「デトロイト美術館展」 上野の森美術館

上野の森美術館
「デトロイト美術館展」
2016/10/7~2017/1/21



アメリカの公立美術館で初めて公開されたゴッホの作品は、チラシの表紙を飾る「自画像」でした。

デトロイト美術館の誇る西洋絵画コレクションがやって来ました。出品は52点。上野の森のスペースは満たしていますが、点数自体は必ずしも多くありません。うち15点は日本初公開でした。

月曜、ないし火曜日は全ての作品の撮影が出来ます。(但し、一部はSNSヘの掲載が禁止されています。)


ピエール・オーギュスト・ルノワール「座る浴女」 1903-1906年

ルノワールの3点がいずれも優品です。目立つのは「座る浴女」でした。画家の得意とする裸婦像です。足を組んでは、左手でブロンドの髪をたくし上げています。豊満な肉体を余すことなく見せています。うっすらピンク色を帯びた肌も美しい。顔は赤らんでいます。モチーフこそヴィーナス、あるいはニンフを思い起こさせますが、あくまでも健康的な女性を表現しています。


ピエール・オーギュスト・ルノワール「肘掛け椅子の女性」 1874年

「肘掛け椅子の女性」も魅力的でした。女性が一人、腕を組みながらソファーに腰をかけています。白い肌は眩しい。強い光を感じました。タッチは一見、大胆ですが、腕や頬の部分の色は細かく変化しています。ニュアンスに富んでいました。


エドガー・ドガ「女性の肖像」 1877年

印象派で最も多いのはドガの4点です。「女性の肖像」はどうでしょうか。黒いドレスに身を包んだ夫人が座っています。モデルはオペラ座の踊り子のマロとも言われているそうです。とすれば若い女性のはずです。何故に年齢を上げて描いたのでしょうか。解説に「物思い」とありましたが、私には何かを達観したような表情にも見えました。貫禄は十分です。色の構成が巧みです。ドレスの黒、そして背後のエメラルドグリーン、さらには花の紫や白などがせめぎあっています。

続くのはポスト印象派です。セザンヌが多くを占めていますが、ここは何と言っても目玉のゴッホでしょう。例の「自画像」、ないし日本初公開となる「オーワズ川の岸辺、オーヴェールにて」が展示されています。


フィンセント・ファン・ゴッホ「自画像」 1887年

「自画像」はアルルへ移る1年前に描かれた作品です。黄色い麦わら帽子をかぶるゴッホ。顔は赤らみ、血色が良い。水色の服を着ています。暗い色調を脱した明るい色彩です。一見するところ不穏な気配はありません。

ただしばらく見ていると、右目しかり、眼窩の奥から覗き込む目、言い換えれば強い視線に、どことなく狂気的なものを感じてなりませんでした。しかも右の耳が際立って赤い。もちろん関係はありませんが、いかんせん耳切り事件を連想してしまいます。


フィンセント・ファン・ゴッホ「オワーズ川の岸辺、オーヴェールにて」 1890年

自殺の数ヶ月前に制作されたのが「オーワズ川の岸辺、オーヴェールにて」です。極めて厚塗りです。水面は青でモザイク状に塗り固められ、背後の木立もまるで苦しむかのようにうねっています。これぞ最晩年のゴッホです。光こそ満ちていますが、景色は大きく歪んでいました。


モーリス・ドニ「トゥールーズ速報」 1892年

ドニの「トゥールーズ速報」が力作です。広告ポスターを絵画に表現しました。主役は赤い花柄のドレスを着た女性です。これ見よがしに新聞を広げています。構図自体は幾分装飾的です。髪型は古代ギリシア神話のヘルメスを模しています。いわば神々の伝令ならぬ、情報の伝達係でしょうか。そこへ人々が群がります。手を振り上げて新聞を欲していました。都市の喧騒、ないし熱気も伝わってくるのではないでしょうか。

さてチラシはゴッホ、またサブタイトルにもモネ、ルノワールなどとあるように、ともすると印象派推しの展覧会のようにも思いがちですが、実際のところ点数で最も多いのはピカソです。そして何よりも20世紀のドイツ絵画が充実していました。

例えばカンディンスキー、ノルデ、キルヒナー、ベックマンにココシュカ。主に1910年前後から30年頃の作品です。全部で12点でした。


エルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナー「月下の冬景色」 1919年

キルヒナーの「月下の冬景色」が鮮烈です。雪に覆われた青い山脈が連なり、赤い木が空を突いています。月は太陽のように明るい。黄色です。オレンジ色の空が広がっています。よく見ると家屋もあります。山肌は切り子状に裂かれています。稜線は刺々しくもありました。筆触、色遣いともに激しい。画家は不眠症に悩まされていたそうです。アトリエからの光景とのことですが、もはや奇景と言って良いかもしれません。画家の心象を反映しているのではないでしょうか。


エミール・ノルデ「ヒマワリ」 1932年

同じく心象といえばノルデの「ヒマワリ」も忘れられません。やや首を傾げた向日葵が2輪。枯れる間際かもしれません。黄色い花びらの部分よりも、黒、ないしこげ茶に染まった種の方がより際立っています。背後もやや暗い。この頃、ノルデは深刻な病に侵されていたそうです。生命力はあまり感じられません。

ほか、ココシュカの「エルベ川、ドレスデン近郊」やデックスの「自画像」、それにカール・シュミット=ロットロフの「雨雲、ガルダ湖」などにも惹かれました。ちなみに一連のドイツ絵画は、ドイツ人の美術史家で、1924年にデトロイト美術館の館長に就任したヴィルヘルム・R・ヴァレンティナーが直接指揮して購入したものです。ノルデにキルヒナーやココシュカはナチスに退廃芸術の烙印を押された画家です。破壊された作品も少なくありません。しかしデトロイトでは難を逃れます。今でも「アメリカで最良」(解説より)のドイツ表現主義美術コレクションとして評価されているそうです。

実際に私として最も発見が多かったのがドイツ絵画のセクションでした。一つのハイライトと言っても差し支えありません。

ラストはフランス絵画です。ピカソの1点を除けば、全てが20世紀初頭です。マティス、モディリアーニ、スーティンらの作品が並んでいます。


アンリ・マティス「ケシの花」 1919年頃

マティスの2点が殊更に魅惑的でした。1点は「ケシの花」です。白と青い花器に飾られたケシの花。黄色いグラジオラスとともに生けられています。背後は屏風です。花の絵のようにも見えます。ケシはとても大きくて瑞々しい。色彩は華やいでいました。


