燃料コック、の続き。
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SRX600。
レギュレータが壊れてる間に、タンクのコックもメンテしよう。
とか言って実は元々計画はしてたから、タンクがリザーブに入るまで走って、燃料を減らしてある。
外したタンクを台に載せて、タンク後部を吊り上げる。
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外したタンクコック。
褐色に見えているのは、タンク内に入っているストレーナ。ストレーナは真ん中で縦に仕切られていて、右半分が「ON」のメイン、左半分がリザーブ。
メインとリザーブでは、ストレーナの吸入口の高さが異なり、リザーブがタンク底に近く、メインはかなり高い。
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コックの中の穴は4つ。
ONの状態では、右の2つと、左下と真ん中が、それぞれつながる。
右上がメインのストレーナからの取り出し、右下がフレームコックの「ON」への出力。
同様に、真ん中がリザーブの取り出し、左下がフレームコックの「RES」への出力だ。
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OFFの状態では、取り出し口が2つとも閉じられ、出口同士が連結される。
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ストレーナは刺さってるだけ。
右がメイン、左がリザーブ。
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ストレーナのリザーブ側の汚れ。
なぜか、内側に付着していた。
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内部を徹底的に掃除して、パッキン類を交換。
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フレームコックの負圧経路をもう一度見てみた。
右のオリフィスを荷札の針金で掃除したのがこの状態。
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前回のこの状態よりも穴が大きくなったように見える。
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負圧バルブのOリングは単品で出てこない。
横から見ると、シート面に馴染んでテーパーになってしまってるように見えなくもないので、応急処置としてリングを裏返してみた。
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まさにチラシの裏というか詰め物の紙に、この負圧コックの構造を書いてみた。
ONとRESが燃料の入り口で、丸が3つの部分がコック。薄い線で囲ってあるのが、「ON」のときのコックノブ裏だ。
ONの流れは、コック真ん中の穴を持つ経路に入り、ハッチングで示した負圧バルブに閉じられている。
コックを180°回してRESにすると、右の穴と真ん中の穴がつながり、同様にRESの燃料が負圧バルブに流れる。そのとき、ONの経路ともつながるが、タンクに十分な燃料が残っていれば、ONとRES両方の燃料が負圧バルブに来ることになる。
コックを90°回してRESにすると、右の穴と下の穴がつながり、燃料は負圧バルブをバイパスしてキャブに流れる。
負圧バルブは、YDISのプライマリ側のインテークインシュレータにつながり、エンジンがかかると吸引力を受ける。
吸引力は右のダイヤフラムのチェックバルブを開いて、左ダイヤフラム裏の空気を吸い出して圧力を下げる。すると、ダイヤフラムが左に吸い付けられ、ダイヤフラム中心の負圧バルブが左に動いて、燃料経路を開き、燃料がキャブに流れる。
マニフォルド負圧は、スロットルアイドルの時最大で、全開時にはもっとも弱くなる。全開時の燃料流量を確保するには、弱い負圧でもバルブが全開になるように、バルブのスプリングは十分弱くなければならないだろう。
エンジン始動時は通常アイドルなので、負圧バルブは一気に開く。そこからスロットルを開けると、エンジン回転が上がるまでの間は一時的に負荷が大きいため、負圧が弱くなる。すると、バルブはスプリングで右に戻ろうとするが、スプリング室にはダイヤフラムが戻ることで吸引力が発生し、右ダイヤフラムのチェックバルブが吸い付けられて閉じて、急激に負圧バルブが閉じるのを妨げる。
スロットル全開時は、負圧が弱いため、チェックバルブは一旦閉じる。その状態でもオリフィスを通じてスプリング室を吸引することで、チェックバルブを閉じつづけながら、弱い負圧でも負圧バルブを開き続けることができる。
バイクの場合スロットル操作が頻繁かつ急激な場合があるため、それらの吸気負圧変動で、負圧バルブが急激に動かないようにするサージ吸収、ということと、エンジン停止後にはきちんと負圧バルブが閉じるためにも、オリフィスが働いていると思われる。
オリフィスが詰まっていると、吸気負圧の弱い全開時にもチェックバルブが開いて、スプリング室の負圧が逃げてしまい、負圧バルブが半ば閉じてしまって、燃料流量不足が起きる。右ダイヤフラムのチェックバルブが閉じきらない状態になっていてもおそらく同様だろう。
…てとこだと思うんだけど、どうだべ。
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