィスキーのブレンディングやバッティングを行うブレンダーの作業は熟練した経験と勘が大変重要です。同じ原料がないわけですからレシピ通りに作るのではなく、レシピに適合するように微調整を加えていくわけですね。ウエスも同じようにレシピ(規格)がありますが、やはりレシピに適合するよう原料の組み合わせや裁断の方法に微調整を加える経験と勘が必要になります。それを異なる主観を持った多くの作業者で行うわけですから、想いの外大変です。ウエスというとただ布を切っただけの物と思われがちですが、マニュアル化できるような作業でない所以がここにあります。



  今回はフィリピンのウエス工場のマネージャーたちと上記のような品質マネジメントについて侃侃諤諤してきました。国が異なれば物の見方も考え方も異なりますので、僕にとっても良い勉強になりました。  

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ウエスの残布で作った壁掛け

2009年02月08日 | リサイクル(しごと)の話
  2月3日よりフィリピンに来ていますが、ようやくインターネットを使用できる環境となり、久しぶりの更新です。

  マニラのウエス工場では昨年のクリスマスにウエスを切ったとき発生する布の切れ端を使った壁掛けのコンテストを行いました。今日はウエス工場のスタッフの手による作品の数々をご紹介します。





  キリスト生誕の様子ですね。











  スタッフのほとんどは本物の雪だるまを見たことがないと思います。



  周囲の小さなソックスには作品制作に関わったスタッフやマネージャーの名前が縫いこんであります。なかなか細かいところまで拘っています。

  

  天井を駆けるサンタクロースのそり。僕はこの作品が結構好きなのですが、コンテストでは9位だったようです。

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