アンリ・マティス「窓」 1916年

「窓」キュビズムの影響下の作品です。アトリエの室内風景を描いています。窓の線やテーブル、椅子の線が交差します。ラジエーターの輪郭線と椅子の線が重なります。空間は右奥の窓の外へとのびています。床のジグザグ模様もリズミカルでした。全体をねずみ色の色調で覆っています。アメリカで初めて公共美術館に収蔵されたマティス画だそうです。


ディエゴ・リベラ「デトロイトの産業」(複製) 1932-1933年

入り口外にはディエゴ・リベラの「デトロイトの産業」の複製が掲げられていました。デトロイト美術館の中庭の壁画です。大きさは複製よりも大きく、高さ5メートル超、幅は13メートルにも及びます。デトロイトの自動車製造がモチーフです。多くの労働者らが機械を前に忙しなく働いています。ダイナミックです。

2013年のデトロイト市の財政破綻により美術館は一時、存続の危機を迎えました。一時はコレクションの売却という話もあったそうです。その後、各方面からの援助により存続。今も美術館としての機能を果たしています。

「デトロイトの産業」は現地でなければ目に出来ません。一度は実物を見る機会があればと思いました。

月曜の午後に観覧してきましたが、撮影可能日ということで、会場の至る所でスマホのシャッター音が鳴っていました。撮影に興味がない、あるいは音が気になるという方は、水曜から日曜の間に出かけるのが良さそうです。


ワシリー・カンディンスキー「白いフォルムのある習作」 1913年

年末年始を含み、以降の休館日はありません。2017年1月21日まで開催されています。

「デトロイト美術館展」@DIA_JPN) 上野の森美術館
会期:2016年10月7日(金)~2017年1月21日(土)
休館:10月21日(金)。
時間:9:30~16:30
 *毎週金曜日、及び10月22日(土) は20時まで開館。
  *入場は閉館30分前まで。
料金:一般1600(1400)円、大学・高校生1200(1000)円、小学・中学生600(500)円。
 *( )内は20名以上の団体料金。
住所:台東区上野公園1-2
交通:JR線上野駅公園口より徒歩3分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅徒歩5分。京成線京成上野駅徒歩5分。
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「BODY/PLAY/POLITICS」 横浜美術館

横浜美術館
「BODY/PLAY/POLITICS」 
10/1~12/14



身体の生み出すイメージをテーマとした、国内外の6名の現代美術家による展覧会が横浜美術館で行われています。

「椿姫」のヴィオレッタのアリアが鳴り響いていました。インカ・ショニバレMBEの「さようなら、過ぎ去った日々よ」です。同オペラでもとりわけ有名な一曲を黒人の歌手が歌っています。しかしながらアリアはワンフレーズのみ。劇は遅々として進みません。


手前:インカ・ショニバレMBE「蝶を駆るイベジ(双子の神)」 2015年
奥:インカ・ショニバレMBE「さようなら、過ぎ去った日々よ」 2011年


歌手の衣装はアフリカのドレスでした。作家自身もロンドンに生まれ、ナイジェリアで生活。アフリカ更紗はアイデンティティの象徴ながらも、多くをヨーロッパからの輸入品に頼っているそうです。「椿姫」には5つの歴史的絵画の引用がありました。また宙に浮くオブジェ、「蝶を駆るイベジ」はナイジェリアに因んだモチーフです。ヨーロッパとアフリカの文化や歴史の複雑な関係を表現しています。

東南アジアの女性の幽霊であるポンティアナックがモチーフにしていました。イー・イランの「ポンティアナックを思いながら」です。映像は約23分。いずれも長い髪で顔を隠した女性が並んでいます。


イー・イラン「ポンティアナックを思いながら:曇り空でも私の心は晴れ模様」 2016年

モデルは20~30代のマレーシア人です。台本はなし。自由に会話させたそうです。夫との関係や出産ないし、性の話題などが赤裸々に語られます。但し個は特定されません。東南アジアの女性の抱える様々な問題が浮き上がってきます。


アピチャッポン・ウィーラセタクン「炎(扇風機)」 2016年

神々しいまでの迫力でした。アピチャッポン・ウィーラセタクンです。タイトルは「炎(扇風機)」。大きなスクリーンに扇風機が数台、回転しながら燃える様子が映し出されています。バチバチ、あるいはゴウゴウと音を立てては、黄色く眩しい炎をあげていました。その光景自体も美しい。扇風機の風でさらに炎が勢いを増したかと思えば、一方で消えてしまいそうになることもあります。松明を連想しました。扇風機という器械を用いながらも、古代の儀式を前にしているような気にさせられます。


ウダム・チャン・グエン「ヘビの尻尾」 2015年

バイクがホーチミン市内を駆け抜けます。ウダム・チャン・グエンの「ヘビの尻尾」です。集団で力強く走るバイクの編隊。ベトナムでは一般的な原付バイクです。いずれも排気口にカラフルなビニールチューブがついています。走り出すとさも龍のごとくに尾を振り回しました。ダンサーも加わります。街にさらなる色、動き、ないし血が通いました。どこか祝典的です。賑やかな祭りのようでした。


石川竜一「portraits 2013-2016」 2013-2016年

石川竜一は「portraits 2013-2016」において初めて沖縄を含めた日本各地の人々を撮影しました。一人、あるいは二人、何気ない街角でポーズを取る人たち。奇抜なファッションをしていたと思えば、ごく一般的な格好をしている人もいます。舞台はほぼ都市です。しかも雑踏が多い。それぞれにおいてありのままの日常、そして個々の身体そのものが切り取られています。

その奥の2点の連作が秀逸でした。(撮影不可)ともにポートレートです。舞台は石川の出身地である沖縄。より被写体に近しい。コミュニケーションも密です。それゆえでしょうか。何かを訴えかけるような心の内面が滲み出していました。

ラストは田村友一郎です。舞台は横浜。必ずしも全てが現代ではありません。戦中、ないし終戦後の占領下の横浜です。GHQの管轄に入り、アメリカ人がやって来ました。


田村友一郎「裏切りの海」 2016年

中央には3台のビリヤードがあります。アメリカ兵が持ち込んだものかもしれません。うち2台には横浜の地図が記されていました。また港町のバーを模したソファやクリスマスツリーなども置かれています。終戦後の横浜の雰囲気を引き寄せています。


