都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「菅原健彦展」 練馬区立美術館
練馬区立美術館(練馬区貫井1-36-16)
「菅原健彦展」
11/15-12/27(会期終了)
会期最終日の駆け込みです。本日まで練馬区立美術館で開催されていた、現代日本画家・菅原健彦の個展を見てきました。
作家のプロフィールは展覧会のWEBサイトをご覧下さい。
菅原健彦展公式サイト
作家ブログ
展示は菅原の初期より最新作までの40点を紹介するものでしたが、ともかく印象に残ったのは、例えば画面の横幅4m、5mは当たり前の壮大なスケール感に他なりません。中でも本展にあわせて制作されたという二枚の超大作、それこそ一辺は5mから10m近くにも及ぶ「雲龍図」と「雷龍図」(ともに2009年)には驚かされました。ちょうど同館の吹き抜けスペースで見上げるような形で設置された分厚い杉板の上には、琳派に由来するという荒々しい波を従えた龍が堂々たる姿で舞っています。(実際にフリーア美術館の宗達作に由来した作品だそうです。)またうっすらと輝く金箔、それに塗りこめられた白の顔料の重々しい質感など、モチーフ云々を超えた素材への独特の質感表現にも見入るものがありました。
90年代の作品は主に都市などの風景を大きな画面に表したものが目立っていましたが、特に惹かれたのは、ちょうど目黒の炭鉱展でも記憶に新しい軍艦島を描いた「黒い船 - 端島」(1993年)でした。起立する岩山のような建物群の影は、妖しい銀の明かりを浴びて不穏に並び立ち、そこへ白く飛沫をあげた波が猛烈な勢いでぶつかっています。波や風の轟が今にも伝わってくるかのような臨場感でした。
総武線の荒川の橋をモチーフとしたという「首都圏境」(1991年)の破滅的スケールは一体どこに由来するのでしょうか。雨の降る夜の闇のもと、橋のトラスには黄色くまた青い閃光が交差して、何とも言えない場末的な物悲しさを演出しています。またネオンサインが蛍の如く飛び交う「新宿風景」(1989年)なども印象に残りました。
そうした作品の一方、2000年以降は、一転して等伯の水墨に通じるようなモノクロームの作品が目立っていました。モチーフは溶けるように解体し、ゆらめく光と靡く風だけが絵具の上でざわめいています。
つい先日、この展示をご覧になった方の高い評価をお聞きしたばかり(それが切っ掛けで行きました。)でしたが、確かに中村橋まで出向いて良かったと思えるような内容でした。
展示は本日で終了しました。
「菅原健彦展」
11/15-12/27(会期終了)
会期最終日の駆け込みです。本日まで練馬区立美術館で開催されていた、現代日本画家・菅原健彦の個展を見てきました。
作家のプロフィールは展覧会のWEBサイトをご覧下さい。
菅原健彦展公式サイト
作家ブログ
展示は菅原の初期より最新作までの40点を紹介するものでしたが、ともかく印象に残ったのは、例えば画面の横幅4m、5mは当たり前の壮大なスケール感に他なりません。中でも本展にあわせて制作されたという二枚の超大作、それこそ一辺は5mから10m近くにも及ぶ「雲龍図」と「雷龍図」(ともに2009年)には驚かされました。ちょうど同館の吹き抜けスペースで見上げるような形で設置された分厚い杉板の上には、琳派に由来するという荒々しい波を従えた龍が堂々たる姿で舞っています。(実際にフリーア美術館の宗達作に由来した作品だそうです。)またうっすらと輝く金箔、それに塗りこめられた白の顔料の重々しい質感など、モチーフ云々を超えた素材への独特の質感表現にも見入るものがありました。
90年代の作品は主に都市などの風景を大きな画面に表したものが目立っていましたが、特に惹かれたのは、ちょうど目黒の炭鉱展でも記憶に新しい軍艦島を描いた「黒い船 - 端島」(1993年)でした。起立する岩山のような建物群の影は、妖しい銀の明かりを浴びて不穏に並び立ち、そこへ白く飛沫をあげた波が猛烈な勢いでぶつかっています。波や風の轟が今にも伝わってくるかのような臨場感でした。
総武線の荒川の橋をモチーフとしたという「首都圏境」(1991年)の破滅的スケールは一体どこに由来するのでしょうか。雨の降る夜の闇のもと、橋のトラスには黄色くまた青い閃光が交差して、何とも言えない場末的な物悲しさを演出しています。またネオンサインが蛍の如く飛び交う「新宿風景」(1989年)なども印象に残りました。
そうした作品の一方、2000年以降は、一転して等伯の水墨に通じるようなモノクロームの作品が目立っていました。モチーフは溶けるように解体し、ゆらめく光と靡く風だけが絵具の上でざわめいています。
つい先日、この展示をご覧になった方の高い評価をお聞きしたばかり(それが切っ掛けで行きました。)でしたが、確かに中村橋まで出向いて良かったと思えるような内容でした。
展示は本日で終了しました。
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