田村友一郎「裏切りの海」 2016年

そこへ三島由紀夫の小説「午後の曳航」や、米兵の肉体に魅せられたという少年の回想、さらには近年に横浜で起きた殺人事件などを交差させています。横浜の肉体を巡る物語。ただし全ての情報は断片的です。それが緩やかに関連し合います。振り返れば世界は「小さな断片」(解説より)ないし出来事で繋がっているということなのかもしれません。


林保次郎「MM21ミレニアム」 2000年

企画展に続くコレクション展が充実していました。かなりの横浜しばりです。名付けて「描かれた横浜」。文字通り、横浜を描いた作品ばかりが展示されています。


石渡江逸「(横浜)柳橋の月」 1931年

中でも石渡江逸の木版が美しい。戦前の横浜の風情を今に伝えています。


手前:熊井恭子「叢生99」 1999年
奥:下村観山「小倉山」 1909年


熊井恭子の「叢生99」越しに見る下村観山の「小倉山」もより映えて見えました。近年に収蔵された作品も少なくありません。

会場内は一部の作品を除いて撮影が可能でした。クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの規約の元、SNSなどでも私的に利用が出来ます。

12月14日まで開催されています。

「BODY/PLAY/POLITICS」 横浜美術館@yokobi_tweet
会期:10月1日(土)~12月14日(水)
休館:木曜日。但し8月11日(木・祝)は開館。
時間:10:00~18:00
 *10月28日(金)は20:30まで開館。
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1500(1400)円、大学・高校生1000(900)円、中学生600(500)円。小学生以下無料。
 *( )内は20名以上の団体。要事前予約。
 *毎週土曜日は高校生以下無料。
 *当日に限り、横浜美術館コレクション展も観覧可。
住所:横浜市西区みなとみらい3-4-1
交通:みなとみらい線みなとみらい駅5番出口から徒歩5分。JR線、横浜市営地下鉄線桜木町駅より徒歩約10分。
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「東京・TOKYO 日本の新進作家vol.13」 東京都写真美術館

東京都写真美術館
「東京・TOKYO 日本の新進作家vol.13」
2016/11/22~2017/1/29



現代の写真家をグループ展の形で紹介する「日本の新進作家」も、今回で13回目を数えるに至りました。

出展は6名。テーマは漠然と東京です。あまりにも巨大な東京を一括りにするのは困難ですが、各写真家は私的な関心、もしくは表現をもって、多層的な東京の断面を切り取っています。

[出展作家]
小島康敬
佐藤信太郎
田代一倫
中藤毅彦
野村恵子
元田敬三


中藤毅彦「STREET RAMBLER」 2015年

街の何気ない風景を素早く捉えました。中藤毅彦です。いずれもモノクローム。「STREET RAMBLER」と名付けられた53点の連作です。喧騒に包まれた交差点をはじめ、古いアーケードの商店街や裏路地などを舞台としています。夜の街に特有の妖しげな雰囲気を感じたのは私だけでしょうか。光と影のコントラストが鮮やかでした。写真の粒子は荒く、ざらりとした感触が伝わってきます。一瞬、森山大道を連想しましたが、また異なった魅力がありました。


佐藤信太郎「2016年5月15日 台東区浅草」 2016年

スカイツリーの景観をモチーフとしたのが佐藤信太郎です。題して「東京|天空樹」です。いわゆる定点観測でしょうか。建設途上のスカイツリーもあります。写真はほぼ遠景です。墨田区や葛飾区などの城東エリアから写しています。いずれもスカイツリーがビルの合間、ないし家屋、そして川の先に突如、ぬっと現れていました。空気が澄み渡っているゆえか、ネオンサインも際立ちます。東京の一つの顔と化したスカイツリーです。とりわけ三社祭で賑わう浅草寺越しのツリーが映えて見えました。


野村恵子「A Day in The Life」 2016年

野村恵子は都市の色彩を写し取りました。出品は「A Day in The Life」シリーズ。35点の連作でした。例えば上の図版です。季節はもちろん春。目黒川の満開の桜並木です。橋の上で女性がポーズを取っています。橋は赤色です。さらにぼんぼりのピンク色、服の花柄の色も介在しています。また夕景を捉えた一枚にも目がとまりました。夜になる僅か一歩手前の時間です。全てが藍に染まっています。マンションや家々から僅かな光が放たれていました。あと数分で黒、ないし闇が支配することでしょう。

私として最も面白かったのが元田敬三でした。2つの連作、「OPEN CITY」と「ツッパルな」を展示しています。


元田敬三「ツッパルな」 2105年

タイトルが殊更に長いのも特徴です。一つには「2011年、新宿、西口デパート前、西陽のスポットライトを浴びてスターになったおじさん。撮影交渉するも断られたのでキヨスクへダッシュ、タバコと缶ビールを持って再度交渉。そして乾杯。」と記されています。実に雄弁です。そして作品を見ると確かにおじさんが写っていました。なにやら得意げで妙にカッコいい。タイトルが情景を物語ることで臨場感がより増すのかもしれません。

被写体との関係は様々です。近しく、親密感があるかと思うと、ただならぬ緊張感が漂っているように思える場面も少なくありません。モデルと全力で対峙しています。東京に行き交い、生きる人々の、生身でかつ剥き出しの意思が滲み出しているかのようでした。

「東京|天空樹/佐藤信太郎/青幻舎」

なお写真美術館ではあわせてコレクション展も開催中です。こちらもテーマが東京です。東京をいかに写し、東京でいかに表現したのでしょうか。写真家の取り組みを知ることが出来ました。

2017年1月29日まで開催されています。*1月2日(月・振休)は無料観覧日。

「東京・TOKYO 日本の新進作家vol.13」 東京都写真美術館@topmuseum
会期:2016年11月22日(火)~2017年1月29日(日)
休館:毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は開館し、翌火曜日休館。1月3日は開館)。及び年末年始(12/29~1/1)。
時間:10:00~18:00 *毎週木・金曜日は20時まで。(入館は閉館の30分前まで。)2014/1/2/、1/3は11:00~18:00。
料金:一般700円(560円)、学生600円(480円)、中高生・65歳以上500円(400円)
 *( )内は20名以上の団体料金。
 *第3水曜日は65歳以上無料。
 *1月2日(月・振休)は無料観覧日。
住所:目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
交通:JR線恵比寿駅東口改札より徒歩8分。東京メトロ日比谷線恵比寿駅より徒歩10分。
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「2017年 見逃せない美術展」 日経おとなのOFF

締めくくりの12月。1年を振り返りながらも、そろそろ来年の展覧会の情報が欲しい時期です。「日経おとなのOFF」の最新号にて「2017年 見逃せない美術展」が特集されています。



「日経おとなのOFF2017年1月号」
http://trendy.nikkeibp.co.jp/off/index.html

巻頭で大きく取り上げられたのは「バベルの塔」です。言うまでもなくブリューゲルの最晩年の傑作。来年4月の「ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル バベルの塔」(東京都美術館)で展示されます。(国立国際美術館へ巡回。)期待されている方も多いのではないでしょうか。

続くのは「スラヴ叙事詩」でした。ミュシャがチェコとスラヴの歴史を描いた大作です。最大では6メートル×8メートル。その数、20点です。全て揃って来年3月の「ミュシャ展」(国立新美術館)で公開が予定されています。もちろん初めての来日です。



思いの外に読み物として充実していました。例えば「バベルの塔」では「名画で辿る旧約聖書の創世記」と題し、各物語を絵画とともに紹介。中野京子先生の監修によるギリシャ神話の特集や、スラヴ叙情詩の全場面解説なども読み応えがあります。展覧会の予習にもぴったりでした。

以降は、暁斎、アルチンボルド、雪村、そしてアドルフ・ヴェルフリをピックアップ。いずれも来年、話題となりそうな展覧会ばかりです。



「日本美術鑑賞のツボ」も興味深い。茶碗、仏像、古文書、そして何かと話題の日本刀の見どころをそれぞれ紹介しています。茶碗では樂家当代の樂吉左衛門氏にインタビューしているほか、仏像では運慶・快慶に着目し、東博の学芸部の浅見氏が解説。古文書の「解読術」も専門的です。突っ込んだ内容でした。

「知られざる美術展の舞台裏」では、三菱一号館美術館の高橋明也館長が展覧会の準備についてガイドしています。ほかでは、必ずしも身近とは言えない美術品の修復や搬送などについてのコーナーも目を引きました。



山下裕二先生と山田五郎さんの対談も来年の美術展の展望するのに有用です。そしておまけは3点。美術展名画カレンダーと若冲のクリアファイル、さらに2017年の展覧会を網羅した美術展ハンドブックが付いています。何かと重宝しそうです。



ハンドブックに掲載された展覧会は興味深いものばかりですが、あえて私のセレクトで15展ほどあげてみました。

「特別展 雪村」@東京藝術大学大学美術館(3/28〜5/21) *MIHO MUSEUM(8/1〜9/3)
「草間彌生 わが永遠の魂」@国立新美術館(2/22〜5/22)
「シャセリオー展ー19世紀フランス・ロマン主義の異才」@国立西洋美術館(2/28〜5/28)
「特別展 快慶」@奈良国立博物館(4/8〜6/4)
「特別展 茶の湯」@東京国立博物館(4/11〜6/4)
「ミュシャ展」@国立新美術館(3/8〜6/5)
「大英自然史博物館展」@国立科学博物館(3/18〜6/11)
「ヴォルスー写真、絵画、エッチング」(仮称)@DIC川村記念美術館(4/1〜7/2)
「ブリューゲル バベルの塔展」@東京都美術館(4/18〜7/2) *国立国際美術館(7/18〜10/15)
「怖い絵展」@兵庫県立美術館(7/22〜9/18) *上野の森美術館(10/7〜12/17)
「アルチンボルド展」@国立西洋美術館(6/20〜9/24)
「ボストン美術館 浮世絵名品展 鈴木春信」@千葉市美術館(9/6〜10/23) *名古屋ボストン美術館(11/3〜2018/1/21)ほか巡回。
「長沢芦雪展」@愛知県美術館(10/6〜11/19)
「特別展 運慶」@東京国立博物館(9/26〜11/26)
「特別展覧会 国宝」@京都国立博物館(10/3〜11/26)

いかがでしょうか。おそらく最も注目されるのはミュシャ、そしてバベル、アルチンボルドです。日本美術ではまず快慶と運慶。奈良と東京での2会場での開催です。さらに蘆雪や雪村も控えます。草間彌生の個展も人気を集めそうです。



既にアナウンスがありながら、ハンドブックには載っていないものもありました。以下も私が今から楽しみにしている展覧会です。

「藤森照信展ー自然を生かした建築と路上観察」(仮題)@水戸芸術館(3/11~5/14)
「茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術」@東京国立近代美術館(3/14~5/21)
「安藤忠雄展ー挑戦」@国立新美術館(9/27~12/18)
「レアンドロ・エルリッヒ展」(仮題)@森美術館(11/18〜2018/4/1)
「石内都 肌理(きめ)と写真」@横浜美術館(12/9~2018/3/4)

この「日経おとなのOFF」と、来年1月発売予定の「美術の窓」(2月号)の「今年の展覧会」特集で、ほぼ一年間の展覧会のスケジュールを把握することが出来ます。まずは書店でお手にとってご覧下さい。

「日経おとなのOFF/2017年絶対に見逃せない美術展」

「日経おとなのOFF2017年1月号」 日経BP社(2016/12/6) 目次一覧(一部)
[2017年絶対に見逃せない美術展]
 ・ブリューゲルの傑作「バベルの塔」がやって来る
 ・ギリシャ神話を知れば名画がもっと楽しくなる
 ・ミュシャ「スラヴ叙事詩」って何だ?
 ・世界ビックリ画家選手権(ボス、暁斎、アルチンボルド、雪村、ヴェルフリ)
 ・江戸時代の人気絵師対決!(京VS江戸)
 ・西洋に浸透した北斎の底力
 ・コレクターたちの草間彌生論
 ・ライバルズ!すごいのはどっち?(レオナルドVSミケランジェロ)ほか
 ・日本美術鑑賞のツボ(茶碗/仏像/日本刀/古文書)
 ・科博は「芸術」を超えたアート館だ(大英自然史博物館VS国立科学博物館)
 ・知られざる美術展の舞台裏(高橋明也三菱一号館美術館館長)
 ・美術展のウラ側
 ・井上涼さんに教わる 目からウロコの美術館賞術
 ・2017年にヒットする美術展はどれだ!(山田五郎×山下裕二)
 ・3大付録(若冲クリアファイル/2017年名画カレンダー/必見の美術展ハンドブック)
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オランジュリー美術館にて「ブリヂストン美術館の名品ー石橋財団コレクション展」が開催されます

2019年秋のオープンを目指して建替え中のブリヂストン美術館。今だからこそ実現可能な企画かもしれません。石橋財団のコレクションが、パリ・オランジュリー美術館にて公開されます。



ブリヂストン美術館
http://www.bridgestone-museum.gr.jp

会期は来年4月5日から8月21日まで。出品は計76点です。かつてオランジュリー美術館と「ドビュッシー、音楽と美術展」を開催。その縁からフランス側の提案で実現しました。


ピエール=オーギュスト・ルノワール「すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢」 油彩・カンヴァス 1876年
石橋財団ブリヂストン美術館


ラインナップが充実しています。モネ、ルノワー ル、カイユボット、セザンヌ、マティス、ピカソ、ポロックから白髪一雄など同館の誇る作品がずらり。洋の東西を問いません。特にルノワールの「すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢」やセザンヌの「サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」など、コレクションの中でも殊更に有名な作品も少なくありません。


ポール・セザンヌ「サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」 油彩・カンヴァス 1904-06年頃
石橋財団ブリヂストン美術館


今から50年以上前、1962年にも石橋コレクションが海を渡ったことがありました。パリの国立近代美術館で開催された「東京石橋コレクション所蔵 コローからブラックへ至るフランス絵画展」です。言うまでもなく初の海外展。当時の出展数は約50点でした。タイトルが示すように全て西洋絵画のコレクションで占められていました。


青木繁「海の幸」 油彩・カンヴァス 1904年
石橋財団ブリヂストン美術館


今回はその後に増えた収蔵品も紹介。さらに日本の近現代美術も加わります。中でも重要文化財である青木繁の「海の幸」が海外で公開されるのは初めてのことです。

オランジュリー美術館としても海外のコレクションをまとめて展示するのは珍しいことだそうです。日仏、石橋正二郎とポール・ギヨームらの美術収集家が築き上げたコレクションの邂逅。印象派が日本の美術に与えた影響についても着目します。話題を集めるのではないでしょうか。


(仮称)永坂産業京橋ビル ビル外観イメージ
株式会社日建設計


さて建替え中のブリヂストン美術館ですが、既に旧ビルの解体も終え、今年の6月に着工。2019年7月末の竣工を目指して工事が行われています。


建替え工事の状況(12/4現在)

ビルは全23階、150メートルの高層ビルです。1階から6階にブリヂストン美術館が入居します。また入口は八重洲通り側ではなく、中央通り沿いへと移動します。


新ブリヂストン美術館 外観イメージ

1階がエントランスとカフェ、2階にミュージアムショップ、3階に受付と多目的ホール、4階~6階に展示室が設置されるそうです。


新ブリヂストン美術館 展示室イメージ

延べ床で約6650平方メートル。展示室の面積は2100平方メートルです。旧美術館の約2倍のスペースとなります。

休館中の間もウェブでは様々なコンテンツが進行しています。全7回予定の「学芸員が選ぶ隠れた名作」はNO.5まで公開中。デュビュッフェの「スカーフを巻く エディット・ボワソナス」や川上涼花の「麦秋」など、比較的展示機会の少なかった作品について紹介しています。

恒例のカレンダーも発売されました。2017年のテーマは「海」です。日本と西洋の海に因んだ絵画がピックアップされています。



1月は名作、モネの「黄昏、ヴェネツィア」でした。色彩がヴィネツィアの海と街と空をのみ込みます。2月は青木繁の「わだつみいろこの宮」です。さらに3月はクレーの「島」と続きます。必ずしも海を直接描いた作品だけではなく、神話主題や海を喚起させる抽象画までを取り込んでいるのも面白いところです。



「海 2017 CALENDAR」
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/special/calendar/

カレンダーは同館の公式オンラインショップで発売中です。また特設サイトには1月から12月までの全図版と解説も掲載されています。



「ブリヂストン美術館」オンラインストア
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/onlinestore/

オープン後の活動も待ち遠しいところですが、休館中の展開にもまた注目したいところです。

「ブリヂストン美術館の名品ー石橋財団コレクション展」はオランジュリー美術館にて2017年4月5日より開催されます。

「Chefs-d’œuvre du Bridgestone Museum of Art de Tokyo, Collection Ishibashi Foundation」(ブリヂストン美術館の名品ー石橋財団コレクション展)
会期:2017年4月5日(水)~8月21日(月)
会場:オランジュリー美術館(パリ)
点数:76点
監修:オランジュリー美術館 学芸員 セシル・ジラルドー/ブリヂストン美術館 学芸課長 新畑泰秀、学芸員 賀川恭子
主催:オルセー美術館、オランジュリー美術館、公益財団法人石橋財団
協力:日本経済新聞社
特別助成:株式会社ブリヂストン
協力:日本航空
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「ゴッホとゴーギャン展」 東京都美術館

東京都美術館
「ゴッホとゴーギャン展」 
10/8~12/18



東京都美術館で開催中の「ゴッホとゴーギャン展」を見てきました。

ともにフランスのポスト印象派の画家であるゴッホとゴーギャンは、1888年、南仏のアルルで約2か月ほどの共同生活を送りました。

その2人の画家の関係に焦点を当てています。出品は68点。ファン・ゴッホ美術館やクレラー=ミュラー美術館などの海外からも作品がやって来ました。

さて展示は何も共同生活だけを捉えているわけではありません。初期から共同生活以降の作品も網羅。両者の画風の変遷を追うことも出来ました。


フィンセント・ファン・ゴッホ「古い教会の塔、ニューネン(農民の墓地)」 1885年5-6月
ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)


冒頭は30代前半のゴッホです。「古い教会の塔、ニューネン」が目にとまりました。時は1885年。画家となる決意をしてから5年後に描いた作品です。ニューネンは両親が住んでいました。教会は古びていて人気がありません。既に廃墟です。空こそグレーに水色が混じるものの、建物の色は暗く、暗鬱な雰囲気を漂わせています。周囲は十字架のある墓地です。空には鳥が舞っています。ゴッホは当初、ミレーやコローらのバルビゾン派に学びました。後の色彩や筆触とは似ても似つきません。


ポール・ゴーギャン「夢を見る子供(習作)」 1881年
オードロップゴー美術館


同じく30代です。ゴーギャンの「夢を見る子供」が微笑ましい。第7回の印象派展に出品。モデルは娘のアリーヌです。子供が白いシーツの寝台の上で眠っています。背を向けていて表情は伺えません。壁紙は鳥です。幾分に装飾的です。筆触は全般的に柔らかい。ゴーギャンも初期にはバルビゾン派の影響を受けましたが、ピサロと出会ったことで、印象派的な表現を選択するに至りました。


フィンセント・ファン・ゴッホ「パイプと麦わら帽子の自画像」 1887年9-10月
ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)


チラシ表紙しかり、とかく自画像のイメージもあるゴッホですが、意外にも1886年にパリの画塾で学ぶまで、一枚も自画像を描きませんでした。パリでは印象派や新印象派に学びます。その一端を伺える作品ではないでしょうか。「パイプと麦らわ帽子の自画像」です。ゴッホがパイプを加えています。服は鮮烈な水色です。そして帽子は黄色く明るい。筆触も大胆です。変容しました。率直なところ、先の「古い教会の塔」と同じ画家とは思えません。


ポール・ゴーギャン「マルティニク島の風景」 1887年6-11月
スコットランド国立美術館


1886年、パリを離れ、ポン=タヴェンに赴いたゴーギャンは、より「野性的」でかつ「原始的」(解説より)な土地を目指すようになります。その一つがカリブ海のマルティニク島です。1887年の6月に滞在。「マルティニク島の風景」を描きました。高くそびえるのはパパイヤの樹です。火山を囲む眼下には青い海が広がっています。木立の色は各々の面に分割されています。ざわめく筆触、ないし色彩感が絶妙です。11月には帰国。そしてゴッホと出会いました。

ゴッホがパリを離れたのは1888年2月。アルルに移住します。かの有名な黄色い家を借り、アトリエを構えました。そして10月からはゴーギャンも合流します。2人の生活が始まりました。


フィンセント・ファン・ゴッホ「収穫」 1888年6月
ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)


美しき田園が広がっています。ゴッホの「収穫」です。元来より種まきや刈入れなど、小麦の栽培をモチーフにしていたゴッホは、アルルにおいても同様に収穫の様子を描きました。水色の明るい空の下、小麦畑が黄金色に染まっています。収穫に勤しむ人々の姿も見えます。パノラマです。雄大でもあります。


ポール・ゴーギャン「ブドウの収穫、人間の悲惨」 1888年11月
オードロップゴー美術館


ゴーギャンも同じく収穫をテーマとした作品を描きました。「ブドウの収穫、人間の悲惨」です。後方にはブドウを収穫する場面が表されています。とはいえ、前景は様子が一変。何やら女性が両手を顔に当てては悲しみに暮れています。ペルーのミイラのポーズだそうです。実景と空想が同一の空間に落とし込まれています。

損保ジャパン日本興亜美術館でお馴染みの「アリスカンの並木道」もお目見えです。(東京会場限定)照明の効果でしょうか。西新宿で見るよりもオレンジ色が遥かに際立って見えました。

性格の不一致、ないし芸術観の違いもあったことでしょう。結果的に共同生活は破綻。ゴッホは例の耳切り事件で入院します。ゴーギャンはパリに帰りました。

生活こそ袂を分かちながらも、二人の間の交流は全て失われたわけではありません。以降も画家のベルナールを加え、書簡を通す形にて交流が続いていきます。


ポール・ゴーギャン「ハム」 1889年後半
フィリップス・コレクション


同じ年に描かれた静物でもまるで表現が異なります。例えば1889年の2枚、ゴッホの「タマネギの皿のある静物」とゴーギャンの「ハム」はどうでしょうか。ゴッホはテーブル上のパイプ、それにタマネギなどを、黄色を基調とした明るいタッチで描いています。一転してのゴーギャンです。赤く、ワイン色に染まったハムがごろり。ジューシー、言い換えれば肉感的な質感も伝わります。やや古典的にも見えました。マネの影響を受けたとも言われています。

療養中のゴッホの作品は時に特異です。タッチがうねるのが「オリーブ園」です。木々もざわめいては揺らぎ、もはや景色全体が歪んでいます。青い幹、黒く濃い輪郭線も不気味な印象を与えないでしょうか。共同生活から僅か1年後、ゴッホは自殺を図り、息を引き取りました。


ポール・ゴーギャン「タヒチの3人」 1899年
スコットランド国立美術館


ラストはゴーギャンのタヒチでの展開です。「タヒチの3人」が象徴的でした。こんがりと焼け、オレンジ色の肌をした人物が3名。後ろ姿は男性です。左の女性は左手に青いリンゴを持っています。禁断の果実を表します。一方で右の女性は花を持っています。背後の色はもはや何を示しているか判然としません。現実と幻想はより大胆な形で表現されました

最後を飾る作品が意外な一枚でした。「肘掛け椅子のひまわり」です。ひまわりといえばゴッホ。しかしゴーギャンの作品です。ゴッホの死から11年経った1901年に描かれました。


ポール・ゴーギャン「肘掛け椅子のひまわり」 1901年
E.G. ビュールレ・コレクション財団


言うまでもなくゴッホへの追憶でしょう。残念ながら今回はゴッホのひまわりの作品は一枚もありません。いつか並べて見る機会があればと思いました。

今回はゴーギャンの作品が殊更に美しく見えたのが印象的でした。画風は洗練されています。ほか、ミレー、ルソー、ベルナール、セリュジエなど、2人にまつわる画家の作品も参照されていました。

11月第4週の日曜の昼過ぎに出かけましたが、会場内は混雑していました。特に初めの展示室は黒山の人だかりです。一部では最前列確保のための行列も発生していました。

会期も残り約半月です。最終盤はさらに多くの人で賑わうのではないでしょうか。公式ツイッターアカウント(@ggten2016)が混雑情報を発信しています。そちらも参考になりそうです。



12月18日まで開催されています。

「ゴッホとゴーギャン展」(@ggten2016) 東京都美術館@tobikan_jp
会期:10月8日(土)~12月18日(日)
時間:9:30~17:30
 *入館は閉館の30分前まで。
 *毎週金曜日、および10月22日(土)、11月2日(水)、11月3日(木)、11月5日(土)は20時まで開館。
休館:月曜日。10月11日(火)。10月10日(月・祝)は開館。
料金:一般1600(1300)円、大学生・専門学校生1300(1100)円、高校生800(600)円、65歳以上1000(800)円。高校生以下無料。
 *( )は20名以上の団体料金。
 *毎月第3水曜日はシルバーデーのため65歳以上は無料。
 *毎月第3土曜、翌日曜日は家族ふれあいの日のため、18歳未満の子を同伴する保護者(都内在住)は一般料金の半額。(要証明書)
住所:台東区上野公園8-36
交通:JR線上野駅公園口より徒歩7分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅7番出口より徒歩10分。京成線上野駅より徒歩10分。
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「あなたが選ぶ展覧会2016」 エントリー集計結果

皆さんの1年の展覧会を振り返ろうと進行中の「あなたが選ぶ展覧会2016」。多くの方が展覧会をエントリーして下さいました。どうもありがとうございました。



「あなたが選ぶ展覧会2016」
http://arttalk.tokyo/


受付は11月25日に終了。今年は最大で5展ということもあり、昨年よりも多くの展覧会がノミネートされました。全部で50展。実際には同数のエントリーがあったため、計55の展覧会がランクインしました。

ここに発表致します。「あなたが選ぶ展覧会2016」、エントリーの集計結果は以下の通りです。

[あなたが選ぶ展覧会2016 エントリー集計結果]

1.「若冲展」 東京都美術館
2.「カラヴァッジョ展」 国立西洋美術館
3.「鈴木其一 江戸琳派の旗手」 サントリー美術館
4.「ルノワール展」 国立新美術館
5.「ジョルジョ・モランディー終わりなき変奏」 東京ステーションギャラリー
5.「ゴッホとゴーギャン展 」 東京都美術館
7.「ボッティチェリ展」 東京都美術館
7.「村上隆のスーパーフラット・コレクション」 横浜美術館
7.「ダリ展」 国立新美術館、京都市美術館
10.「クラーナハ展ー500年後の誘惑」 国立西洋美術館
11.「俺たちの国芳 わたしの国貞」 Bunkamura ザ・ミュージアム
12.「杉本博司 ロスト・ヒューマン」 東京都写真美術館
12.「没後40年 高島野十郎展」 目黒区美術館
14.「福井移住400年記念 岩佐又兵衛展」 福井県立美術館
14.「速水御舟の全貌ー日本画の破壊と創造」 山種美術館
14.「トーマス・ルフ展」 東京国立近代美術館
17.「ポンピドゥー・センター傑作展」 東京都美術館
18.「原安三郎コレクション 広重ビビッド」 サントリー美術館
18.「アカデミア美術館所蔵 ヴェネツィアルネサンスの巨匠たち」 国立新美術館
20.「英国の夢 ラファエル前派展」 Bunkamura ザ・ミュージアム
21.「臨済禅師1150年 白隠禅師250年遠諱記念 禅ー心をかたちに」 東京国立博物館
21.「メアリー・カサット展」 横浜美術館
23.「生誕140年 吉田博展」 千葉市美術館
23.「没後100年 宮川香山」 サントリー美術館
23.「木々との対話」 東京都美術館
26.「初期浮世絵ー版の力・筆の力」 千葉市美術館
26.「開館50周年記念 美の祝典」 出光美術館
26.「安田靫彦展」 東京国立近代美術館
29.「黄金のアフガニスタンー守りぬかれたシルクロードの秘宝」 東京国立博物館
29.「ルイ・ヴィトンの真髄を辿る 驚きに満ちた旅」 旅するルイ・ヴィトン展特設会場
29.「ジャック=アンリ・ラルティーグ 幸せの瞬間をつかまえて」 埼玉県立近代美術館
29.「いま、被災地からー岩手・宮城・福島の美術と震災復興」 東京藝術大学大学美術館
29.「MIYAKE ISSEY展 三宅一生の仕事」 国立新美術館
29.「古代ギリシャー時空を超えた旅」 東京国立博物館
35.「土木展」 21_21 DESIGN SIGHT
36.「PARIS オートクチュールー世界に一つだけの服」 三菱一号館美術館
36.「奥村土牛ー画業ひとすじ100年のあゆみ」 山種美術館
36.「はじまり、美の饗宴展 すばらしき大原美術館コレクション」 国立新美術館 
36.「円山応挙『写生』を超えて」 根津美術館
36.「デトロイト美術館展」 上野の森美術館
36.「ほほえみの御仏ー二つの半跏思惟像」 東京国立博物館
42.「柳幸典 ワンダリング・ポジション」 BankART Studio NYK
42.「国宝 信貴山縁起絵巻展」 奈良国立博物館
42.「恩地孝四郎展」 東京国立近代美術館
42.「水ー神秘のかたち」 サントリー美術館
42.「Chim↑Pom『また明日も観てくれるかな?』」 歌舞伎町振興組合ビル
42.「世界遺産 ラスコー展」 国立科学博物館
42.「村上隆の五百羅漢図展」 森美術館
42.「生誕150年 黒田清輝ー日本近代絵画の巨匠」 東京国立博物館
42.「大妖怪展ー土偶から妖怪ウォッチまで」 江戸東京博物館
42.「メディチ家の至宝ールネサンスのジュエリーと名画」 東京都庭園美術館
42.「驚きの明治工藝」 東京藝術大学大学美術館
42.「ビアトリクス・ポター生誕150周年 ピーターラビット展」 Bunkamura ザ・ミュージアム
42.「DMM.プラネッツ Art by teamLab」 お台場みんなの夢大陸2016
42.「大仙厓展ー禅の心、ここに集う」 出光美術館

如何でしょうか。一次集計の段階でのベスト3は若冲、カラヴァッジョ、其一でした。そしてルノワール、モランディ、ゴッホとゴーギャン、ボッティチェリと続きます。現代美術では村上隆のスーパーフラット・コレクションが最も票を集めました。また昨年、ランクインした五百羅漢図展は今年もノミネートされました。

東京都内の展覧会が多い中、上位に福井県立美術館の岩佐又兵衛展が入っているのが目を引きます。また美術館での開催ではない旅するルイヴィトンもランクインしました。西洋、日本、そして現代美術と様々な展覧会が挙がっています。

この55の展覧会の中から皆さんにベスト10を最終投票の形で選んでいただきます。今回はお一人様一票のみです。投票は本日スタート。投票フォームも開設しました。もちろん一次エントリーに参加されていない方の投票も大歓迎です。来年1月の結果発表のWEBイベントの参加如何も問いません。どなたでもハンドルネームでお気軽に投票出来ます。(エントリー段階の票数も最終のWEBイベントで発表します。)

最終投票フォーム:http://arttalk.tokyo/vote/kiyoki_admin.cgi

一次エントリーの段階では多くの方に各展覧会へのコメントを頂戴しました。そちらも出来るだけライブイベントでご紹介したいと思います。

「あなたが選ぶ展覧会2016 イベントスケジュール」

1.エントリー受付
今年観た展覧会で良かったものをまず順位不同で1から5つあげていただきます。
*11月25日の18時に締め切りました。

2.ベスト50展発表
エントリーしていただいた数多くの展覧会の中から、上位50の展覧会を12月1日に発表します。

3.ベスト展覧会投票
50の展覧会の中から、さらにベストの展覧会を選んでいただきます。皆さん投票して「あなたが選ぶ展覧会2016 ベスト展覧会」を決定しましょう。投票は2017年1月1日(日)の6時まで。

4.ベスト展覧会決定
最終的な投票結果や投票で1位となった展覧会の発表は、年明けにライブのwebイベントを開催して発表する予定です。



WEBのライブイベントは1月上旬の土日祝日を予定しております。決まり次第、改めてお知らせします。

最終投票フォーム:http://arttalk.tokyo/vote/kiyoki_admin.cgi

昨年はエントリー段階と最終投票でランクがやや変化しました。一体、どのような展覧会が今年のベストに選ばれるのでしょうか。まずは多くの方の投票をお待ちしております。

[あなたが選ぶ展覧会2016 イベント概要]
開催期間:2016年11月~2017年1月
エントリー受付期限:11月25日(金)18時 *終了しました。
上位50展発表:12月1日(木)
ベスト展覧会投票期間:12月1日(木)~1月1日(日)6:00
最終投票フォーム:http://arttalk.tokyo/vote/kiyoki_admin.cgi
「あなたが選ぶ展覧会2016」発表ライブイベント:2017年1月頃(決まり次第お知らせします)
*ゲストをお呼びし、WEB上のライブで発表します。
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12月の展覧会・ギャラリー

早いもので今年もあと一ヶ月です。12月に見たい展覧会を挙げてみました。

展覧会

・「風景との対話 コレクションが誘う場所」 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館(~12/25)
・「拝啓 ルノワール先生ー梅原龍三郎に息づく師の教え」 三菱一号館美術館(~2017/1/9)
・「世界に挑んだ7年 小田野直武と秋田蘭画」 サントリー美術館(~2017/1/9)
・「発信//板橋//2016 江戸ー現代」 板橋区立美術館(2016/12/3~2017/1/9)
・「レオナール・フジタとモデルたち」 DIC川村記念美術館(~2017/1/15)
・「北斎の帰還ー幻の絵巻と名品コレクション」 すみだ北斎美術館(~2017/1/15)
・「デトロイト美術館展~大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち」 上野の森美術館(~2017/1/21)
・「国立劇場開場50周年記念 日本の伝統芸能展」 三井記念美術館(~2017/1/28)
・「日本におけるキュビスムーピカソ・インパクト」 埼玉県立近代美術館(~2017/1/29)
・「アピチャッポン・ウィーラセタクン 亡霊たち」 東京都写真美術館(2016/12/13~2017/1/29)
・「セラミックス・ジャパン 陶磁器でたどる日本のモダン」 渋谷区立松濤美術館(2016/12/13~2017/1/29)
・「未来を担う美術家たち 19th DOMANI・明日展」 国立新美術館(2016/12/10~2017/2/5)
・「日本画の教科書 京都編ー栖鳳、松園から竹喬、平八郎へ」 山種美術館(2016/12/10~2017/2/5)
・「endless 山田正亮の絵画」 東京国立近代美術館(2016/12/6~2017/2/12)
・「マリメッコ展ーデザイン、ファブリック、ライフスタイル」 Bunkamura ザ・ミュージアム(2016/12/17~2017/2/12)
・「石川直樹展」 水戸芸術館(2016/12/17~2017/2/26)
・「画と機 山本耀司・朝倉優佳」 東京オペラシティアートギャラリー(2016/12/10~2017/3/12)

ギャラリー

・「山口晃 室町バイブレーション」 ミヅマアートギャラリー(~12/17)
・「伊藤隆介 天王洲洋画劇場」 児玉画廊|天王洲(~12/24)
・「榎本了壱コーカイ記」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(~12/24)
・「鈴木理策 Mirror Portrait」 タカ・イシイギャラリー東京(~12/24)
・「Unclear nuclear」 URANO(~2017/1/7)
・「南隆雄:Difference Between」 オオタファインアーツ(2016/12/6~2017/1/14)
・「トランス/リアルー非実体的美術の可能性 vol.6 文谷有佳里」 ギャラリーαM(2016/12/17~2017/2/4)
・「戸谷成雄 森X」 シュウゴアーツ(2016/12/16~2017/2/5)
・「WASHI 紙のみぞ知る用と美」 リクシルギャラリー (2016/12/8~2017/2/25)
・「曖昧な関係展」 メゾンエルメス(2016/12/21~2017/2/26)

私として今月、最も期待している展覧会です。アピチャッポン・ウィーラセタクンの個展が東京都写真美術館で開催されます。

「アピチャッポン・ウィーラセタクン 亡霊たち」@東京都写真美術館(2016/12/13~2017/1/29)

タイに生まれ、主に映像表現で活躍する作家、アピチャッポン・ウィーラセタクン。カンヌ国際映画祭で最高賞を受賞した「ブンミおじさんの森」や、今年公開された「光りの墓」などでも知られています。

『光りの墓』予告編


国内では2011年の横浜トリエンナーレにも参加。以降、作品に接する機会がやや減りましたが、最近ではさいたまトリエンナーレや横浜美術館の「BODY/PLAY/POLITICS」にも出展しました。

キーワードは「亡霊=Ghost」。アピチャッポン作品の重要なモチーフでもあります。独特の世界観に触れられる展示となりそうです。

色鮮やかなチラシも目を引くのではないでしょうか。フィンランドのデザインハウス、マリメッコの展示がBunkamura ザ・ミュージアムではじまります。



「マリメッコ展ーデザイン、ファブリック、ライフスタイル」@Bunkamura ザ・ミュージアム(2016/12/17~2017/2/12)

マリメッコは1951年、ヘルシンキで創業したアパレル企業です。衣服だけでなく、生活雑貨など、鮮やかでかつ抽象性のあるデザインで人気を博しています。ヘルシンキにあるデザイン・ミュージアムのコレクションによる国内初の大規模な展覧会となります。

何かと忙しない12月ではありますが、諸々工夫して展覧会を見て回りたいと思います。

それでは今月もよろしくお願い致します。
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